
企業などで行なわれる健康診断以外に、自分の意思と自費で受診するのが人間ドック。中でもマストで選択したい「がん検診」の気になる中身を紹介!
肺がん
喫煙者は若くても検査するのが正解!
X線検査が主流だがCT検査をしたほうが発見率が高い
胸部X線検査よりもCT検査のほうが発見しやすい
がんのなかで最も死亡率が高く、男性で1位、女性で2位、年間約7万5000人(国立がん研究センター)が亡くなる肺がん。症状が出てからではすでに進行していることが多く、早期発見がカギとなる。ゆえに喫煙者など特にリスクが高い人は検診をおすすめする。
低線量CTを用いた肺がん検査を行ない、「肺がん専門外来」がある似鳥クリニックの似鳥純一さんが解説する。
「喫煙指数(1日の喫煙本数×年数)が600を超える重喫煙者や親族に肺がん罹患者がいる人は少なくとも40歳以上で肺がん検診を受けてほしいですね」
一般的な検診では胸部X線検査や喀痰検査が主流だが、CT検査のほうが早期発見につながる。
「X線ではがんが心臓や肝臓、骨の裏にあって映らないものもCTならキャッチでき、肺がんに特徴的なすりガラス状の陰影まで画像診断できるためステージ0かⅠの段階で見つけることも可能です」
その段階で発見できれば手術による切除で完治を見込めて5年生存率も高くなる。似鳥院長によれば、米国の研究調査ではレントゲンよりもCT検査で約20%死亡率が下がるという報告もある。
では、どれくらいの頻度でCT検査すればよいのか。
「喫煙や遺伝要因などの不安がある人は1年に1回、それ以外は2年に1回の検査をおすすめします」
似鳥クリニック
呼吸器内科 内科 理事長
似鳥 純一さん
国立がん研究センターでの診療・研究を経て、ニューヨークで肺がん研究に携わる。 東京都健康長寿医療センター 呼吸器外科部長を経て似鳥クリニックを開設。
男女共に40歳以上が要注意!!DATA of 肺がん
男女とも40歳以上から罹患率が増えはじめるが、男性のほうが罹患率は高く、特に50代半ば以降に顕著に発症率が高まっている。
出典:国立がん研究センター「がん統計」「10年生存率集計公表」を参考に編集部作成
What’s 肺がん検診
40歳以上1年に1回
X線検査と喀痰細胞診が主流だがCT検査で確度を上げる傾向に
自治体で受ける肺がん検診は40歳から年1回推奨され、胸部X線検査(レントゲン)となる。50歳以上の喫煙者で喫煙指数(1日の喫煙本数×年数)が600以上の人と過去に喫煙歴のある人を対象に喀痰細胞診も実施。「肺がんの疑いなし」なら次回の検査を待つことになるが、血痰や長引く咳、声がれなどの症状が生じた場合はすぐに医療機関を受診すべし。
「肺がんの疑いあり」の場合、人間ドックなどでCTによる精密検査を受ける。特に肺がんが疑われるケースでは気管支鏡を挿入して直接観察することもある。
喫煙者の痰を採取して顕微鏡で観察
喀痰細胞診
50歳超の喫煙者が対象。痰を採取して顕微鏡で観察し、肺や気管支の細胞の悪性度を調べる。3日間起床時に痰を採取し、専用容器で提出する。
正面と横から撮影!腫瘍があれば影が映る
胸X線検査
レントゲン写真の濃淡や臓器の形状をチェックする。腫瘍があれば白い影(陰影)として映る。肺がん検診では正面と横2枚撮影するのが一般的だ。
内視鏡を挿入して気管支の中をチェック
気管支鏡検査
直径5mm程の内視鏡を鼻や口から挿入し、気管支を観察する。肺がんが疑われる場合、細胞や組織を採取してがん細胞の有無を確定する。
肺を1〜5mm幅で切り取った断面図で確認
CT検査
身体の周囲からX線をあて、肺を1〜5mm幅で切り取った数百枚の断面図でがんの病変を疑う箇所やリンパ節や他臓器への転移の有無を調べる。
NEWS and TOPICS
被ばく線量は一般的なCTの5分の1!
低線量CTなら体へのダメージを抑えられる
CT検査で気になるのが放射線の被ばく線量だろう。画像部位によって異なるが、CTを1枚撮ると通常のX線を20〜40枚撮るくらいの被ばく線量になる。被ばくのリスクを抑えるために有効なのが低線量CTだ。前出の似鳥院長によれば「低線量CTは通常のCTの5分の1の被ばく線量」という。これは胸部X線検査の被ばく線量ともそれほど変わりがない。
「CT画像よりもやや解像度は劣るもののX線では映らないすりガラス状の白い影(陰影)ははっきり映り、肺がんかただの炎症か識別するには十分な精度があります」(似鳥さん)
低線量CTで撮影した肺の画像。「CT検査」の鮮明な画像よりも解像度は低いが、断層写真が撮れるためX線検査よりもがんを発見しやすい。
似鳥クリニックで導入している「128スライス低線量CT」のX線量は、従来CTの約10分の1、胸部単純撮影と同等のX線量(胸部2方向)で撮影する。息を止める時間がわずか3秒なのも◎。
取材・文/竹村元一郎 イラスト/macco 編集/寺田剛治
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