
「サイパン」と聞くと、手頃な価格で日本からも近いリゾートのイメージを抱く人も多いだろう。
1997年のピーク時に45万人以上の日本人渡航者を迎えたサイパンのあるマリアナ諸島だが、実は航空会社の減便などさまざまな要因で減少。コロナ禍を経た2024年の渡航者数は23万7487人となっている。そのうち韓国からの渡航者は17万7943人と回復基調にある一方で、日本人渡航者はわずか1万2625人しかいないという。
こうした背景を踏まえ、マリアナ政府観光局(MVA)は、日本とのさらなる関係強化を目指して、「マリアナ諸島リバイバルプロジェクト」を始動した。日本マーケットの需要喚起策として、日本国内を対象にマリアナ諸島(サイパン島、ロタ島、テニアン島)の豊富な観光資源の魅力発信、および観光促進に関するプロモーションを展開する予定だ。
DIMEではサイパンの日である3月18日に都内のホテルで開催された「マリアナ諸島リバイバルプロジェクト発表会」の模様をレポートする。
マリアナ政府観光局 ジャマイカ タイヘロン氏も来日
ジャマイカ タイヘロン氏
イベント冒頭では、新しくマーケティング・ディレクターに就任したジャマイカ タイヘロン氏が登壇。就任後、初めて日本での公の場に登場したジャマイカ氏は、次のように展望と意気込みを語った。
「今後も観光インフラを強化し、日本の訪問者に合わせた新しい体験を開発することで、マリアナ諸島を訪れるすべてのお客様が深くくつろぎ、喜びを感じられる観光地を目指します。そして共にさらに強い未来を築いていくことを楽しみにしています」
■「マリアナ諸島リバイバルプロジェクト」の詳細を発表
続いて、日本においてマリアナ諸島をPRしていくパートナーエージェンシーである電通・石田悠氏が「マリアナ諸島リバイバルプロジェクト」の詳細について発表。
日本国内の様々な企業・団体とのパートナー連携をはじめ、生活者の旅行トレンドを踏まえたプロモーション戦略やグローバル施策を展開することで、日本とマリアナ諸島との交流をあらゆる方面から強化していく方針を明らかにした。
その概要は以下のとおり。
「toB」「toG」「toC」の3軸でマリアナ諸島の魅力を発信
マリアナ諸島リバイバルプロジェクトの取り組みとして「to C」のみならず「toB」「toG」といった多角的なアプローチを掛け合わせることで、豊富な観光資源をはじめとしたマリアナ諸島の魅力をさらに強く発信していくことが宣言された。
■toBのプロモーション戦略:「マリアナ諸島リバイバルプロジェクトパートナー」募集開始
「マリアナ諸島リバイバルプロジェクトパートナー」の募集が発表された。現地への視察協力やビジネスネットワーキング、ビジネスインセンティブサポート等の活動協力をマリアナ政府観光局日本事務局として行なうことで、パートナーとの協業を活性化させるという。
石田氏は、「パートナー企業と様々な取り組みを展開していき、マリアナ諸島をより身近な場所にしていきたいと考えています」と本取り組みへの意気込みを語る。
さらにBEAMSとのパートナー連携開始についても発表。「こうした取り組みを皮切りに、今後も多様な企業・団体と連携し、活動の幅を広げていくことを目指します」とリバイバルプロジェクトパートナーを強く募集する意向を見せた。
■toGのプロモーション戦略:戦後80年を迎える本年、平和促進に向けて広島県とも連携
続いて、toGの取り組みとして「平和促進に向けた広島県との連携」についても発表があった。かつて日本と深い関わりがあり、多くの観光客が訪れたサイパン。戦後80年を迎えた今、サイパンを含むマリアナ諸島の活性化を図り、日本との結びつきをさらに深めていくことを目的に、平和促進に向けた取り組みが強化される。
石田氏は「本年1月には広島県議団にマリアナを訪問いただきました。戦後80年の本年はさらに連携を深め、マリアナと日本との関係性をより多くの人に理解していただきたい」と今後の展望を語った。
■toCのプロモーション戦略:マリンダイビング大賞に入賞!人気の海外ダイビングエリアとして新しいコミュニティを開拓
石田氏から新しいダイビングコミュニティへのアプローチを開始することも発表された。
