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発展途上といわれるFCEV、トヨタ「クラウンセダンFCEV」の実用性は?

2025.03.22

 2023年11月に発表された新型「クラウン」の第3弾はセダンだった。セダンのパワーユニットは直4、2.5Lガソリン+モーターのハイブリッドと、燃料電池(FCEV)が用意されている。駆動方式はどちらも後輪駆動だ。

「MIRAI」との違いは?

 トヨタの燃料電池車というと「MIRAI」が先駆者として発売されている。燃料電池車は水素を燃料として走るクルマ。水素と空気中の酸素をFCスタックに取りこんで発電。その電気でモーターを駆動させて走る。余った電気は、駆動用電池に貯める仕組みだ。

 この発電メカニズムは「MIRAI」と同じ。一見、ファストバックスタイルのボディデザインも「MIRAI」と「クラウンFCEV」は似ているので、同じボディーかと思った。

 しかし、スタイリングコンセプトは似ているが、サイズは「クラウン」の全長が5030mmに対し「MIRAI」は4975mm、全幅1890mmVS1885mm、全高1475mmに対し、1470mm、ホイールベースも3000mmに対し2920mmとなっている。全体にひと回り小ぶりなのだ。車両重量は「クラウン」は2000kg、「MIRAI」は1930kgと表示されている。ちなみに車両本体価格だが、「クラウン」は830万円、「MIRAI」はグレードによるが726万1000円~861万円となっている。

 パワーユニットはFCスタック型式はFCB130。最高出力は174PS、セル数330個、接続方式は直列、燃料タンクは高圧タンク3本、タンク容量141L(前方64,中52、後方25)で、この数値は「MIRAI」とまったく同じだ。さらにモーターは3kmで、定格出力48.0kW、最高出力182PS、最大トルク300Nm、駆動用電池はリチウムイオン電池で、容量は4.0Ah、個数は84個、接続方式は直列で、これも「MIRAI」とまったく同じ数値だ。

 車重とボディサイズは「MIRAI」よりわずかに大きいが、「クラウン」は「MIRAI」のコンポーネントを継承しているFCEVなのだ。しかし、室内のつくりや乗り心地は、異なる味付けで、高級車クラウンセダンらしさをキープしている。

 改めて試乗車を見てみると大きい。全長5m超、全幅2mに近いサイズは、周囲を威圧する。周囲の視線をあびながら、運転席に着く。着座はやや高め。ボンネットはよく見えるので、2m弱の車幅も見切りが良い。Aピラーの傾斜角が急角度に寝かされているので、フロントウインドからAピラーは、やや圧迫感がある。ハンドルはやや小径で、握りが太い。スポーツタイプのクルマのよう。

 変速はセンターコンソールに短いシフトノブ。R/N/DとBrモード、Pはプッシュボタン。パドルレバーはない。Brモードは燃料電池車のZグレードのみに備わっている。これは、下り坂などで車速を抑えたい時に、強めの減速が得られるモードだ。

 センターコンソールには、ドライブモードの選択スイッチも設けられている。カスタム/スポーツ/ノーマル/エコ/Rfcomの5モードが選べる。最後のRfcomモードは、リアコンフォートモードのこと。今モデルから新たに搭載されたモードで、後席に路面の細かな凹凸や振動を伝えにくくする乗り心地向上モードだ。

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