
ビットコインで一定額以上の利益を得ると、所得を申告して税金を払う必要がある。課税対象はいくらからか、所得税の仕組みや税金の計算方法、節税のための税金対策をまとめた。
目次
ビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)で利益を得ると、どの程度の税金が課せられるか気になる人は多いだろう。
給与所得者であれば、給与以外で得た所得が一定額を超えると確定申告をする必要がある。未申告が発覚すればペナルティの対象となるため、ビットコイン投資家は所得税の仕組みを知り、必要な場合は確定申告をできるようにしておこう。
本記事では、ビットコインの税金の仕組みと計算方法、節税に役立つ対策を解説する。
ビットコイン(暗号資産)は税金の対象?確定申告が必要なのはいくらから?
ビットコインを始めとする暗号資産(仮想通貨)は、売買で得た利益が一定額を超えると所得税の対象となる。まずは所得税の仕組みと確定申告の要不要の判断基準を見てみよう。
■ビットコインの利益は雑所得
ビットコインの売却益は、所得税法により「雑所得」に分類される。雑所得とは、給与所得や事業所得など9種類の所得(利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得)のいずれにも該当しない所得だ。代表的なものには、公的年金や副業に関する所得などが挙げられる。
■ビットコインの利益は20万円以上で確定申告が必要
雑所得は、総収入額から必要経費を差し引いた利益が年間20万円を超えた場合、確定申告をする必要がある。給与所得者の場合は、会社が給与所得や社会保険料などの年末調整を行うため、ビットコインの利益に関してのみ所得の申告を行い、納税するケースが多いだろう。
■ビットコインの確定申告をしないとどうなる?
確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間の所得を、翌年2月16日から3月15日までの期間に申告する。この期限を過ぎた場合や必要な所得を申告しなかった場合は「延滞税」や「無申告加算税」の対象となるため注意しよう。
延滞税は、納付期限までに収めなかった税金に対して遅れた日数に応じた税率(最高14.6%)が課される。
無申告加算税は、納付すべき税額に応じて最大20%の金額が加算される。
特に悪質な場合は「重加算税」(無申告加算税に追加して40%の税率)という追加のペナルティも発生するため、くれぐれも所得の無申告は避けたい。
■ビットコインの税金は支払わなくてもバレない?
ビットコインを始めとする暗号資産は、売買の結果が取引業者から国税庁に報告される仕組みになっている。お金の動きが怪しいと思えば、税務署は個人資産の調査権限も持っているため、ビットコインの税金未納がバレる可能性は高いだろう。
脱税については先述の通り重いペナルティが課されるので、確定申告が必要な所得はごまかすことなく申告するようにしたい。
ビットコインの税金が発生する「利益」とはどの部分?
ビットコインの税金がどの部分に発生するかも把握しておこう。税金はビットコインの購入額や保有額ではなく、あくまでも売却益に対して発生するので、計算方法を間違えないことが大切だ。
■ビットコインの税金は売却益が対象
ビットコインは、購入したものを売却した段階で利益や損失が発生する。たとえば100万円で購入したビットコインを150万円で売却した場合は、50万円が売却益となり、確定申告が必要だ。
売却額150万円-購入額100万円=ビットコインの売却益50万円
一方、購入したビットコインを売却せずに保有し続けている場合は、値上がりによって含み益が発生していても利益には含まれず、確定申告は不要となる。
■売却益以外にも知っておきたいビットコインで税金が発生するケース
ビットコインの利益の多くは売却益だが、以下のような取引で利益を得た場合もビットコインによる所得とみなされ、利益額が20万円を超えることで課税対象となる
- ビットコインを使って他の暗号資産(イーサリアムなど)を売買した場合
- ビットコインを無料でプレゼントされた場合
- ビットコインを貸し出すことで賃借料や利息を得た場合
- ビットコインを使ってDeFi(分散型金融システム)での取引を行った場合
- ビットコインでNFT(ノンファンジブルトークン)を購入した場合
ビットコインの所得(売却益)と税金を計算する方法
ビットコインは常時値動きしているため、売却益を計算する際は決められた計算方法を使用する。ここでは個人投資家に使われることが多い「総平均法」のやり方を確認しよう。
■ビットコインの税金計算に使われる「総平均法」とは
総平均法とは、一年間に購入したビットコインの平均単価を求めた上で、すべての売却に対してその購入単価で損益を計算する方法だ。
- 一年間に購入したビットコインの合計費用を求める
- 合計購入価格をビットコインの購入数量で割る
- 売却したビットコイン1枚あたりの価額から2.で求めた平均単価を引く
- 3.に1年間の合計売却数量をかける
たとえば、100万円の時に1枚、150万円の時に1枚のビットコインを購入し、200万円の時に2枚とも売却した場合、2枚を250万円で購入しているため、250万円÷2=1枚あたり125万円となる。これを2枚とも200万円で売却したため、(200万円-125万円)×2枚=150万円、売却益は150万円となる。
■ビットコインの所得(売却益)計算には国税庁のエクセルが便利
ビットコインの所得計算は売買数が多いほど複雑になるため、国税庁が配布している計算書(エクセル・ファイル)を使用すると楽に求められる。記入例も配布されているため活用したい。
エクセルは「移動平均法用」と「総平均法用」の二種類が用意されているが、移動平均法で計算したい場合は、確定申告の期限までに税務署に届け出る必要がある。届け出ない場合は、自動的に総平均法が適用される。
※参考:
暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和6年12月)|国税庁
ビットコインの税金対策はある?
ビットコインの税金が大きくなりそうな場合、節税方法はないかと気になる人も多いだろう。雑所得は他の損失と損益通算できないため、多額の利益に対して即効性のある税金対策は多くない。ただし、以下の方法で雑所得や課税所得額を抑え、節税に繋げることは可能だ。
■ビットコインの税金対策1:売却せず保有のみにする
ビットコインの含み益をすぐに売却する必要がない場合は、保有のみ(もしくは一部売却のみ)とすることで税金を抑えられる。
■ビットコインの税金対策2:雑所得内で損益通算して20万円以下に抑える
イーサリアムなど他の暗号資産(仮想通貨)で損失が発生している場合は、ビットコインの売却益と合わせて、雑所得を抑えることで節税できる。
■ビットコインの税金対策3:iDeCoやふるさと納税の「所得控除」を利用する
雑所得は、給与所得などの他の所得と合算されたあと、各種の所得控除が差し引かれる。iDeCoの掛金やふるさと納税の寄付金額は所得額から控除されるため、結果的に課税所得を抑えることが可能だ。
※情報は万全を期していますが、正確性を保証するものではありません。
文/編集部