
企業を狙ったサイバー攻撃や個人を狙ったフィッシング詐欺など、サイバーセキュリティの重要性が日増しに高まっている。では、このような状況を消費者はどのように捉えているのだろうか。
アクロニスは、2024年10-12月にかけて、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、日本およびブラジルの 8カ国の、18 歳から 64 歳の一般消費者 2,480 人を対象に「2025 年のデータプライバシーは? サイバー保護に関する消費者の考え方に関する調査」を実施したので、主な結果を紹介しよう。
データ侵害が最大の懸念!費者のサイバーセキュリティに関する意識と行動の落差とセキュリティツールの必要性が浮き彫りに
データプライバシーにおける懸念点のトップが「データ侵害またはハッキング」、2位は「個人情報への不正アクセス」、3位は「フィッシングまたは詐欺の企て」となっており、セキュリティに対する危機意識がある様子がうかがえる。
ただ、回答者の 25% がデータの盗難または損失の被害に遭っている一方、12% はサイバー攻撃の被害にあったかさえも分からない状態であり、多くのサイバー攻撃が発見されないままになっている可能性も。
世界では3 分の 2(66%)の人がデータを定期的にバックアップしている一方で、日本の消費者ではこの割合は45%であった。バックアップとは何かを知らないという人も4%(日本:8%) いた。
3 分の 2 以上(68%;日本では32%)の人が、強力な、一意のパスワードを使用している反面、侵害に対する重要な防御策である、二要素認証(2FA)を導入している人は半数を少し下回るレベル(46%;日本では40%)であった。
モバイルセキュリティ導入の遅れも懸念される。回答者の 43% (日本:40%)がモバイルセキュリティアプリを使用しており、スマートフォンが今日のデジタルライフに欠かせないものとなっている。
一方で、モバイルセキュリティアプリを使っていないうちの35%(日本:33%) の人が、そもそもモバイルセキュリティのツールを知らないと回答していた。
60% 以上の人がデータセキュリティを「非常に重要」と位置付けているが、パスワードを頻繁にアップデートしている人は 約40% に過ぎず、70% 近くの人が公共 Wi-Fi 上で機密情報を扱っていた。
セキュリティツールに関して、回答者の 30% 近く(日本:25%)が複雑さを理由に、25%(日本:15%) が高価格を理由に使用に踏み切れないと回答している。
世代間の格差がみられ、侵害インシデントの被害にあった経験があると答えた人は、若い消費者(35 歳未満)のほうが年長者(55 歳~ 64 歳)よりもかなり多くなっており、若い消費者のほうがリスクの高いデジタル行動を取っている可能性がある。
一方で 心強いことに、動画を使用したサイバーセキュリティ教育が広まりつつあり、44% の人がオンライン動画を見て、安全性のベストプラクティスを学んでいると回答していた。
アクロニスの CISO である ジェラード・ブショルト (Gerald Beuchelt) は、次のように話す。
「アクロニス が実施したこの消費者向けの調査において、今日のサイバーセキュリティにおける重要な矛盾が浮き彫りになりました。
つまり、リスクに対する個人の意識は高まっていますが、自分自身を効果的に保護するためのツールや知識を持っていない人が多くいます。
データ侵害は世界的に最大の懸念となっており、データバックアップと組み合わせた、よりシンプルで使いやすいサイバーセキュリティソリューション、および個人がデジタルライフを保護できるようにするための、よりしっかりとした教育が緊急に必要とされています。これらの取り組みは、認識と行動の隔たりを埋めるのに役立つでしょう」
構成/Ara