「コロナ禍を経てリゾート地への観光トレンドが変化し、写真映えする“スキンダイビング“が20代・30代の女性から好まれました。海外旅行が再び可能となった現在、マリアナ諸島は生活者が求める魅力的な旅先であると考えます」(石田氏)
マリアナ諸島は全国のダイバーが選ぶランキング企画「マリンダイビング大賞」にて「ベストダイビングエリア 海外部門」第2位に選出されている。4月に行なわれるマリンダイビングフェアにも出展を予定しており、マリアナ諸島への旅行を促進することが宣言された。
マリアナ諸島の魅力や観光ポイントなどを紹介するプレゼンテーションを実施
■マリアナ諸島の魅力:マリアナ諸島のサイパン島、ロタ島、テニアン島を紹介
当日はマリアナ政府観光局 日本事務局長 萩野隆二氏によるマリアナ諸島の魅力や渡航関連情報、観光ポイント、今後の観光に向けた取り組みを紹介するプレゼンテーションも行なわれた。
萩野氏は「サイパンは、リゾートとしてビーチ、ホテル、レストランなどももちろんありますが、大自然と何よりものんびりとしたリラックスできる時間を過ごせます」と説明。
「テニアン島は、日本の統治時代を感じる歴史の遺産が多くあり、日本との歴史のつながりが深い島です。ロタ島では、ロタブルーと呼ばれる真っ青な海や約50種にものぼる野鳥を見ることができます。島に住む皆さまもとてもフレンドリーで、安心のなかで非日常を楽しめる場所です」とマリアナ諸島の魅力について語った。
■マリアナ諸島への旅行情報
成田発ユナイテッド空港の直行便で約3時間で到着するので、地方からでも当日中への到着が可能な便利な観光地であることがアピールされた。
■マリアナのイベント情報
マリアナ諸島での年間を通したイベントが紹介された。3月に行われたサイパンパラソンや12月のヘル・オブ・マリアナ(ロードレース)などのスポーツイベントでは、日本人参加者が優勝しており、日本人も楽しめるイベントが多数あることが強調された。
■ターゲット別の旅行のポイント
次に、ターゲット別の旅行について、萩野氏は以下のように説明した。
「マリアナ諸島はフライト時間が短く、充実したキッズプログラムがあるため、ファミリー旅行に最適です。また、韓国では満足度の高い旅行先としてトップ10に選ばれており、韓国アイドルのロケ地としても有名なマリアナは女子旅にも最適。海越えのダイナミックなコースがあるゴルフ場などもあり国内では体験できないゴルフ旅行も経験できます。
また、多彩なパーティ会場やチームビルディングに最適なアクティビティが豊富に揃っているため団体/グループ旅行や、戦跡巡りを通じて平和や歴史を学ぶことができたり、実践的な英会話を学べるため、教育旅行にも適しています」
■新しいマリアナでの過ごし方
近くて安いでだけではないこれからのマリアナでの過ごし方として、ロングステイとして長期滞在で現地で暮らすような滞在、1時間という小さい時差を活かしてのワーケション滞在についても推奨された。また、都会を離れて一人で大自然でのんびりと過ごすした隠れ旅など、それぞれのライフスタイルにあった過ごし方も紹介された。
マリアナの観光リバイバルプラン
萩野氏は「これまでのサイパンの強みは、 距離の“近さ”、毎日就航している“便利さ” 、国内旅行並みの“低価格さ”でした。今後はさらなる観光促進のため、新たな地域資源の再発見が不可欠だと考えています」と、これまでのマリアナ諸島の利点を振り返り、新たな狙いを明かした。
「今後は“自然”や“地域文化”、“歴史”へ焦点をあて、表面的な観光だけではない体験型や参加型の資源を磨き上げ、『交流』を創造していくことを目指します」( 萩野氏)
GWでも驚きの価格!実は穴場かも!
ちなみに予算はどれくらい?ということで、編集部ではスカイスキャナーをつかって、ハイシーズンであるGWの価格を調べてみた。
そうすると以下の通り、3時間半の直行便でこの価格。
もちろん、これはあくまで航空券のみの価格。ホテル代はホテルのグレードによるため、予算は一概には言えないがハワイと比べるとかなりお得感はあるといえるだろう。ちなみに同時期のグアム行きの航空券と比べても1万円程度サイパンの方が安かった。もちろん、1年のうちの一番のハイシーズンの価格なので、時期をずらせばもっと安く行くこともできるはずだ。これは穴場かも知れないということで、筆者も本気で検討しようかなと思ったり…。
取材・文/DIME編集部 構成/清水眞希