
本日、3月24日から「マイナ免許証」が解禁される。
これはマイナンバーカードに運転免許証の情報が収録できることを意味し、希望によってはマイナンバーカードだけで自動車を運転することもできる。
では、運転免許証をマイナンバーカードに集約すると、どのようなメリットが発生するのか? また、マイナ免許証を取得するにはどこでどのような手続きをすればいいのか?
「恥ずかしくて、今さら知らないなんて言えない」と不安を抱いている人へ、今回はそのような「マイナ免許証の基本」について解説していきたい。
従来型免許証は使えなくなる?ならない?
何かと話題になっているマイナンバーカードの健康保険証情報の組み込み(保険証との一体化)は、「健康保険証の偽造防止」という側面もある。
この偽造を防ぐ……というより打ち破るためには、健康保険証自体を「偽造の難しいカード」にするのが有効である。そのため、国は健康保険証に関して今後マイナンバーカードに一本化する予定を立てていたが、そもそもマイナンバーカードの取得自体は任意のため、そのあたりに齟齬が生じている……というのが今の状況だ。
では、運転免許証はどうか。健康保険証と運転免許証は、「ICチップを内蔵したカードか否か」という違いがある。今現在の日本の運転免許証はICチップが組み込まれ、それ故に偽造が難しい。したがって、セキュリティー面の理由で従来型の運転免許証を廃止してマイナンバーカードだけにする理由は稀薄であるし、現に従来型運転免許証が廃止される予定はない。
平たく言えば、マイナンバーカードを使いたくない人は今まで通りの免許証を活用し続けることができるのだ。
結局切り替えるべき?マイナ免許証のメリット
しかし、マイナ免許証のメリットは決して無視できるものではない。
マイナンバーカードに運転免許証の情報を記録させることにより、更新時講習をオンラインで受講できるようになる。これはマイナンバーカードの読み取りに対応するPCもしくはスマートフォンが必須で、かつ優良運転者と一般運転者が対象である。
また、「住所変更手続等のワンストップサービス」というメリットも。マイナ免許証のみを所持している場合、本籍・住所・氏名及び生年月日に変更があったとしても、該当自治体への届け出だけで完結できるのだ。言い換えれば、警察署へ足を運ぶ必要がなくなるということである。
その上で、居住地以外での免許更新手続き(経由地更新)が大幅に迅速化し、一般運転者でも経由地更新ができるようになる。それらのメリットを考慮すると、運転免許証をマイナンバーカードに一本化するという選択肢は決して悪いものではないのだ。
切り替えはどこで?
次に解説するのは、「マイナ免許証の切り替えはどこで実施できるのか?」である。
このあたりについては、実は難しい問題でもある。というのも、都道府県によって対応に温度差があるからだ。以下、警視庁が分かりやすい表を公開しているので紹介したい。
これによると、東京都では免許自体の更新を伴わない「保有状況変更のみ(従来型運転免許証からマイナンバーカードへの切り替え等)」を行う場合は運転免許試験場へ赴く必要があるという。運転免許更新センター、指定警察署、指定外警察署では保有状況変更の受付に対応していないが、今後はその対応を拡大するとのこと。
ちなみに、ドライバーは「マイナ免許証に一本化」「従来型運転免許証のみの所持」「両方を所持」の3通りのどちらかを選ぶことができる。
他県に目を向けてみよう。山口県では、制度開始当初は山口市にある山口県総合交通センターでのみ保有状況変更の受付を行うとしている。その後、5月8日から周南市の周南運転センターでも窓口受付を開始する予定だ。
地方紙の影響力
幸いにも、日本という国は地域毎に地方新聞というものが根付いている。
筆者の地元は静岡県静岡市だが、最も影響力のある新聞社はやはり静岡新聞社である。以前、筆者が静岡新聞の読者投稿欄に寄稿したら、近所のおばさんから「あの読み物、あんたが書いたんでしょ?」と声をかけられてしまった。全国紙ではこうはいかないだろう。
それだけ地元の人に多大な影響力のある地方紙が、「マイナ免許証の手続きはどこで行うのか?」ということを報道してくれるようになった。以下、宮崎県の地方紙宮崎日日新聞の記事である。
マイナンバーカードと運転免許証を一体化させる「マイナ免許証」の運用が24日、始まる。一体化は県内全ての運転免許センターと警察署で対応。取得や切り替えは任意で、従来の免許証も存続し、免許証の持ち方は(1)従来の免許証のみ(2)マイナ免許証のみ(3)従来の免許証とマイナ免許証の両方―の3パターンとなる。
(マイナ免許証、24日から運用 宮崎県内も準備着々-宮崎日日新聞)
このように、地方紙というのは誤解を恐れずに言えば自治体の広報を担っている側面もある。新しい制度について県や市区町村はこのように対応している、窓口はここで受付時間は何時から何時まで……ということを報道という形で発信してくれるのだ。
制度開始から時間が経てば、対応窓口もさらに充実するだろう。それに関する細かい報道は、まさに地方紙が得意とするところ。マイナ保険証の所持を考えている人は、とりあえず「我が地元の新聞」の記事をチェックしてみることをお勧めしたい。
【参考】
令和4年改正道路交通法(マイナンバーカードと運転免許証の一体化・オンライン更新時講習)-警察庁
マイナンバーカードと運転免許証の一体化について-警視庁
マイナ免許証が始まります!-山口県警察
マイナ免許証、24日から運用 宮崎県内も準備着々-宮崎日日新聞
文/澤田真一
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2025年1月時点で保有数は約9695万枚に達し、国民の約77.6%が取得したことになるマイナンバーカード。2025年3月24日には運転免許証との一体化がスタートするほか今春には同カードの機能が『iPhone』に搭載されることも予定されている。そんな、今まで以上に活用の幅が広がりそうなマイナンバーカードの活用方法を徹底解説。気になる安全性や今後の先取り情報についても取材およびレビューを交えながら紹介する。