
普段の保険診療とは全く別の仕組みで成り立っている人間ドックは、施設ごとに金額や内容が異なる点をはじめ、利用者目線だと分かりづらいことが多い。今回3人の匿名医師を招き、そのカラクリを思う存分語ってもらった!
内科医Aさん
国立大学医学部を卒業後、大学付属病院など複数の医療機関に勤務。現在は内科医として複数の病院に勤務する傍ら、企業の社外取締役も務めている。
糖尿病内科医Bさん
糖尿病や高血圧治療を専門領域としている。国立大学医学部を卒業後、大学付属病院で助教などを経て現在教授。日本糖尿病学会専門医、日本内科学会認定医・指導医。
外科医Cさん
消化器外科医として数多くの執刀を行ないがん患者を救ってきた。大学付属病院の教授として最前線で活躍するだけでなく技術を後進に伝えている。日本消化器外科学会専門医・指導医。
〈議題3〉いい機器がおいてある病院の基準って?
Aさん 人間ドックの料金って、病院や施設によってバラバラじゃないですか。
Bさん 自由診療(保険のきかない、全額自己負担の診療)ですからね。
Cさん インバウンド向けの人間ドックだと言い値でできますから。病院経営的には魅力がありますよ。
Bさん 病院によっては患者のほとんどが中国の富裕層で、凄く儲かっているところもあるらしいです。
Aさん 話を戻すと、診察料の高い病院って、しっかりした機器が揃っているみたいな印象を持たれがちですよね。
Cさん 立地のいい施設だと特にね。でもそういう施設に限って、土地代をはじめとした固定費が診察料の結構な割合を占めているんですよね。そして人件費を節約しようとして、外部からアルバイトの医師を安く雇っている。
Aさん あるあるですよね。そういう施設は見た目に反して機器のクオリティがそれなりのものだったりする。
Bさん とはいえ、人間ドックで使用する検査機器って限られていますから、検査機器だけを病院選びの基準にするのはもったいない。強いて言うなら、MRIは使用する機器によって性能に差があるかな。
Cさん 一般的なトンネル型のMRI機器だと、出力が1・5テスラのものが多いですが、例えば頭部の検査であれば、3テスラの機器の方がより細かく出力される分有利です。
Aさん C先生のところはそこに投資しているんですか?
Cさん それがですね、3テスラで描出する場合、1回1時間くらいかかっちゃうので、受診する人が多いと時間が取れないんですよ。
Bさん 全員を丁寧に診たい気持ちはあっても、現実問題難しい時もあるんですね。
Cさん だから地方の病院から受診しに来た患者が、たまに3テスラのMRIで作ったキレイな画像を持ってくることがあって、ウチでも常にできればなって思うことがありますよ。
Aさん 高性能なMRIがあっても、それを使いこなせる時間的な余裕や技術が必要なわけですね。
Bさん しかも患者側から機材の良し悪しを見分けるのはまず無理だし、仮に知識があったとしても、自動的に使う機器は割り振られてしまうので、「3テスラのMRIでお願いします」みたいな要望を病院側にお願いするのは現実的じゃない。
Cさん プレミアムドックなら、そういったことを前面に打ち出しているところがあるみたいですね。
Bさん 僕も本当は3テスラのMRIを受けたいんですけどね。今度C先生のところにお邪魔したら受けさせてもらえるのかな(笑)。
Aさん 機器の性能も良くなってきていますが、今はAIの進歩がとにかく凄まじいですよね。C先生のところでは使っていないんですか?
Cさん うちではまだ実用化していないですね。でもオリンパスが大腸の内視鏡検査をサポートするAIソフトを最近作ったらしいですよ。
Bさん 目の検査は実用化しているって聞きました。
Aさん 特に網膜とかは進んでいるらしいね。
Cさん アメリカだと便中DNA検査でがんを調べる研究が進んでいるらしいです。精度も高いそう。
Aさん まだ試験段階で、エビデンスが揃いきっていないのが現状ですが、トレンドなのは間違いないですね。
Bさん 全てが代替されることはないでしょうが、我々の技術や経験が負けてしまう瞬間は、近い将来訪れそう。
自由診療である人間ドックの料金は施設によってかなり差がある。その内訳として、機器や人件費はもちろんのこと、立地も大きく影響する。検査の内容や質はしっかり吟味したい。
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取材・文/桑元康平 編集/千葉康永 イラスト/安藤直(asterisk-agency)
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