
自身で手軽にできる健康管理デバイスとして、近年はスマートウォッチ、スマートバンドといった製品が浸透し始めている。iPhoneとの連携力に優れたApple Watchシリーズをはじめ、血圧や心電図の計測ができるHUAWEI Watch D2といったハイエンドスマートウォッチ、1万円未満で購入できるファーウェイやシャオミのスマートバンドなど、機能、価格帯別に多くの製品が市場に投入されている。
そんな中、健康管理デバイスの新しい形として注目なのが、スマートリングと呼ばれる、指輪型のデバイス。日本でもいくつかの製品が登場し始めており、2025年2月にサムスンが「Samsung Galaxy Ring(以下Galaxy Ring)」の日本展開を始めたことで、一気に注目度が増している。
本記事では、そんなスマートリングの基本的な使い方、使用感について、実際に試しながら紹介していこう。
健康管理デバイスの新しい形になるかもしれないスマートリング
Galaxy Ringに代表されるスマートリングの多くは、健康管理のためのデバイス。Galaxy Ringと同時に、今回使用したAmazfit Helio Ringでは、どちらも睡眠モニタリング、心拍数や血中酸素レベルのモニタリング、ワークアウトの記録といった機能が利用できる。
Galaxy Ring
Amazfit Helio Ring
着けているだけで本当にデータが取れるのかと不安にも思うが、実際に試したところ、同時に使用していたスマートウォッチと大差のない数値を記録できており、精度は(製品によるだろうが)まずまずだといえる。ちなみに、Galaxy Ringの場合は、より正確なデータを記録するために、人差し指への装着が推奨されている。
左からGalaxy Ring、Amazfit Helio Ring、HUAWEI Watch GT5 Proの計測結果。仮眠時間を合わせると、Galaxy RingとHUAWEI Watch GT5 Proはほぼ同じ時間、Amazfit Helio Ringは若干短めの数値になった。
ただし、Amazfit Helio Ringは特に睡眠モニタリング機能で、スマートウォッチと比べ、比較的短い時間で記録されていることが多い。より深い睡眠が始まったタイミングから、睡眠時間として計測されている印象だ。
スマートウォッチ、スマートバンドと違い、ディスプレイを搭載していないため、収集したデータは、スマホのアプリから確認することになる。「スマートウォッチならそのまま確認できるのに」と思う反面、詳細な情報を確認するのであれば、結局ある程度のディスプレイサイズが欲しくなるのも事実なので、そこまで気になる要素ではない。
スマートリングは、スマートウォッチやスマートバンドから機能を切り出し、健康管理機能などに特化することで、小型で装着感に優れたデバイスになっているのだと感じる。
重要なのはアプリの使い心地と接続性
ディスプレイのないスマートリングは、スマホアプリと連携し、収集したデータの確認をする。そのため、アプリの使い勝手やわかりやすさ、スマホとの接続性が、スマートウォッチやスマートバンドよりも重要になる。
今回試したスマートリングの場合、Galaxy RingはSamsung Healthアプリ、Amazfit Helio Ringの場合はZeppアプリを使い、健康状態の確認をする。
Samsung Healthアプリ
Zeppアプリ
どちらも、スマートウォッチやスマートバンドを長年手掛けているメーカーということもあり、睡眠記録や健康状態、ワークアウトの記録など、各種項目がわかりやすく表示されている。
強いていえば、Zeppアプリのほうが、Samsung Healthアプリよりもよりシステマチックなデザインになっており、Samsung Healthアプリは敷居が低く、万人にわかりやすい印象だが、使いやすさという意味では、どちらも大差はないだろう。
ただし、Galaxy Ringの場合は、接続や各種設定に、別途Samsung Wearableアプリを使用する。デバイスの設定がSamsung Wearableアプリ、健康管理がSamsung Healthアプリと分かれているため、2つのアプリを横断しなければならないのが、少々面倒だと感じる。
Galaxy Wearableアプリ
また、Galaxy RingはAndroid 11.0以降を搭載したスマホ、つまりAndroidスマホでのみ利用できるのに対し、Amazfit Helio Ringは、iPhone、Androidスマホの両方で利用できる。機種によってペアリングができるスマホが限定されることもあるので、購入前に対応OSの確認を、必ず行ってほしい。
ジェスチャー操作、リモートシャッターは使い方次第で便利かも
Galaxy Ringでは、Galaxyスマホとペアリングした際に、ジェスチャー機能とリモートシャッター機能が利用できる。
現時点で対応しているジェスチャーは、Galaxy Ringをつけた指と親指でダブルピンチをすることで、アラームの停止、カメラアプリでのリモートシャッター機能のみ。アップデートでできる操作が増えると、よりユニークなデバイスへと進化していく可能性が感じられる。
特にリモートシャッター機能は、スタンドなしで自立し、アウトカメラによるセルフィーの撮影もしやすい、折りたたみ機種との相性がいい。折りたたみスマホとスマートリングという、最先端ガジェットを組み合わせた使い方なので、現時点で利用できるユーザーは少ないかもしれないが、逆にいえば、新しいガジェットの使い方を提案できている点には、好感が持てる。
また、Galaxy Ringは、Galaxyデバイスでのリモート追跡機能に対応しているので、仮に紛失してしまっても、スマートフォンと最後にペアリングした位置情報が確認できるというメリットもある。