
2024年より始まった新NISA制度などの影響で、生活者の投資への関心が高まっているとされる昨今。ではここ10年で、ビジネスウーマンの投資に対する意識・スタイルはどのように変わったのか?
スパークス・アセット・マネジメントはこのほど、全国の20歳~59歳のビジネスウーマンを対象に、「ビジネスウーマンの投資デビュー・投資スタイルに関する調査2025」をインターネットリサーチにより実施し、1,000名の有効サンプルを集計した。
ここでは、調査結果の中から「ビジネスウーマンの投資デビュー」「ビジネスウーマンの投資スタイル」に関する調査結果を抜粋し、紹介する。
ビジネスウーマンの41%が「投資デビュー済」、2015年から20ポイント上昇
全回答者(1,000名)に、金融資産への投資に関する状況を聞いたところ、現在投資をしている「現在投資層」が37.2%、以前投資していたが、現在はしていない「投資離脱層」が4.2%で、合計した『投資デビュー済層』は41.4%となった。
また、投資に興味があり、投資を始めたいと考えている「投資デビュー意向層」が13.4%、投資に興味があるが、投資を始めるかどうかはわからない「投資デビュー不確定層」が12.9%で、合計した『投資関心層』は26.3%、投資に興味はない「投資無関心層」は32.3%となった。
2015年の調査結果と比較すると、「投資デビュー済層」の割合は2015年21.8%→2025年41.4%と19.6ポイント上昇した一方、「投資無関心層」の割合は2015年52.1%→2025年32.3%と19.8ポイント下降した。10年でビジネスウーマンの投資への意欲は高まり、投資デビューをする人も増加したようだ。
ここで、ネット証券の利用経験率をみると、投資デビュー済層(414名)では72.9%と、全体(30.2%)と比べて、2倍以上になった。また、2015年の調査結果と比較すると、投資デビュー済層のネット証券の利用経験率は、2015年61.0%→2025年72.9%と、11.9ポイントの上昇がみられた。
投資したことのある金融資産 1位「日本株式」2位「投資信託」3位「外国株式」、「外国株式」は2015年から17ポイント上昇
投資デビュー済層(414名)に、これまで投資してきた金融資産を聞いたところ、1位「日本株式」(57.7%)、2位「投資信託(「REIT」以外)」(53.6%)、3位「外国株式」(30.2%)、4位「公社債」(8.7%)、5位「外貨(FXを含む)」(8.5%)となった。
2015年の調査結果と比較すると、「外国株式」は2015年12.8%→2025年30.2%と17.4ポイント上昇した。
現在投資層の投資スタイル 「長期投資派」は78%、2015年から11ポイント上昇
現在投資層(372名)に、自身の投資スタイルについて、それぞれ最も近いものを聞いた。
【投資スパン】では、「長期投資派(年単位で金融資産を保有)」が78.0%、「中期投資派(数か月~1年程度で売買)」が18.5%、「短期投資派(当日~数週間程度で売買)」が3.5%となった。2015年の調査結果と比較すると、「長期投資派」は2015年67.1%→2025年78.0%と10.9ポイント上昇した。
【投資金額】では、「リスク集中派(一度に、またはひとつの対象・分野に、一気に投資)」が26.1%、「リスク分散派(分散して、またはこまめに分けて、少しずつ投資)」が73.9%となった。2015年の調査結果と比較すると、「リスク分散派」は2015年81.5%→2025年73.9%と7.6ポイント下降した。
【投資対象選び】では、「インカムゲイン派(資産を保有していることによる利益(株式の配当金など)を重視)」が68.0%、「キャピタルゲイン派(売買の差額による利益を重視)」が32.0%となった。2015年の調査結果と比較すると、「インカムゲイン派」は2015年62.4%→2025年68.0%と5.6ポイント上昇した。
