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【大阪・関西万博NEWS】「食の当たり前」を考える仕掛けが満載!小山薫堂プロデュース「EARTH MART」の中身を先行取材

2025.03.20

いよいよ開幕が迫るEXPO2025 大阪・関西万博。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、未来社会の実験場たるパビリオンが目白押しだ。すでにいくつかのパビリオンがメディアや関係者に公開されたが、3月18日、小山薫堂さんのパビリオン『EARTH MART』の内覧が行われた。

今回、『DIME』本誌でもエッセイ連載中の薫堂さんに、『EARTH MART』のコンセプトを特別取材。見どころの解説とともに、その中身を一足先に案内する。

“いただきます”という言葉の大切さ

――『EARTH MART』のテーマ、コンセプトについて教えてください。

万博のパビリオンというと、未来のテクノロジーを発表する場だったり、将来こんなに便利になりますよという想像図を見せる場だったりしますが、今回は、いま生きている私たちの心をこうリセットしませんか、という提案がしたかった。このパビリオン『EARTH MART』で一番やりたかったのは、食を通して感謝の心を育むことです。

国土が小さく、地震大国の日本で震災は避けられないし、寄り添って生きなくてはいけない。日本人にはそうした道徳心といったものが備わっています。未来社会がどうなればいいか、25年後の2050年はどんな社会がいいか、と考えるとき、日本人の強みは“他者のことを慮る”ことだと思うのです。

そこで“いただきます”という言葉が生きてきます。食事をするとき、この食材を生産してくれた人、この食材を運んでくれた人、食材に関わる様々な人たちのことを考えられます。

生きていくために必要な食べ物は、自分で狩りをしたり、野菜を育てたりしなくても、お金を払えば手に入ります。でも生産者の方々が苦労して育て上げた食材は、例えばモヤシのように安すぎるものもある。生産する人たちの暮らしを守ることも必要です。

“いただきます”を通して感謝をすることが海外にも広がって、世界中の人が他者を慮る力をつければ未来がよくなるのではと。私は今回のパビリオン製作に関わり始めてから5年間、ずっとこの言葉を意識して生きてきました。

子どもたちにも“いただきます”について考えてほしいので、『EARTH MART』では、小学生でも理解しやすいような展示にし、文字にもなるべくふりがなを振るようにしています。

保存技術が生み出した便利の先にあるもの

――実際にどのような展示がされるのでしょうか。

英国王立協会が定めた人類の飲食史のおける最大の発明第1位は冷凍・冷蔵技術、つまり保存技術。これができてから手に届かない範囲のものまで食べられるようになりました。

山形大学教授の古川英光さんが研究されている凍結粉砕という技術があります。これはあらゆる食材をパウダー化できる。いままでに小麦粉や米粉はありましたが、この技術を使えば、たんぱく質も粉にできる。魚や肉も粉にできるのです。これなら輸送が簡単になって、たんぱく源が足りない国へ送る支援もできるわけです。さらに、粉砕した粉を再成型してコメのようにできる技術も研究されています。

『EARTH MART』では、見た目は卵サンドだけど親子丼をリプロダクトした“親子丼のサンドイッチ”や、タコをパウダー化してそれをウインナーにした“本当のタコウインナー”など、ユーモアのある展示を組み込んでいます。

パウダー化した鶏肉と卵をサンドすることで生まれる親子丼サンドイッチ

粉砕したタコパウダーを再成型して作る大人の(本気が見える)タコさんウインナー

――パビリオンの中について具体的に教えてください。

まず「いのちのフロア」です。

いのちというとテーマが重い、慮るというのも説教臭く感じられるかもしれないので、わくわくしてもらえるようなスーパーマーケットの設定にしています。

食べるものがいのちであるということを最も感じさせないのがスーパーではないかと思うのです。

食材はパックに入っていたり切り身になっていたり、命を連想できない。だから、ここで食べるものがいのちだと感じてもらい、日常に戻ってスーパーへ行ったときに思い出してもらいたいのです。

入口から足を踏み入れると、最初にオープニングの映像があり、食物連鎖のポップなアニメーションが見られます。さらに中に入ると、売り場があります。例えば、野菜売り場では、食材として根っこを食べるニンジンも、花や種をつくる。そうした野菜の一生をインスタレーションで表現しています。人間が食べているモノを色だけで見せるコーナーもあります。

ミイラ化した八姫かぼちゃ。手に持つと中からカラカラと種の音がする

魚で注目していただきたいのはイワシです。イワシは海の生き物の中で食物連鎖の最下層。漢字では魚偏に弱いと書くけれど、あらゆるものの生命を支えている、じつは強い存在。

ここでは、ショーケースの真ん中に3尾イワシが入っています。1匹のイワシが生む卵は10万個。その中から人間に水揚げされるのはわずか10匹。10万分の10です。そのうち7匹は養殖魚などの餌になる。人間の口に入るのは、わずか3匹だけなのです。そうした現実を知っていただく機会になります。

これから鮮魚コーナーでイワシを見かけた際、この展示が脳裏によぎるに違いない

肉も同様です。家畜の命を考えるため、子どもたちに向けての売り場があります。日本人は一生に2万8000個の鶏卵を食べるといわれているのですが、その数字をそのまま目で見ることのできる展示にしました。2万8000個の卵のモニュメントです。これは圧巻で、このモニュメントの下で口を開けると、これらを全部食べているような写真が撮れます。

下から覗いても圧巻。来場の際は、ぜひ薫堂さんのマネをして撮影してみては?

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