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「天上天下唯我独尊」とはどういう意味?覚えておきたい後に続くカッコいい言葉

2025.05.13

『天上天下唯我独尊』は、多くの解釈がなされる言葉です。仏教では、私たち一人一人の存在の尊さを表すものとされています。言葉が生まれた背景と本来の意味、現代における解釈を解説します。

「天上天下唯我独尊」の意味とは?

『天上天下唯我独尊』は、釈迦(しゃか)と深い関係があります。釈迦が誕生した際に、天地を指さしながらこの言葉を宣言したという物語が伝わっています。

■「この世に我よりも尊いものはない」が直訳

『天上天下唯我独尊』は、『てんじょうてんげゆいがどくそん』または『てんじょうてんがゆいがどくそん』と読みます。中国語のように思われるかもしれませんが、仏教と深い関わりのある言葉です。

天上天下(てんじょうてんげ・てんじょうてんが)は、天上の世界と天下の世界、すなわち宇宙全体を表します。似たような表現には、広大無辺の宇宙を意味する『三千世界』が挙げられるでしょう。

『唯』は『ただ』『それだけ』、『独』は『一人』『我のみ』を表し、直訳すると『この世に我より尊いものはない』の意味となります。

■釈迦の誕生に由来

一説によると、悟りを得て仏教を開いた『釈迦』が発した言葉とされています。釈迦は『釈迦族の聖者』という意味で、本名はガウタマ・シッダールタです。日本では、お釈迦さまの愛称で親しまれています。

釈迦は約2500年前、インドとネパールの国境付近にあるルンビニー園で王子として生まれ、出家をして悟りを開きます。伝説によれば、釈迦は生まれてすぐに東西南北に七歩ずつ歩み、天と地を指して「この世に我よりも尊いものはない…」と宣言しました。

釈迦が神格化される過程で生まれた伝説ではありますが、仏教の核心的な教えを象徴しているといわれます。

多様化する解釈

仏像

(出典) pixta.jp

現代における解釈は一つだけではなく、仏教の有識者と一般人では、全く異なる使い方をしているケースもあります。ここでは、仏教界における本来の意味と現代の解釈の違いを比べてみましょう。

■仏教界における本来の意味

文字通りに解釈すると、『この世界で私が一番偉いのだ』と読めますが、仏教界では『この世で人間だけが特別な目的を持った尊い存在である』と解釈することが多いようです。

唯我独尊の『我』は釈迦一人のことではなく、全ての人間を表します。自己中心的な優越感ではなく、全ての人が生まれながらにして持つ尊厳を表すものといえるでしょう。

仏教では、人間に生まれることの稀有さと、全ての人間の命が平等に神聖であることを強調しています。

■現代の解釈

現代では、『勝負に勝つためには天上天下唯我独尊の気持ちが必要だ』『あの人は、唯我独尊的な人だ』という文脈で使われるケースが見受けられます。

現代社会における解釈はさまざまです。そのまま読むと『この世界で私が一番偉い』というニュアンスになることから、『自分だけが特別だ』『他者よりも自分が優れている』という自己中心的な意味合いで使われることが少なくありません。

本来の意味を理解している人といない人では、コミュニケーションに誤解が生じる可能性があります。

天上天下唯我独尊の後に続く言葉とは?

書道

(出典) pixta.jp

天上天下唯我独尊という言葉は、さまざまな書物の中で登場します。大唐西域記や修行本起経では、『今茲而往生分已尽』や『三界皆苦吾当安之』が続きます。続きの言葉を理解することで、言葉の真意がより鮮明になるでしょう。

■今茲而往生分已尽

玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)は、西遊記の三蔵法師のモデルとなった僧侶です。インドや西域の遊歴を記した『大唐西域記(だいとうさいいきき)』には、釈迦の言葉として『天上天下唯我独尊 今茲而往生分已尽』という一文が登場します。

意味は、『我のみ尊い、これは我にとって迷界での最後の生で、二度と流転しないからである』です。迷界(めいかい)とは、煩悩にとらわれているこの世・迷いの世を意味します。

流転の意味は、何度も移り変わることです。仏教では、何度も生まれ変わって迷いの世界をさすらう『輪廻転生』を指します。

■三界皆苦吾当安之

修行本起経(しゅぎょうほんきけい)と呼ばれる書物では、『三界皆苦吾当安之』が続きます。三界皆苦(さんがいかいく)とは、この世は苦しみに満ちているという考え方です。

吾当安之(われまさにこれをやすんずべし)は、『私がこれを安するだろう』と訳せます。さまざまな解釈がありますが、釈迦はこの世の苦しみを見抜いており、それを解決するために生まれてきたといわれます。

釈迦は出家した後、人生は苦であるという真理を『苦諦(くたい)』として説きました。人間が抱えている煩悩が苦しみの根本であるとし、それにどうアプローチしていくのかが仏教のテーマといえます。

■「三界皆苦」が示す仏教の世界観

三界(さんがい)とは、仏教の宇宙観における『迷いの世界』の総称です。具体的には、欲界(よっかい)・色界(しきかい)・無色界(むしきかい)の三つの領域を指します。

  • 欲界:食欲や性欲などの欲望に支配された領域
  • 色界:物質的な存在にとらわれている領域
  • 無色界:物質的な存在を超越した精神のみの領域

無色界は、三界の中では最も高尚な世界です。哲学や思想を追求し、精神的な高みを目指そうとする人もいるでしょう。しかし、仏教では迷いの世界であることに変わりはないのです。

天上天下唯我独尊の本質を知る

心のイメージ

(出典) pixta.jp

『天上天下唯我独尊』は、現代ではさまざまな解釈がなされていますが、仏教の識者によると本来は『(他人と比べて)自分だけが尊いのだ』という自己中心的な意味ではありません。『我』は全ての人間を指し、人間として生まれたことの尊さを説くものとされています。

また、この言葉には『三界皆苦吾当安之』が続き、全ての人が苦しみから解放される道を説く釈迦の使命が表現されています。言葉の本当の意味や背後にあるエピソードを理解し、自分の人生に生かしましょう。

構成/編集部

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