
スマホを構成するポイントはさまざまあるが、特にハイエンドモデルで、独自のこだわりを見せるのが、カメラ機能。Galaxy S25 Ultraの100倍ズーム、AQUOS R9 proの1インチセンサー、iPhoneやPixelのAI補正といった形で、それぞれが個性を出し、しのぎを削っている。
本記事では、同じくカメラ機能に優れたハイエンドスマホとして、ZTEのnubia Z70 Ultraを実際に使いながら、機能、使用感について紹介していく。ZTEは、2025年に日本市場への本格参入を発表しており、コスパに優れた折りたたみモデルをワイモバイルから発売するなど、今注目のメーカー。個性の強く表れるハイエンドモデルから、ZTEの特色についても、触れていこう。
焦点距離35mmのメインカメラは可変物理絞り機能を搭載
nubia Z70 Ultraのアウトカメラは、50MPメイン、50MP超広角、64MP望遠の3眼構成。フロントカメラは16MPのシングルカメラとなっている。
特徴的なのが50MPのメインカメラで、焦点距離が35mmとなっている。簡単にいえば、一般的なスマホよりも、若干遠い位置にピントがあうような設計になっており、被写体に近づいて撮影するシーンで、非常に使いやすい。
例えば、iPhone 16 Proのメインカメラは、焦点距離24mmで、画面の切り欠きを行い、光学相当の2倍ズームで撮影した際の焦点距離が、48mmとなっている。つまり、iPhoneのカメラでいう約1.5倍ズームくらいの距離が、nubia Z70 Ultraの標準的な距離となる。
広めの画角がいいか、モノに近づいた形での写真を撮りたいかは人それぞれなので、どちらが正解というものではないが、個人的には、製品の写真を撮るシーン、ペットの写真を撮るシーンなどに、35mmという焦点カメラは、非常に使いやすいと感じる。一方、外に出て、風景の写真を撮るといったシーンでは、iPhone 16 Proのカメラのほうが、使いやすさを感じることが多い。
また、nubia Z70 Ultraは、カメラアプリを起動し、35mmのアイコンをタップすることで、焦点距離を50mmに設定できる。iPhone 16 Proの2倍ズームに近い焦点距離で、モノを撮影する際に、スマホ本体や手の影が入りにくくなる。こちらも使いやすく、個人的にかなり気に入っている部分だ。
もう1点注目なのが、nubia Z70 Ultraでは、F/1.59~F/4.0に絞り値を調節できる点。設定が必要な分、カメラ初心者には難しく感じる部分かもしれないが、取れ味が自分好みに設定できるので、自分好みの表現がしやすいのが魅力的だ。
写真の仕上がりとしては、nubia Z70 Ultraは若干赤みが強く出ることもあるが、リアルに忠実な色表現ができる印象。近年のスマホカメラらしく、AIによる補正をかけることもできるが、どちらかというとデジカメのカメラに近い再現性となる。AIの補正を強くかけるiPhone 16 Proと比較すると、色表現のコンセプトが違うことが、はっきりとわかる。精細さも上々なので、デジカメユーザーにも、ぜひ試してほしいと感じる。
超広角撮影でもある程度きれいな写真が撮影でき、超広角カメラ特有のゆがみも見られなかったが、超優秀なメインカメラと比べると、さすがに精細さに欠ける印象もある。こちらも、iPhone 16 Proと見比べると、色味の仕上がりには明確な違いがある。
ズームは、光学5倍、デジタル50倍に対応。iPhone 16 Proは、光学5倍、デジタル25倍となっており、撮影できる距離にかなり違いがあるが、AIの補正力が高いiPhone 16 Proは、デジタルズームでも比較的鮮明に撮影できるのが特徴だ。nubia Z70 Ultraの望遠カメラも、決して悪くない(むしろいい)仕上がりだが、あえて辛口に評価をすれば、超広角カメラと同様に、メインカメラの良さで上がったハードルを越えるほどではない。とはいえ、普段使いにおいて不満が出ることはない、高水準なレベルであることには間違いないだろう。
nubia Z70 UltraとiPhone 16 Proのカメラを使い比べていると、主にメインカメラで、ハードウエアの強みを存分に発揮するnubia Z70 Ultraに対し、AIの補正によって、全体的に優れた写真に仕上げてくれるiPhone 16 Proという形で、コンセプトの違いがよくわかる。
もちろん、nubia Z70 UltraでもAIを使っているが、そこまで強く写真に補正が入るわけではない。近年のスマホらしく、補正力が強く、だれでも簡単にきれいな写真が撮影できるという意味ではiPhone 16 Proが優勢だが、nubia Z70 Ultraの、デジカメに近い、ストレートなカメラとしての強さは、非常に魅力的だと感じる。
■シャッターボタンの使い勝手は大きく異なる
nubia Z70 Ultraの撮影体験を大きく向上させるのが、本体右側面に搭載されているシャッターキーだ。カメラ性能と同様に、シャッターキーもデジカメに近く、半分押しでのAFロック、長押しでの連射などが利用できる。
シャッターキー自体は小さめだが、しっかりと押し込んでいる感覚があり、撮影のミスも少ない印象。本体を横向きに握った際に、自然な形で人差し指が触れる位置にあるので、使いやすさも抜群だ。
iPhone 16 Proにも、シャッターキーとして利用できるカメラコントロールが搭載されているが、これは厳密にいうとボタンではなくセンサー。押した感触も、ボタンとは若干異なる印象がある。
具体的にいうと、出っ張りのあるボタンを押し込むnubia Z70 Ultraに対し、iPhoneのカメラコントロールはへこみをぐっと押し込む形になる。どちらが優秀というわけではないが、デジカメ風にスマホを使うという意味であれば、ボタンを押す感覚のほうが近しいだろう。
また、iPhoneのカメラコントロールは、スワイプ操作で各種設定ができる。これがボタンではなく、センサーを搭載した強みではあるが、誤操作の一因にもなり、使いこなすのが少々難しい。カメラコントロールの搭載位置がやや高く、人差し指をぐっと伸ばさないと届かない点も、操作を難しくしている。
一方、nubia Z70 Ultraは、シャッターキーをカメラの起動、AFロック、シャッターと単機能にしているため、撮影のミスが少ないため、使いやすさを感じるというわけだ。
少し気になるのは、nubia Z70 Ultraでシャッターキーを使った際の操作音。半押しで「ピピッ」、押し込みで「カシャ」とかなり大きな音が鳴るので、静かな環境では使いにくいのだが、こちらはアップデートにて改善予定とのことだ。