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国内企業の6割強が職場での旧姓の通称使用を容認、半数超が「負担を感じない」

2025.03.20

夫婦が望む場合には結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める、いわゆる選択的夫婦別姓制度の是非を巡る議論が盛んだが、帝国データバンクは、旧姓の通称使用に関するアンケート調査を実施。結果をグラフにまとめて発表した。

企業の63.6%が旧姓使用を認める、7割超が『容認・検討中』

職場での旧姓の通称使用[1]を認めているか企業に尋ねたところ、「認めている」企業の割合は63.6%となった。「認めていないが使用について検討中」(6.9%)を合わせると、旧姓の通称使用について『容認・検討中』の企業は70.6%となり7割を超えた。一方で、「認めていない」は9.2%だった。
[1] 結婚前の旧姓を通称として使用することなど

旧姓の通称使用に『容認・検討中』と回答した企業の割合を、規模別にみると、「大企業」では78.7%と全体平均(70.6%)を8.1ポイント上回った。また、「中小企業」は69.2%、「小規模企業」は64.0%と平均を下回り、規模の大きい企業ほど旧姓の通称使用が進んでいた。

認めている企業からは、「取引先に覚えてもらっている旧姓をそのまま使用した方がスムーズ」(不動産)や「キャリアの継続性(円滑な外部とのコミュニケーション全般)を鑑み、旧姓使用のメリットの方が大きい」(広告関連)、「入社時にメールアドレスを与えるが、氏+特定番号のため、結婚で変更すると本人も会社も面倒。通称使用で名刺なども変える必要がない」(機械・器具卸売)などといった、旧姓使用による具体的なメリットをあげる声があった。

ほかにも、「当人の会社でのアイデンティティと、個人でのアイデンティティが区別できて良い」(電気・ガス・水道・熱供給)や「名前は個人を特定するためのもので、商用で使用するにあたっては、個人の自由と考える」(専門サービス)、「時代の要請と考えている」(建設)など、従業員個人の自由を尊重し多様性を認めていこうとする企業の姿勢が広くみられた。

一方で、認めていない企業からは、「旧姓使用について通常時は何の問題もないが、給与の振込口座の名義が違うと面倒」(飲食料品・飼料製造)や「免許や資格証は旧姓かどうかの確認が必要となるほか、申請書類などの誤記が懸念される」(建設)など、旧姓・現姓両方の管理にともなう事務負担や煩雑さが理由としてあがった。

■半数超で「負担感ない」、実際に旧姓を使用している企業の方が負担感じず

メリットとデメリット双方の意見があるなか、旧姓の通称使用に対する企業の負担感について尋ねたところ、「負担感はない」と回答した企業の割合は50.7%で、半数を超えた。一方で、「負担に感じる」(2.6%)、「多少は負担に感じる」(11.0%)を合わせた「負担感あり」は13.6%となった。「どちらとも言えない」は25.5%だった。

旧姓使用を職場で認めている/認めていない企業それぞれについて負担感をみると、「認めている」企業では「負担感なし」の企業が65.6%と全体平均(50.7%)を14.9ポイント上回った。

一方で、「認めていない」企業での「負担感あり」は32.5%と、全体平均(13.6%)を18.9ポイント上回った。このことから、旧姓使用を認めていない企業は、手続きの煩雑さや管理の複雑化などを懸念し、相応の負担感を想定しているが、実際に旧姓使用を認め運用している企業ではシステムなどの運用でカバーし、3社に2社の企業が負担を感じていない傾向にある結果となった。

負担感がない企業からは、「運用上の見直しで、円滑に進めていける」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売)、「人事・労務管理で多少の負担もあるが、世情にあわせシステム的に標準対応されている」(金融)、「本人確認が確実にできるのであれば(資格者証に旧姓併記など)、実務上は支障ない」(建設)と、システムなど適宜対応することで問題なく運用でき、負担を感じるほどではないといった声が多く聞かれた。

一方で、負担感がある企業からは、「企業は、従業員の本名・通称の両方を管理しなければならず、事務が煩雑になる。

インボイス制度の導入などで事務量が増加しており、これ以上の負担増は止めてほしい」(建設)、「社内的に旧姓使用を認めても、社会保障制度や運転免許証などで、社内での事務負担やミスが多くなりそう」(その他サービス)など、公的手続きや金融機関など一部の社外手続きでの負担を懸念する声が複数あがった。

■議論が進む「選択的夫婦別姓」

多くの場で議論されている選択的夫婦別姓。さまざまな賛否の声があるなか、企業では、主に女性の改姓によるキャリアの分断などを避けるため、職場における旧姓の通称使用が広がってきている。

本調査では企業の63.6%が、旧姓の通称使用を職場で認めていることが分かった。さらに「検討中」を合わせた『容認・検討中』の企業は7割を超えた。規模別では、規模の大きい企業ほど旧姓の通称使用が進んでいる結果となった。旧姓を認めている企業からは、コミュニケーションの円滑化やメールアドレスなどの継続利用といった具体的なメリットがあがるほか、個人の自由を尊重する姿勢も多数みられた。

旧姓の通称使用にともなう負担感については、「負担感はない」と回答した企業(50.7%)が半数を超えた。旧姓使用を認めていない企業が相応の負担感を見込む一方で、実際に旧姓使用を認めている企業では、システムなどの運用でカバーすることで「負担感はない」とする割合が高かった。

企業における旧姓の通称使用では、2つの姓の管理にともなう事務負担が発生するものの、システムなどで適宜対処が進んでおり、負担感は少なくなっている。また個人を尊重する世の中の流れや、「継続性」という業務上のメリットなどが後押しし、自らが望んだ姓で仕事をしている従業員は多い。導入を検討している企業もあることから、この流れは今後も広がっていくことが見込まれる。

人手不足が深刻化するなか、有能な従業員が同じ職場に長く勤め、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが、企業が事業運営を継続するうえでより重要になっている。旧姓の通称使用による従業員の意思尊重も、その要素の一つと言えるだろう。

調査概要
調査期間/2025年3月7日~12日
調査対象/有効回答企業数は1386社(インターネット調査)

関連情報
https://www.tdb.co.jp/index.html

構成/清水眞希

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