
企業などで行なわれる健康診断以外に、自分の意思と自費で受診するのが人間ドック。中でもマストで選択したい「がん検診」の気になる中身を紹介!
大腸がん
便潜血検査だけに安心せず、大腸内視鏡検査を定期的に行なうことで命を守る
がんになる前のポリープ発見&切除で予防を
大腸がん検診=便潜血検査と考えている人は多いと思うが、「それだけで安心するのは早計」と語るのは、消化器内視鏡専門医の豊島治さん。「早期の大腸がんは症状がほぼありません。便潜血で発見されるがんは進行していることが多いため、早期で発見するには定期的な内視鏡検査がベスト。もし内視鏡検査時に発見したがんが早期であれば、そこで切除することも可能です。早期なら100%に近いレベルで治りますから」
がんが進行すると、血便や便秘、下痢などの症状が現われはじめる。
「がんが深くまで進み、リンパ節転移などを起こしている可能性が出てくると、手術が必要になります。最近は腹腔鏡やロボットによる手術が主流ですが、開腹手術になることも。隣接する臓器に転移があれば、抗がん剤治療や放射線治療も検討します。外科手術の前に、抗がん剤や放射線でがん細胞を小さくしてから取り除くということもありますね」
だが、この大腸がん、十分予防することができるがんでもある。その方法が、前述の内視鏡検査で、いち早くポリープを発見することだ。
「大腸はポリープががん化すると言われていますから、がんになる前段階で取り除くことが、予防につながるわけです。ただ、大腸がんポリープの発見率は医師により異なることが報告されています。医師の腕の差が顕著に出てしまう検査ではあります」
ポリープ発見率の高い内視鏡医の内視鏡検査を受けることで命を落とす確率を下げられるのなら、しっかりリサーチして臨みたい。
とよしま内視鏡 クリニック院長
豊島 治さん
日本消化器内視鏡学会認定、消化器内視鏡専門医。東京大学医学部卒業。クリニック全体では内視鏡検査を年間1万3000件、手術4000件近くを行なう。
40代から男女共に要注意!DATA of 大腸がん
罹患者総数・死亡者数はトップクラス。毎年約15万人が診断され、約5万人が亡くなっている。早期発見のためには、何より検査が重要。
出典:国立がん研究センター「がん種別統計情報2023年」「院内がん登録2011年10年生存率集計」を参考に編集部作成