【投資の目的】では、「老後資金づくり派(老後や未来の生活費をしっかり稼ぐ)」が75.3%、「お小遣いづくり派(プチぜいたくのためのお小遣いを稼ぐ)」が24.7%となった。2015年の調査結果と比較すると、「老後資金づくり派」は2015年63.6%→2025年75.3%と11.7ポイント上昇した。
【投資対象と社会貢献について】では、「社会貢献重視派(社会に好影響を与えているものに投資)」が31.5%、「自己利益重視派(自身が得る利益を最大化するものに投資)」が68.5%となった。2015年の調査結果と比較すると、「社会貢献重視派」は2015年26.6%→2025年31.5%と4.9ポイント上昇した。
【引き際について】では、「ロスカット派(わずかでも値下がりを感じたらすぐ売却する)」が18.5%、「塩漬け派(多少値下がりを感じてもすぐ売却せず、値動きを見張る)」が81.5%となった。2015年の調査結果と比較すると、「ロスカット派」は2015年9.8%→2025年18.5%と8.7ポイント上昇した。
投資デビュー済層の年間投資額 平均は191万円、50代では256万円
投資デビュー済層(414名)に、1年間の投資額を聞いたところ、「100万円~300万円未満」(19.1%)や「10万円未満」(18.1%)、「10万円~30万円未満」(18.4%)などに回答が集まり、平均は191万円となった。年代別にみると、1年間の投資額の平均は、上の年代ほど高くなる傾向がみられ、50代では256万円となった。
投資デビュー意向層(134名)に、1年間にいくらくらい投資をしたいと思うか聞いたところ、「10万円未満」(27.6%)や「10万円~30万円未満」(26.9%)に回答が集まり、平均は92万円となった。年代別にみると、1年間に投資をしたいと思う金額の平均は、30代(108万円)と40代(109万円)が高くなった。
現在投資層の昨年の投資損益 74%が「プラス着地」、利益額は20万円が中央値
現在投資層(372名)に、昨年(2024年)の投資の損益を聞いたところ、「プラス着地」は74.2%、「プラスマイナスゼロ着地」は18.5%、「マイナス着地」は7.3%と、投資で利益が出た人が大半となった。年代別にみると、「プラス着地」と回答した人の割合は、30代(78.1%)が最も高くなった。
投資スタイル別にみると、「プラス着地」と回答した人の割合は、長期投資派では79.7%と、中期投資派(55.1%)と比べて24.6ポイント高くなり、リスク分散派では76.4%と、リスク集中派(68.0%)と比べて8.4ポイント高くなった。短期的な市場の変動に惑わされることなく資産を長期保有した人や、ポートフォリオを組んで投資対象を分散させていた人には、2024年に投資で利益を出した人が多いようだ。
昨年の投資損益がプラス着地だった人(276名)に、投資による昨年(2024年)の利益を聞いたところ、「10万円未満」(32.6%)に多くの回答が集まったほか、「10万円~30万円未満」(22.1%)、「30万円~50万円未満」(15.2%)、「50万円~100万円未満」(13.8%)にも回答が集まり、平均は100万円、中央値は20万円(※)となった。
年代別にみると、昨年(2024年)の利益の平均は、40代(128万円)が最も高くなり、30代(112万円)、50代(98万円)が続いた。
※中央値は「10万円~30万円未満」の範囲にあり、中間値である20万円を中央値として記載
<調査概要>
◆調査タイトル :ビジネスウーマンの投資デビュー・投資スタイルに関する調査2025
◆調査対象 :ネットエイジアリサーチのインターネットモニター会員を母集団とする
全国の20歳~59歳のビジネスウーマン(アルバイト・パートを除く)
◆調査期間 :2025年1月10日~1月14日
◆調査方法 :インターネット調査
◆調査地域 :全国
◆有効回答数 :1,000サンプル(有効回答から各年代が均等になるように抽出)
◆実施機関 :ネットエイジア株式会社
構成/こじへい