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高齢者もビジネスパーソンも!令和に広がる動物愛護の多様なカタチ

2025.03.23

長い間、海外のブリーダーは日本にペットを販売してくれなかった。日本人が動物虐待をしているという誤解が広まっていたのが、その理由である。優秀な純血種が日本に入ってくるようになったのは、今から30年程前、平成の時代に入ってからである。

誤解されていたものの、日本人は世界に稀に見る動物愛護意識の高い国民だった。特に江戸時代は犬や猫を大切に飼育していた。犬の飼育書(暁鐘成著「犬狗養蓄傳」)がベストセラーになったし、南総里見八犬伝の作者・滝沢馬琴(1767~1848年)は野良猫を保護し、個人で里親活動をしていた。

野良犬は「里犬」として愛される、身近な存在だった。里犬は人々が住む集落にやってきて食べ残しをもらって過ごし、時には怪しい人物に吠え掛かって番犬の役目を果たしていた。里犬が港でうるさく吠えたせいで、舟を盗めず、渡米に失敗したと吉田松陰(1830~1859年)は日記に書き残している。

さらに犬や猫だけでなく、馬や牛など使役動物も大切に飼育されていた。岩手県遠野地方の民間伝承をまとめた遠野物語(柳田国男著)では、馬と少女が結婚した伝説が残っている。日本人は動物が好きで、命ある仲間として無理なく、自然に付き合ってきた。特別に動物愛護や福祉活動を語る必要がなかったのである。

令和の保護活動は「無理なく・自然に・楽しく」

2021年、猫が犬の飼育頭数を超え、最も多く飼育されるペットとなった。愛猫家が増えると同時に、野良猫の保護活動も進化してきた。特に保健所での殺処分に心を痛めた人々の声に押されて自治体が「殺処分ゼロ」を打ち出してから、野良猫の保護活動は進歩している。

集まりにくかったボランティアを、SNSで募集したり、活動資金を全国から募集するなど、譲渡活動も進化している。SNSで飼育方法の相談をしたり、保護した人が必要な飼育用品をリストアップすると、募金して購入できる仕組みも確立した。

保護活動に参加する人の層も拡大し、ビジネスパーソンが休日だけ活動するなど、令和の動物保護活動は無理なく、自然に、楽しく続けられるようになってきた。漫画家のヨシモフ郎さんもその一人である。

ヨシモフ郎さんとドーベルマンのドベと元野良犬のノラとの生活を描いた大人気シリーズ「ドベとノラ」。このほど3巻目「ドベとノラ3犬と仲間が集う場所」が発売されて、話題となっている。累計販売数約10万部(電子媒体含む)の大人気シリーズの最新刊では、「Chapter4ノラと保護猫ハウスDIY」として、保護猫シェルターとなっていた元古民家を改修する様子が描かれている。

ヨシモフ郎さんによると、「(毎週何曜日に活動に参加しているというように)定期的にこの保護猫ハウスの活動を行っているわけではありませんし、このDIY活動をした団体を含め、特定の保護団体に所属しているわけでもありませんが、現在約5団体と交流があり、依頼があった時に、個人的にできる範囲で協力しています」と教えてくれた。

作品では古い一軒家を、猫たちが住みやすいように改築している様子が描かれている。DIYをしていた当時、ヨシモフ郎さんは「一番多くて週7日通ってました。“住んでるの?”ってレベルでハウスにいました」と言う。今は必要な時に、手伝わせてもらっている状況で、無理なく、ボランティア活動を続けている。

このDIY活動に関わった人数は約15人ほどで、プロの大工さんを含めた業者と行政から8人ぐらい。ハウスのお手伝いは5~22人ほどで、自宅での預かりを担当してくれているボランティアや、子猫のミルクボランティアさんなどを含めると、かなり多くの人が保護活動に参加している。

ペット好きな高齢者のボランティア活動

特に最新刊で話題になっているのが、高齢者のボランティア活動である。ペットを飼育したいけれど、健康の問題や飼い主が亡くなった後のペットの行方を考慮して、飼えない高齢者が、ボランティアとして参加している。

私が1994年に見学したサンフランシスコのシェルター(保護施設)でも、障碍者の子ども二人が猫と遊ぶだけのボランティア活動を行っていた。同行した獣医師が「猫を子どものおもちゃにしているのでは?」と担当者に尋ねると、「大人のボランティアがついているし、人に慣れることで、譲渡しやすくなる。猫が子どもに飽きたら高い場所に逃げるから、ストレスは感じない」と説明してくれた。動物と人の両方が幸せになれる環境が、日本にも実現したら良いなと願っていたが、今、日本でもそんな夢が実現しつつある。

ヨシモフ郎さんも、「猫の寿命が20年から30年に延びるかもしれないと言われています。最新の研究などにより、猫の健康寿命が延びるのは大変嬉しく喜ばしい事なのですが、同時に今後高齢の方や猫の引き継ぎ先を確保できない人は、猫を飼うのがどんどん難しくなってくるかと思います。

そんな中で自分で猫を飼う事が出来なくても、ボランティアとして猫に係れるのはかなり素敵なことだと思います。猫好きは猫と同じ空間にいるだけでも癒されるものですので、どうしても猫が飼えない方などぜひ一度お近くのボランティア募集に興味を持っていただければ幸いです」と語ってくれた。

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