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完成度の高いファミリーワゴンへと進化したVW「パサート eHybrid」の魅力

2025.03.25

 VW「パサート」は、ミドルクラスのモデルとして、1973年に登場。50年以上の歴史を誇るロングセラーモデルだ。販売台数もあの「ビートル」を超える3400万台以上に達している。最新モデルは9世代目で、2024年11月から日本市場でも販売が開始された。最新型の特徴は、これまで4ドアセダンとステーションワゴンで構成されていたラインアップがステーションワゴン専用になったこと。

国産車に乗り換える候補車種がない今、ステーションワゴンの主役へ

 このクラスの4ドアセダンは、SUVの上級モデルにユーザーを奪われ、シュリンクしていた。同じサイズでもドイツご三家のような高級車セダンは販売が低迷するところまではいかなかったが「パサート」クラスは厳しい戦いを強いられていた。

 そこで、VWはセダンをラインナップから落とすことを決めた。ステーションワゴンは、荷物を積みたいが、SUVのようにドライビングポジションが高いのはイヤ、というヨーロッパの顧客には人気があり、特にドイツではメルセデス・ベンツ、BMW,アウディが力を入れているので、販売も期待できると読み、ステーションワゴンを残した。日本では過去にワゴンブームがあり、トヨタ、日産、マツダ、三菱、ホンダ、SUBARUが大小のワゴンタイプを販売していた。しかし、ブームとともに国内メーカー各社はワゴン市場から撤退。最後まで頑張っていたマツダも「Mazda6」の国内販売をやめてしまった。これにより、ステーションワゴンは国産車に乗り換える候補車種がなくなってしまったのだ。ドイツご三家のワゴンは高額すぎる。サイズが小さくても高額だ。

 そこに登場したのが新型「パサート」だ。ボディサイズは全長4.9m、全幅は1.9mに近いクラス。「Eクラス」「5シリーズ」「A6」とほぼ同じだ。しかし、価格帯は500~600万円台以上となっている。パワーユニットは3種類。直4,1.5Lのマイルドハイブリッドガソリンターボの「eTSI」、直4,2.0Lディーゼルターボ+フルタイム4WDの「TDI」、1.5Lガソリンターボ+モーターの「eHybrid」だ。

 試乗したのは「eHybrid」の上級モデル「Rライン」だ。新型「パサート」は先代よりもホイールベースが50mm延長され、全長も130mm長くなっている。プラグインハイブリッドは満充電の状態で走行可能距離はカタログでは142kmだが、試乗車を受け取ったときは充電量が89%で航続距離は84kmと表示されていた。「パサート」のプラグインは充電は200V専用で急速充電はできない。家庭での充電を前提としている。走行中は充電量をそれ以上減らさないように「HYBRID」モードでキープすることはできるが充電することはできない。

 例えば、家から高速道路までモーターで走り、高速に乗ったらエンジンを使い、高速を降りたら再びモーター走行をしようとすると難しい。ハイブリッド走行で電池を使ってしまうのだ。このあたりのプログラミングは一考してほしいところだ。

 インパネ中央にある大型のコントロールパネルで、ドライビングモードを選ぶ。モードは「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「カスタム」の4モードだが「カスタム」を選ぶとさらに7項目でコンフォートとスポーツのセッティングをチョイスできる。「コンフォート」でスタート。グッドイヤー「イーグルF1」というスポーツタイヤを装着しているので、低速で、ややザラザラとした感触がある。しかし乗り心地は低速から高速までフラットなしっとり感がある。新型パサートはワゴン専用ボディになったことで、従来のアーキテクチャーを進化させたMQBevoアーキテクチャーを採用した。これにより多くの最先端技術を採用することができた。

 アダプティブシャーシコントロールも大幅に進化した事がコンフォートモードでのフラット感につながっている。一方「スポーツ」モードではやや重めの操舵力で、ハンドルの動きに対してリニアに反応。「パサート」をスポーツワゴンに変身させてくれる。プラグインハイブリッドの試乗車は街中ではエンジンがかかることなく、EV走行で走った。

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