
2025年4月1日から「出生後休業支援給付金」が新設されます。従来の育児休業給付金と合わせると、育児休業期間のうち最大28日間は、休業前の手取りを維持することができます。
これから育児休業を取得しようとしている方は、新制度の内容を確認しておきましょう。
本記事では、出生後休業支援給付金について解説します。
1. 出生後休業支援給付金とは?
出生後休業支援給付金とは、育児休業を取得する雇用保険の被保険者(会社員など)のうち、一定の要件を満たす人に対して支給される給付金です。従来からある育児休業給付金に上乗せして支給されます。
2025年4月1日から施行される雇用保険法等改正により、出生後休業支援給付金が新設されました。
従来から設けられている育児休業給付金は、育児休業開始から180日が経過するまでは休業前賃金の67%(手取りベースで80%相当)が支給されます。
これに出生後休業支援給付金を加えると、支給額の合計が休業前賃金の80%(手取りベースで100%相当)となります。
出生後休業支援給付金の対象期間は最大28日間と限られていますが、その間は休業前の手取りを100%維持することが可能となります。
2. 出生後休業支援給付金を受け取るための要件
出生後休業支援給付金を受け取るためには、原則として本人と配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する必要があります。
この要件は、父母が共同で育児をする機会を確保する趣旨から設けられているものです。
ただし、配偶者が育児休業を取得できない理由がある場合には、本人が14日以上の育児休業を取得するだけで足ります。
具体的には、子の出生日の翌日において以下の状況にあるケースでは配偶者の育児休業取得は不要です。
・配偶者がいない
・配偶者と子の間に法律上の親子関係がない
・配偶者から暴力を受けて別居している
・配偶者が仕事をしていない
・配偶者が自営業者やフリーランスなど、雇用される労働者でない
・配偶者が産後休業中である
・上記以外の理由で、配偶者が育児休業を取得することができない
3. 出生後休業支援給付金の支給額・支給期間
出生後休業支援給付金の支給額は、休業開始時賃金の13%です。従来からある育児休業給付金と合わせると、休業開始時賃金の80%(手取りベースで100%相当)を受け取ることができます。
出生後休業支援給付金を受け取ることができるのは、以下の期間に取得する育児休業のうち、最大28日間です。
男性:子の出生後8週間以内
女性:産後休業後8週間以内
4. 出生後休業支援給付金を受け取るための手続き
出生後休業支援給付金を受け取るためには、勤務先の事業主を通じて受給資格確認と支給申請の手続きを行う必要があります。人事担当者などに出生後休業支援給付金を申請したい旨を伝えて、必要書類などの指示を受けましょう。
勤務先が協力してくれない場合は、本人が受給資格確認と支給申請の手続きを行うこともできます。申請書類の提出先は、事業所の所在地を管轄するハローワークです。
出生後休業支援給付金の申請手続きの詳細は、厚生労働省が公表している資料で解説されていますので、必要に応じてご参照ください。
参考:育児休業等給付の内容と支給申請手続 被保険者・事業主の皆さまへ|厚生労働省
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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