マイナ保険証のメリット
マイナ保険証の利用によるメリットには、次のようなことが挙げられる。
- 過去の処方薬や健診の情報を共有できる
- 手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
- 確定申告時の医療費控除申請が簡単になる
- 初診料や再診料が安くなる
- 転居・転職してもすぐに使える
それぞれのメリットについて、詳しく解説する。
■過去の処方薬や健診の情報を共有できる
マイナ保険証を利用することで、自身の過去の診療情報や薬剤情報がマイナポータルで確認できる。医療機関や薬局で情報の提供に同意すれば、これらの情報は医師や薬剤師にも共有される。おくすり手帳をつい忘れてしまった場合も安心だ。初めて受診する医療機関でも過去の情報をスムーズに確認できるため、適切な医療を受けられるだろう。
■手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
高額療養費制度とは、医療機関や薬局での支払額が一か月で限度額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度。
従来の手続きでは、医療機関や薬局の窓口で一旦全額を支払い、支給申請書を提出する必要があった。後ほど支給されるとしても、一時的に高額な費用を払うのは負担が大きい。
マイナ保険証を利用すれば、従来の面倒な手続きは不要で限度額を超えた分の支払いが免除される。
■確定申告時の医療費控除申請が簡単になる
マイナ保険証の利用で、確定申告時の医療費控除申請も簡単になる。従来の手続きでは、医療費の領収書を基に作成した「医療費控除の明細書」を確定申告時に添付する。そのため、確定申告まで1年分の医療費の領収書を保管する必要があった。
マイナ保険証を利用してマイナポータルとe-Taxを連携させれば、データが自動入力されるので、手続きの作業負担が大幅に軽減される。領収書の管理が不要になり、さらに入力ミスも防げるだろう。
■転居・転職してもすぐに使える
マイナ保険証の利用登録をしている場合、転居や転職をした後でもすぐにマイナ保険証を利用できる。従来の保険証では新たな保険者への加入手続き後、健康保険証が手元に届くまでに時間を要して不便を感じることがあった。
マイナ保険証は手元にあるカードをそのまま使えるため、安心して受診できる。ただし、新しい保険者への加入手続きは必要。転居・転職後に即日反映はされない可能性があるため、医療機関を受診したい際にはマイナポータルで資格情報を確認しよう。
マイナ保険証のデメリット
便利な面が多い一方で、マイナ保険証に関するデメリットを指摘する声もある。
- 個人情報漏洩のリスクがある
- 有効期限が切れると使えない
- マイナ保険証に対応していない医療機関がある
- システムの不具合やエラーで使えない場合がある
それぞれのデメリットについて、詳しくチェックしておこう。
■個人情報漏洩のリスクがある
健康保険証として使うことを前提とするならば、マイナ保険証は普段から携帯する必要がある。そのため、紛失や盗難により個人情報が漏洩する可能性があると不安視する声が多い。
■有効期限が切れると使えない
マイナ保険証は、搭載されている電子証明書の有効期限が切れると使えなくなる。電子証明書の有効期限は、おおよそ5年(正確には、発行の日から5回目の誕生日まで)。マイナ保険証を継続して利用するためには、有効期限が切れるまでに自治体の窓口で更新手続きが必要だ。
ちなみに、更新手続きが間に合わなかった場合でも、有効期限の満了日が属する月から3か月後の月末まではオンライン資格確認により有効な資格情報のみ医療機関に提供されるため、健康保険証として利用できる(例:有効期限が3月25日→6月末まで)。
その期間内にも更新がされなかった場合は利用登録が解除されるため、電子証明書の更新手続き後に再登録しよう。
■マイナ保険証に対応していない医療機関がある
2024年4月より、医療機関と薬局では原則マイナ保険証導入が義務化された。これにより、ほぼすべての医療機関と薬局でマイナ保険証が使えるようになった。しかし、一部では導入していない医療機関もあり、機関によってはマイナ保険証の利用ができない。
■システムの不具合やエラーで使えない場合がある
マイナ保険証は医療機関や薬局に設置されているカードリーダーに読み込ませて利用するが、機器やシステムの不具合、エラーで利用できないトラブルが報告されている。デジタル化によって便利になった点は多いが、デジタル化ならではのデメリットもある。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部