
企業などで行なわれる健康診断以外に、自分の意思と自費で受診するのが人間ドック。中でもマストで選択したい「がん検診」の気になる中身を紹介!
胃がん
検査で見つかりやすいがん。ピロリ菌除去と内視鏡検査で万全に
日本は胃がん大国と言われ、胃がんで亡くなる人の数は非常に多い。しかし、今後は胃がんで亡くなる人や罹患者数はゆるやかに減少しそうだ。その理由を「胃がんの主な原因の排除と、早期発見・早期治療によるもの」と語るのは、前出の消化器内視鏡専門医・豊島治さんだ。
「胃がんの主な原因はピロリ菌感染です。感染をしている人は感染していない人の20倍のリスクがあるといわれます」
とはいえ、ピロリ菌が陰性の人もがんになる可能性はゼロではなく、油断してはいけない。
「すべての人に有用なのは定期的な内視鏡検査。早期発見に適し、見落としも非常に少ない検査です」
他のがん同様、胃がんも早期ではほとんど症状がなく、症状が出てから検査をしては遅いのだ。
「治療は手術や抗がん剤などがあります。胃の中にがんが留まっているようならば、内視鏡による手術。胃の外にまで達している可能性があると、腹腔鏡やロボットによる外科手術が選択されることになります」
早期発見し、内視鏡でがんの治療ができると身体への負担も少なくて済む。ただ、ステージが進めば進むほど生存率が低くなってしまうのは、他のがんと同様だ。
「内視鏡を使えば、病変も非常に見つけやすく、ピロリ菌の除菌を行なえば、がんリスクを半減させることも可能です。予防と検査の両輪をしっかり行なう、胃がん対策をおすすめしたいですね」
とよしま内視鏡 クリニック院長
豊島 治さん
日本消化器内視鏡学会認定、消化器内視鏡専門医。東京大学医学部卒業。クリニック全体では内視鏡検査を年間1万3000件、手術4000件近くを行なう。
日本は胃がんに一番なりやすい!?DATA of 胃がん
30年ほど前は断トツで亡くなる人が多かった胃がん。現在は、男女共に罹患者数死亡者数共に減少傾向にあるが、今後の変化に注目だ。
出典:国立がん研究センター「がん種別統計情報2023年」「院内がん登録2011年10年生存率集計」を参考に編集部作成