トラブルの相手方などに対して送付する内容証明郵便は、「e内容証明」によって電子的に送付することができます。
紙の内容証明郵便に比べて、e内容証明には便利な点が多いです。自分で内容証明郵便を送付する機会がある方は、e内容証明の利用も検討しましょう。
本記事では、e内容証明(電子内容証明)のメリットや送付方法などを解説します。
1. 内容証明郵便とは
内容証明郵便とは、郵便局が差出人・宛先・差出日時・内容を証明する郵便物です。配達証明オプションを付ければ、配達日時も証明してもらえます。
1-1. 内容証明郵便を送るべきケース
内容証明郵便を送るのは、主に法律や契約に関する請求や通知を、記録が残る形で行いたいときです。
具体的には、以下のような場合には内容証明郵便を利用するのがよいでしょう。
・お金を貸している相手に対して、貸金の返還を請求するとき
・未払いとなっているサービス料金の支払いを請求するとき
・長期間返していない借金の時効を援用するとき
・契約違反を犯している相手に対して、違反を是正するよう強く求めたいとき
など
1-2. 内容証明郵便の作成方法|書面(紙)とe内容証明
内容証明郵便を作成する方法には、書面(紙)とe内容証明(電子内容証明)の2種類があります。
書面で内容証明郵便を作成する場合は、郵便局の窓口で発送手続きを行います。内容証明郵便の発送を取り扱っているのは、比較的規模の大きな郵便局に限られています。
発送に当たっては、原本(内容文書)に加えて、同じ内容の謄本を2通用意しなければなりません。謄本には書式のルールが定められており、ルールを守って作成する必要があります。
これに対してe内容証明の場合は、オンライン上で発送手続きを行います。e内容証明は利便性が高いため、近年ではe内容証明を利用する人が増えてきています。
2. e内容証明(電子内容証明)のメリット
e内容証明には、郵便局の窓口で手続きを行う紙の内容証明郵便に比べて、以下のようなメリットがあります。
(1)窓口に行く必要がない
オンライン上で手続きが完了するため、郵便局の窓口に行く必要がありません。特に、内容証明郵便を取り扱う郵便局が近くにない方にとっては便利です。
また、内容証明郵便を持ち歩く必要がないため、セキュリティ面でも安心です。
(2)複数部をまとめて発送しやすい
差込差出し機能を使えば、受取人ごとに内容が異なる文書を100通までまとめて発送できます。文書を確認する際にも、100通まで一括してダウンロードすることができます。
(3)コストを抑えられる
文字数が多い場合や複数部を発送する場合には、郵便局の窓口よりも料金が安くなります。
また、封筒や用紙を用意する必要がなく、印刷も不要である点もコストの削減に繋がります。
3. e内容証明(電子内容証明)の送付方法
e内容証明を発送する際には、事前に「Webゆうびん」の無料登録を行ったうえでログインします。
ログインが完了したら、e内容証明の会員専用メニューから文書ファイルをアップロードしましょう。その後、差出人と受取人の情報を登録したうえで文書の確認を行い、問題なければ差出(発送)の手続きを行います。
e内容証明の文書ファイルは、郵便局のウェブサイト上に掲載されている雛形を用いて作成します。異なる様式の文書は受け付けてもらえないのでご注意ください。
e内容証明サービスの操作マニュアルと文書ファイルの雛形は、以下のページに掲載されています。
参考:e内容証明(電子内容証明)操作説明書・文書ファイル雛形|郵便局
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
https://twitter.com/abeyuralaw