小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

誤診の可能性は?白内障や角膜疾患を見つける「CorneAI」の診断精度

2025.04.01

AIサポートにより前眼部疾患の診断精度が向上か

AI活用が医療現場にもたらす効果についての研究が活発化している。そのような中、白内障や角膜疾患の診断用に設計されたディープラーニングモデル「CorneAI」のサポートにより、角膜炎などの前眼部疾患に対する眼科医の診断精度が向上したという研究結果が報告された。

CorneAI自体の診断精度は86%だったが、そのサポートにより、眼科医の精度がCorneAIのベースを超えて向上したという。福島県立医科大学附属病院眼科学講座の前原紘基氏、筑波大学附属病院眼科の上野勇太氏らの研究によるもので、詳細は「Scientific Reports」に2月11日掲載された。

人工知能(AI)は画像診断(CT、MRI、病理画像など)と親和性が高く、研究開発が活発化している分野の一つだ。眼の画像診断は、様々な前眼部疾患の診断と管理に重要な役割を果たしている。研究グループは、前眼部のカラー写真5,270枚を教師データとして、AIベースの分類ツールであるCorneAIを開発した。教師データには、細隙灯顕微鏡で撮影された、正常、感染性浸潤、非感染性浸潤、瘢痕、沈着/ジストロフィー、水疱性角膜症、水晶体混濁、腫瘍性病変、緑内障発作の9つのカテゴリーの画像が含まれた。

CorneAIは、眼科医の診断精度の向上、潜在的な診断の提示などに活用できる可能性があるが、AIサポート診断における影響はまだ十分に検討されていなかった。本研究では、CorneAIのサポートにより、眼科医による前眼部疾患の診断の効率と精度が向上するという仮説を立て、CorneAIサポートの有無によるスマートフォン(スマホ)と細隙灯顕微鏡に基づく前眼部疾患の診断性能を評価することとした。

対象は、2022年1月から12月までに13施設で収集された前眼部疾患を有する807名で構成された。症例ごとに、スマホ、細隙灯顕微鏡でそれぞれ1枚の画像が収集された。この807名より無作為に選択された50名(100画像)を最終的な解析対象に含めた。

まず、40人の眼科医(専門医20名、研修医20名)にはConreAIを用いずに画像を9つのカテゴリーに分類してもらった。次に、2~4週間後に同じ画像をCorneAIのサポートの下、再度分類してもらった。その結果、眼科医による全体的な分類精度は79.2±7.9%から88.8±5.3%に大幅に向上した(t検定、P<0.001)。なお、CorneAI自体の画像の分類精度は86.0%だった。

画像別にみると、スマホ画像の精度は78.8±23.2%から85.8±22.8%へ、細隙灯顕微鏡画像では81.6±21.8%から89.2±14.8%へとそれぞれ向上していた(各P<0.001)。また、診断に要する時間においても、CorneAIのサポート下では専門医、研修医ともに短縮される傾向が認められた。

研究グループは、今回のCorneAIの検証結果について、「CorneAIのサポートを受けた眼科医で診断精度が向上し、その診断時間が短縮される可能性が示唆された。また、CorneAIは細隙灯顕微鏡画像で学習しているにも関わらず、スマホ画像でも診断精度を効果的に向上させることができた。CorneAIをスマホ画像で学習させればさらなる精度の向上が望めるかもしれない」と総括した。本研究の限界としては、参加した眼科医が大学病院に所属しており、一般病院やクリニックに勤務する眼科医とは区別されること、眼科医が最初の診断の結果を覚えている可能性を完全に否定できないことなどを挙げている。

CorneAIの可能性を示す一方で、著者らは、「AIはあくまでも診断サポートツールであり、誤診をする可能性もある。AIが普及したとしても、医師は臨床経験を積み、専門知識を磨く努力を続ける必要がある」と強調した。(HealthDay News 2025年3月24日)

Abstract/Full text
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11814138/

Copyright (C) 2025 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

構成/DIME編集部

誤診が多発する?救急外来でのChatGPT活用は時期尚早か

人工知能(AI)のChatGPTを病院の救急外来(ED)で活用するのは時期尚早のようだ。EDでの診断にAIを活用すると、一部の患者に不必要な放射線検査や抗菌薬の...

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2025年3月14日(金) 発売

DIME最新号は、「人間ドッグの新常識」。医師が本音で語る、受けるべき検査・いらない検査とは? 鈴鹿央士ほか豪華インタビューも満載!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第6091713号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。