血管に傷がつくことで 内側の壁が厚くなる
糖も脂質も身体にとって必要な栄養素だ。しかし、取りすぎは害になる。「高い状態が数年、数十年と継続されることで、血管内を傷つけ続け、プラーク形成などに繋がります」と谷本医師。特に注意をしてほしいのが高血糖だという。
「慢性化することで、動脈硬化だけではなく、糖尿病などの病気を発症します。特に、糖尿病の失明などの合併症は有名です。血糖が高い状態が続くと、細い血管がダメージを受けやすいという特徴があります」
血糖値を下げるにはどうすればいいのか。
「糖質制限です。特に白い砂糖を極力控えましょう。あとは運動です。私たちの体は、糖が入ってきたらインスリンが分泌され細胞にとりこまれて栄養になります。しかし、肥満などの影響で、インスリンがあまり効かなくなると、糖が血管に漏れ出てしまいます」
では、脂質に関してはどうだろうか。
「HDLは下がることが問題で、運動不足が原因です。そして、LDLは上がるのが問題で、肥満や脂質の高い食生活、運動不足が原因となります」
肥満は大敵だということだ。
血糖値はとにかくHbA1cの変化が肝心
HbA1cの3年間の変化を確認してみよ
治療対象になるのは6.5以上だが、基準値ギリギリを維持しているのであれば注意が必要だ。「例えば一昨年6.0、昨年6.2、今年6.4というふうに、じわじわと上がってきているのであれば、血糖値が高い状態の生活が継続されているということに。来年か再来年には本格的な糖尿病になる可能性もある。基準値内にあるうちに運動や減量など早めの対策を進めるのが良い。本格的な糖尿病になってしまってから節制や薬物治療をするのは大変です」
脂質はLDLの高さこそ要チェック!
LDL3年間の変化を確認してみよう!
太っていないのにLDLが急上昇したならば、甲状腺異常を疑おう。「LDLは体重の増加と共に増加するのが一般的です。体重の増加もなく、倦怠感や食欲の低下、抑うつなどの症状があれば、注意が必要です。甲状腺異常だと代謝が落ちるため、身体の元気さがなくなり、どんどんエネルギーが消費されなくなるのです。また、若くしてLDLだけが基準値を超えていて、運動含め生活習慣の改善をしても数値に変化がないならば、家族性高コレステロール血症の可能性があります」
人間ドックで「心臓と脳」を詳しく調べるには?
もしかして実年齢+20歳!?血管の健康状況を調べてみよう
私の血管はどれくらいボロボロなのか──。現実に向き合うことは少し怖いが「生活習慣を改善したり、治療に積極的に取り組んだりするために、心臓や脳のドックも活用するといい」と谷本医師が話す。
「血管の状態を知るには、頸動脈エコーや心臓エコー、心臓MRIや脳MRI、冠動脈CTなどがあります。ご自身のリスクや家族歴に応じて、取捨選択するといいでしょう。ほか、ざっくりとでも血管の年齢を知りたいという人には、血管年齢検査というものもあります」
気軽に受けられるのは、頸動脈エコーや血管年齢検査だ。
「頸動脈の血管の状態を超音波で診て、血管壁の厚さや血管の内側の状態を調べます。頸動脈の状態は全身の血管状態の目安。40歳以上の方は、一度やってみるといいでしょう」
MRIや冠動脈CTとなると少し大掛かりな検査になるが、より詳細な血管の状態を知ることができる。
「〝血管が詰まりかけている〟〝脳動脈瘤ができている〟などが偶然見つかって手術できる人もいます。肥満の方や糖尿病がある人、家族に血管系の病気で亡くなっている人がいる人は、50歳を超えたら3年に1度くらい行なうといい」
ただ、血管の病気に関しては〝再来週破裂します〟のような具体的な予測はできるものではない。血圧や脂質、血糖の数値同様、将来のリスク管理のために活用しよう。
心臓エコー・頸動脈エコーとは?
超音波を用いて身体の中の臓器をリアルタイムに観察する検査だ。「心臓の大きさや形、壁の厚さ、動く様子、血管の形や血液の流れも評価します。放射線を使わないので被ばくのリスクはなく、とても簡単に行なえる検査です」
血管年齢検査とは?
血管の硬さと詰まり具合を専門の機械で測定し血管年齢を測る。「両手足に機械をつけ、5分ほどで検査は終了します。身体への大きな負荷もなく、金銭的負担も軽い。自分の血管の年齢がわかれば生活改善のモチベーションアップに繋がるでしょう」
取材・文/田村菜津季 編集/千葉康永 イラスト/macco
DIME5月号はあなたの命を守る「人間ドック」の大特集、付録つきのスペシャル版も発売中
DIME5月号
付録つきのスペシャル版も同時発売!
DIME5月号 スペシャル版
【特別付録】
明治「免疫チェック」特別キット
40年以上にわたって乳酸菌などによる免疫の研究を続けてきた株式会社 明治が提供する自分の免疫力を「見える化」するサービス。自宅で唾液を採取するだけで簡単に免疫力がチェックでき、ウイルスや細菌に負けない身体をつくるアドバイスが受けられる。スマホで簡単に申し込みできる手軽さに加え、検査は医療検査の最大手企業「H.U.グループ」と連携、検査の精度にもこだわっています。今回は通常3000円以上するこのサービスを無料で試せるクーポン付き特別キットが初の付録に!
※通常版にはこの付録は付きません。