「ドベとノラ」最新刊を深読みする
シリーズ最新刊では、ボランティア活動以外にも感動的なシーンがたくさん登場して、人と動物の新しい関わり方や、飼い主の意識の変化を紹介している。
「ドーベルマンのドベと出会う前、『自分は波風を立てずただひっそり生きて、静かに死んでいくのだろうな』と思っていたし、それを望んでいました。現実の世界は自分にとって生きるのが難しい場所でした。でも犬を飼うと風は吹くし、時には強風にもさらされ、波もかなり荒れます。でもそれを【楽しい】と感じさせてくれる犬との世界を伝えたいと思い描かせて頂きました。新刊では、描きたい事はたくさんあったのですが、一番はやっぱり初めて大会(アジリティー)に出場した時のドベの表情です。ぜひ見て頂きたいです。
また、今回は犬の学校のお話が多かったのですが、訓練についての説明をどうしたら伝わるのかについても苦労しました。犬の訓練をしたことがない読者さんを始め、犬を飼ったことがなかったり、今後犬を飼う予定で学校に通ってみたいな~、と思ってる方に、どうしたら分かりやすく伝わるのかかなり悩みました。
シリーズ最新刊の【犬がくれた優しい世界】はドベとの出会いで人生が変わった自分の目から見た世界ですが、同時に【犬から見た世界】でもあると思っています。どこまでもまっすぐにこの世界を、そして飼い主を見ています。犬の目に映る優しさを感じてもらえてたら嬉しいです」とコメントしてくれた。
社会や時代が進化すると、人々の孤立化が進む。動物と暮らすことで得られる人と人のつながりを改めて感じさせてくれるこのシリーズから、目が離せない。
文/柿川鮎子