
日本人が中国へ入国する際に必要だったビザが、2024年11月30日~2025年12月31日まで、観光目的で滞在時間30日以内なら免除となった。この機会に中国新幹線の旅はいかがだろうか?中国在住の筆者が、中国の移動手段や春におすすめの観光スポットについて紹介する。
中国で便利&低価格な移動手段
中国の新幹線は、高铁(gao1tie3)といい、中国国内隅々走っており、世界最大規模だ。時速300km以上で運行し、現在時速400kmの試作車が完成し近く運行予定だ。
国内の長距離移動手段としては、この高铁のほかに飛行機もあり、中国の飛行機は遅延や欠航が日本に比べて多い。
一方、高铁は、遠距離となると飛行機よりかなり時間はかかるが、ほとんど遅延はなく、飛行機に比べて圧倒的に安い。近距離だと、飛行機とそこまで価格は変わらないが、飛行機に乗るまでの手続き等や遅延があることも考えると、高铁がおすすめだ。
高铁の利用方法
まず、高铁を利用する前に、入れておく必要があるアプリがある。
・地図アプリ(高德地图A map、百度地图Baidu Map)
・支払アプリ(Alipay、WeChat Pay)
・トークアプリWeChat
中国では、VPNを入れないとGoogle Mapが使えない上に、中国の地図アプリの方が正確で便利だ。地図アプリに支払方法を連携すれば、タクシーも同時に呼ぶこと(打车da2che1)ができる。中国では現金を使えないことが多いため、支払アプリがないと個人での旅行は難しくなる。AlipayもしくはWeChat Payを事前に登録しておいた方が賢明だ。
必須ではないが、WeChatもあると便利だ。博物館や歴史的建造物への入場予約はWeChatのサービスで行うことがほとんどであるから、もちろん現地で直接入場することもできるが、天安門広場や故宫のような人気の場所は事前に予約しないと入れないこともある。また、お店の注文もWeChatで行い、WeChat Payで支払いを済ませることも多い。
では、本題の高铁の利用方法だが、直接窓口でチケットを買い求める方法もあるが、以下のRailway12306というアプリをダウンロードすれば高铁の予約が便利だ。英語版と中国語版がある。
個人情報と支払方法の登録をすれば、席を予約できる。もし1つのアカウントで5人以上を予約するときには、外国人の場合、窓口での実名認証が必要だ。
この際、中国の電話番号が必要で、中国大陸の電話番号を取得しておく必要がある。日本からでも、SIM等を購入することで、中国の電話番号を取得できるので、中国の個人旅行を考えているなら、中国の電話番号を取得しておいた方がよいだろう。
席の予約は予約したい日のちょうど2週間前から予約可能だ。春節や国慶節など混む時期は席がなくなる可能性はあるが、通常は急がなくても予約できる。
高铁には、ビジネス(商务)、1等席、2等席があるが、2等席でも十分日本の新幹線の一般予約席と同じ程度の広さ、きれいさとなっている。長時間の場合、寝ることができる席(硬卧、软卧)もある。
高铁を乗るときは、まず、入り口付近の有人窓口でパスポート確認をしてもらい、手荷物検査を通過したら、後は乗るだけである。待合には、スターバックスやケンタッキー等があるので、食べたり、買ったりして待つことができる。プラットフォームに入れるのは、出発の15分前だ。アプリ記載の搭乗口に並び、パスポートの写真のページを機械で認証して入場する。もし、パスポートを機械がうまく読み取らない時は、駅行員に認証してもらおう。席の場所はアプリで確認し、出発まで時間がないので、急いで乗ろう。
なお、普段はタクシーアプリでタクシーを呼ぶのが便利だが、高铁の駅に到着したてからタクシーに乗るときは、タクシー乗り場に並んでいる正規のタクシーに乗った方が安くて、早い。個人的に声をかけてくる人は、高額なタクシー料金を請求してくることがあるので気を付けよう。
高铁でいけるおすすめの場所
1)香港のついでに広州へ足を伸ばす
広州は、中国南の中心地である。スカイツリーの次に高い広州タワーや、孫文のふるさと(広州市の隣の中山市)も近い。
香港の西九龙(west Kowloon)駅から広州駅(南駅と東駅の2つ駅がある。)まで、1時間ほどで高铁に乗っていける。香港の空港から香港の高铁の駅である西九龍(west Kowloon)まで、徒歩30分程度で案内板に沿って駅構内を歩いていくことができる。西九龙(west Kowloon)駅では、香港の出国審査、中国の入国審査があるため、1時間は余裕をもって駅に到着しておこう。
広州東駅は、あまり本数がないが、広州の中心地に近く、こちらの駅の方が広州タワーまで近く、電車で行ける。一方、南駅は、本数が多く、中心地までタクシーで30分程度かかるが、駅の近くに中国で人気の长隆グループのリゾートがある。動物園、遊園地、プール、サーカス、ホテルが一体となっている大型リゾートで、動物園にはたくさんのパンダがおり、ゆっくり近くでみることができる。
2)リアル水墨画の景色が広がる桂林へ
広州から高铁で2時間ほどで行くことができる桂林は、中国広西チワン自治区にある。川を囲むようにカルスト地形が広がっており、中国の水墨画のような景色が広がっている。この地形は世界遺産にも登録されており、中国のお札の裏面にも描かれている。
3)通年観光客で賑わう西湖を眺めに杭州へ
杭州は、中国8大古都の一つであり、中国観光客に人気のスポットだ。そのなかでも、西湖はその美しさから人気があり、世界遺産にも登録されている、
杭州は、上海から高铁で、1時間ほどで行くことができる。
4)パンダ好きの聖地、パンダ基地を目指して成都へ
西安は、秦の始皇帝の兵馬俑で有名な場所だが、西安から成都までは高铁で4時間程度で、行くことができる。
成都は、パンダ基地、世界三大恐竜博物館の一つ自贡(zi4gong4)恐竜博物館、三国志の蜀のゆかりの武将を祀り劉備の墓がある武候祠博物館、仮面が一瞬で変わる川劇を楽しめるところである。
郊外に行くと世界遺産である九塞溝も有名だ。成都から九塞溝までは、火车(huo1che1、日本でいう特急列車、もちろん同じアプリで予約可能。)で2時間程度。
なお、成都では四川料理が食べられるが、中国料理のなかで最も辛く、お腹を壊す人もいるので食べる際は注意しよう。
(参考)
中国入国のためのビザ免除措置について | 在中国日本国大使館
文/大堀貴子