
金曜日に手術を受ける予定の人は、可能であれば手術の日程変更を検討した方が良いかもしれない。新たな研究で、週末直前に手術を受ける人は、週末直後に手術を受ける人に比べて死亡や合併症のリスクが大幅に高まる可能性が示唆された。米ヒューストン・メソジスト病院のRaj Satkunasivam氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に3月4日掲載された。
手術を受けるなら週末の前より後の方が転帰は良好
病院や医療システムは、週末に最小限の人員で運営される傾向があることから、週末に患者が受ける医療の質は、平日よりも低くなる可能性が懸念されている。このような現象は、一般に「週末効果」と呼ばれている。
Satkunasivam氏らは、週末効果は、週末直前に手術を受け、手術後に病院で療養する人にも当てはまる可能性があると考えたと説明する。この点を明らかにするために同氏らは、カナダのオンタリオ州で2007年1月1日から2019年12月31日の間に一般的な外科手術を受けた患者42万9,691人(平均年齢58.6歳、女性62.8%)のデータを1年間追跡し、手術を週末の直前(通常は金曜日、または連休の前日)に受けた患者と直後(通常は月曜日、または連休の翌日)に受けた患者との間で転帰を比較した。手術は、冠動脈バイパス術、大腿動脈-膝窩動脈バイパス術、虫垂切除術、大腸切除術など25種類だった。主要評価項目は、手術から30日時点の死亡、合併症、および再入院の複合転帰とした。また、副次評価項目として、手術後90日時点および1年時点の死亡、合併症、および再入院のリスクを個別および複合的に評価したほか、入院期間や手術時間についても評価した。
42万9,691人の患者のうち、19万9,744人(46.5%)は週末直前に、22万9,947人(53.5%)は週末直後に手術を受けていた。解析の結果、週末直前に手術を受けた群では、週末直後に手術を受けた群に比べて、3つの時点の全てにおいて複合転帰が発生するオッズが高く、調整オッズ比は手術後30日時点で1.05(95%信頼区間1.02~1.08)、90日時点で1.06(同1.03~1.09)、1年後で1.05(同1.02~1.09)だった。また、週末直前に手術を受けた群では、3つの時点の全てにおいて死亡のオッズも高く、調整オッズ比は、30日時点で1.09(同1.03~1.16)、90日時点で1.10(同1.03~1.17)、1年後で1.12(同1.08~1.17)だった。
こうした結果を踏まえて研究グループは、「患者が曜日に関係なく優れたケアを受けられるようにするためには、医療システムが、この現象が医療現場にどのような影響を与えるかを評価することが重要だ」と述べている。
研究グループは、人員不足以外にも、週末前に病院の医療の質が低下する理由はいくつか考えられると指摘する。金曜日は月曜日に比べて経験年数の浅い若手外科医が担当する手術が多いこと、また、週末に働く医師は、より上級の同僚や専門医からのサポートを受けにくいことなどが、そうした理由の例である。さらに、週末に働く医療チームは、平日にケアを管理していたチームよりも患者に詳しくない可能性や、週末は、より適切な治療を行う上で有用となり得る検査へのアクセスが限られている可能性も考えられるという。
研究グループは、「これらの観察結果の根底にあるケアの違いを理解し、患者が曜日に関係なく質の高いケアを受けられるようにするためには、さらなる研究が必要だ」と結論付けている。(HealthDay News 2025年3月5日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2830842
構成/DIME編集部
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