唾液を採取して郵送するだけ！自分の「免疫力」を確認できる注目のサービスが登場

長年、免疫研究を行なってきた明治が、免疫の数値を測定できる検査キットを開発。そもそも免疫を測定する意味とは？　製品開発やシステムの運営に関わる3人のキーマンを直撃した。

DIME最新号スペシャル版には無料で『免疫チェック』を受けられるキットが付属！

免疫力の測定だけではなく改善する手助けが重要に

「健康にアイデアを」をスローガンに掲げる明治は、「乳酸菌OLL1073R-1株」を代表とするような乳酸菌研究を活かした食品で「一歩先行く価値」を提供してきた。そして次なるチャレンジとして着手したのが、健康状態を自らチェックできる「見える化」。同社でプロバイオティクス商品群のマーケティングを担当し、『免疫チェック』の立ち上げに参加した寺尾佑介さんは、その背景をこう語る。

「乳製品や健康食品を購入する際、個人の属性やニーズ、生活習慣などによるパーソナライズをきっかけにすることが一般化してきています。健康を提供することを使命としている当社としても、健康状態を自分で把握する仕組み作りに着手するべきではないかと。そんな想いをもとに2019年頃から、健康チェックができる商品の開発を始めたんです」

　さらにその矢先に起こったのが、新型コロナのパンデミック。これをきっかけに世界中でウイルスなどの病原体から身体を守る「免疫」への関心がさらに高まっていく。

「当社は40年以上前から免疫に関わる研究を行なっており、この研究を様々な商品開発につなげています。コロナ禍の影響もありましたが、自分の健康状態を知るうえで免疫というテーマに着手するのは自然な流れだったのです」（寺尾さん）

　着目したのは、唾液中に含まれる「IgA抗体」。同社では「乳酸菌OLL1073R-1株」を使用したヨーグルト摂取により、唾液中IgAの濃度を高め、感染防御力の向上に寄与する成果も上げてきた。その研究成果や知見をベースに、唾液中のIgAを測定することで健康チェックができる仕組みを研究したことで完成したのが『免疫チェック』。さらにこのサービスではIgA値を測定するだけではなく、免疫に関係している生活習慣に関するアンケートを実施し、それを基にしたアドバイスによって、より良い免疫状態につながる生活改善を提案している。

「このサービスはIgA値を測って終わりではなく、それを基に生活習慣を改善することで健康を目指していただくことが核。IgA値が良ければ病原体から身体を守る免疫力が高く、悪ければその力が弱くなる。まずはそれを自分で把握し、改善の手助けをすることが重要なのです」（寺尾さん）

『免疫チェック』はスマホやインターネット上でユーザーが直接購入する。これは明治がユーザーに直接サービスを提供する形態となるが、長年にわたって小売りを主戦場としてきた明治には、当初そのノウハウはなかったという。

「健康の『見える』化においてはまずユーザーから情報を提供いただき、その方の属性や生活習慣によって当社のサービスや製品を還元することが必要となります。ただ我々はそうしたデジタルサービスを得意としていない。だからこそ、そのノウハウを持つWellnize社の力も必要だったのです」（明治　価値創造戦略本部　川端善也さん）

　Wellnizeの木下寛大さんは社外主要メンバーとして、アプリやWebサイトの画面制作などを担う。

「企業からそうした業務を外注されるケースはよくありますが、『免疫チェック』は明治の社員の方々とワンチームで作り上げたイメージです。大企業ではすべてのシステムが完璧に整ってからでないとリリースできないケースが多いですが、このサービスは、いったんその価値を提供できる形になったら外に出して、さらに改善を重ねていくやり方。とにかくスピード感がありますね」（木下さん）

　長年の研究ノウハウが強みの明治と、それをユーザーにうまくフィードバックすることを担うベンチャー企業。互いの強みを生かして完成した『免疫チェック』は、まだまだ進化を続けそうだ。

（左）明治　価値創造戦略本部　戦略推進部　コンテンツ開発G長
川端善也さん
2004年入社。2019年よりDX推進およびデジタル活用の新規事業開発の立ち上げを実施。2024年よりリーダーとして推進する。

（中）明治　グローバルデイリー事業本部　発酵マーケティング部　プロバイオG
寺尾佑介さん
2010年入社。2020年よりプロビオヨーグルト群を担当。2022年より新規事業を担い、『免疫チェック』立ち上げに参加。

（右）Wellnize　代表取締役　兼 執行役CEO
木下寛大さん
2024年に新規事業のシステム開発を担う「Wellnize」を設立。『免疫チェック』ではアプリやWebのプラットフォームを構築する。

そもそも免疫とは？

体外からやってくる細菌やウイルスなどの病原体から身体を守る働きのこと。免疫の中でも消化管にある粘膜免疫は人体最大の免疫組織と呼ばれており、その表面に潜んでいる抗体が「IgA」。こちらは病原体に付着し、体外に排出する働きがある。さらに血液中に含まれている抗体が「IgG」で、過去に遭遇した抗原に再び遭遇した時に作られ、細胞への接触を阻止する。

免疫力を「見える化」するリモート検査サービスが誕生！

40年以上にわたって乳酸菌などによる免疫の研究を続けてきた明治が新たな使命として、健康状態を自らチェックできる「見える化」に着手。第一弾製品となる『免疫チェック』は、自宅で唾液を採取するだけで免疫状態を簡単に把握することを可能にした。スマホで簡単に注文することができる手軽さに加え、検査は医療検査の最大手企業「H.U.グループ」と連携。検査の精度にもこだわっている。

〈STEP 1〉唾液を採取

アンケートへの回答も忘れずに！

〈STEP 2〉検体を投函

〈STEP 3〉結果はスマホでチェック！

●生活習慣アドバイス
睡眠時間やお酒の量など、生活習慣に関する質問に答えることで、免疫ランクに基づいたアドバイスがもらえる。

●免疫ランク
唾液中のIgA値を測定し、その数値によってAからDランクへと選定。ランクをひとつの指標としつつ、生活改善のモチベーションアップにつなげる。

取材・文／高山 惠　撮影／江藤大作　モデル／丹羽奏恵　編集／原口りう子
問い合わせ先／明治 https://igacheck.meiji.co.jp/