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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
弁護士が元依頼者に手を出しちゃった事件です。
元依頼者の夫はブチギレ。
弁護士に慰謝料を請求しました。
裁判所もブチギレた理由とは!?
(東京地裁 H19.2.27)
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
登場人物
▼ 夫
・社長(液化石油ガスを販売する会社)
▼ A子(妻)
・夫に暴力を振るわれ離婚を決意
▼ 男性弁護士
・A子に好意を持つようになった
どんな事件か
▼ 約4年で夫婦関係は冷める
経緯は以下のとおりです。
H2.9 結婚
H5 娘がうまれる
H6 別居状態に
夫は結構バイオレンスだったようです。H5には、夫はA子に傷害を負わせています(左上腕打撲)
▼ A子と弁護士の出逢い
妻は弁護士に「夫と離婚したい」と相談を持ちかけました。弁護士は妻の依頼を受け、夫に内容証明郵便を送付しました。離婚の方向で話し合いたい旨を記載した書面です。
その約5ヶ月後、また夫は妻に傷害を負わせます。次は……尾骨骨折(全治約1ヶ月)です。ブチギレた時に物を投げたりしていたようです。
〜 そこから離婚はせずに7年くらい期間が空きます 〜
▼ 夫の会社で紛争勃発
夫の会社で紛争が勃発します。各社の経営権をめぐる紛争です。夫は妻に「あの弁護士を紹介してほしい」とお願いしました。
7年前に妻を味方した弁護士になぜ?ってことなんですが、この弁護士は会社法務を専門としていたので、夫はビジネスライクに考えて妻に「紹介してくれ」とお願いしたのかな。
弁護士は夫の会社や関連会社から依頼を受けました。そして訴訟事件や保全事件などを受任して、結果、報酬2703万円を受けとりました。
▼ なんじゃこのメールは!
それから約1年後、妻は娘を連れて家を出ることを決意しました。その時!事件発生です。キッチンにA子の携帯が置かれていました。夫が携帯を開いてみると、あらビックリ!こんなメールが。
■ A子が弁護士に送ったメール
・「愛してる」
・ハートマークが頻繁に使われる
・「ずっと、2人一緒に居たからポッカリしています」
・「この3日間、私と娘に優しくしてくれて本当にありがとう。……初めての3人旅行はいい思い出だったね!」
・「胸のキスマーク(絵文字)」のタイトルで「ゴルフ場の浴場での胸のキスマーク(絵文字)には気をつけて」
■ 弁護士がA子に送ったメール
・「A子の気持ち、信じているからA子が最善と考えるやり方をとってください。火曜日はホテルで問題ないけど下馬でもいいよ。電話(絵文字)まってます、愛してるよ(ハートマーク)」
■ A子の返信
「……火曜日の夜は安全のためホテルかな(ホテルマーク)」
ご愁傷さまです。メールを見た夫はA子を問い詰めました。そして証拠保全のために携帯を返しませんでした。
▼夫が提訴
夫は弁護士を提訴。慰謝料2000万円を請求しました。