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パナソニックがフェムテック事業に参入、着けて寝るだけで月経リズムを把握できるウェアラブルデバイスを開発

2025.03.13

月経リズムは把握したいけど、毎朝の基礎体温測定は面倒……そんな女性の悩みに応えるウェアラブルデバイスを、パナソニックが開発した。就寝時、下着にクリップで装着するだけ。腹部付近の衣服内温度を継続して自動測定することで、基礎体温と同じように低温期・高温期から月経リズムを把握できる。

新デバイス事業で『外美内健』を叶える

「女性の体調はホルモンの分泌に伴い、揺れ動いています。ライフステージによる体調の変化はもちろん、一か月の間にも様々な変化がある。これはとても重要なことですが、社会はちゃんと理解しているのだろうか。また、女性自身も自らの変化を理解しながら、日々を送れているのだろうかという課題意識がありました」と話すのは、パナソニック くらしアプライアンス社 ビューティー・パーソナルケア事業部 ビジネスデザイン部 事業開発課 課長の図師和彦氏だ。

パナソニック くらしアプライアンス社 ビューティー・パーソナルケア事業部 ビジネスデザイン部 事業開発課 課長の図師和彦氏

ビューティー・パーソナルケア事業部では、髪の毛から爪の先まで多くの美容家電を展開しているが、その多くはアウターに働きかけるものだ。

「『外美内健』という考え方があります。外見の美しさはもちろん大切ですが、その美しさの中に秘める、健やかさも重要ということです。美しさと健やかさを維持していくためには、お客様自身が、自らの体について知ることが大切。今後どういった領域でお客様への新しい価値を提案していくか考える中で、『外美内健』に役立つ今回のデバイスの開発につながった」と図師氏は話す。

開発したウェアラブルデバイスの実証試験は、日本大学工学部電気電子工学科の村山嘉延准教授と共同で実施された。44人の女性を対象に、従来通りの基礎体温計による舌下温の測定と、ウェアラブルデバイスによる衣服内体温の測定結果、排卵日予測検査(LH検査)の結果を、3カ月間にわたって分析。婦人科医のブラインドテストによる診断なども加味した結果、基礎体温と衣服内体温には、低温期・高温期のパターンや移行時期に強い相関があることがわかったという。「デバイスを使った衣服内体温の測定結果から、基礎体温と同等の精度で、月経リズムの把握が可能であることが確認された」と、村山准教授は説明する。

ユーザーに寄り添う「お守り」的デバイス

ウェアラブルデバイスは薄型、コンパクトで、クリップで簡単に装着できるのが特徴。クリップをつまんだときに自動で電源がオンになるしくみなので、やることは文字どおり「着けて寝る」だけ。基礎体温のように毎朝決まった時間に計測する面倒やストレスは一切ない。実際に3カ月の試験期間中、ほぼすべての被験者が途中脱落することなく、継続使用できたという。

日本大学工学部電気電子工学科の村山嘉延准教授

実証試験の結果、基礎体温と衣服内体温では、低温期から高温期の移行日にほぼ差がないことが確認されたという

「測定のストレスがなく、データも自動保存されるので、日々の記録に前向きに取り組んでいただけた。測定位置が腹部で子宮に近いこともあり、被験者からは『寄り添ってくれるお守りのような存在に感じる』という、うれしい声もあった」と、村山准教授。「テクノロジーによって、より手軽に月経リズムが把握できれば、習慣化しやすくなる。女性が自身の月経リズムを常に把握し、体調の変化と上手に付き合えるようになれば、毎日をより健やかに過ごせるのではないか」との期待を口にした。

フェムテックを一時のブームにしないよう、製品開発は続く

一方で課題もある。衣服内体温は皮膚温に比べれば外部環境の影響を受けにくいが、「布団の厚さや室温、一緒に寝ている人がいるなどの異なる条件下でも、安定して周期を把握できるアルゴリズムの開発が必要」と、村山准教授はいう。

腹部に直接密着するように下着にクリップで止める。上からパジャマや布団を重ねることで、手首の皮膚温などに比べ、環境の影響を受けにくいという。

実証試験用に開発されたデバイス。Bluetoothを搭載し、データは被験者のスマートフォンを通じて、送信される

クリップをつまむと、内側にある電源ボタンがオンになる仕組み。市販のボタン電池を使用し、バッテリー寿命は約6カ月

「フェムテックが注目されていますが、これを一時のムーブメントにしてはいけない。女性が自身の体についてきちんと把握でき、そしてそれを社会もちゃんと理解している。そんな状態を作るために、少しでもお役立ちたい」と図師氏は語る。

今回行われたのは技術発表だが、2025年内には「この製品およびサービスをどのようにお届けするか、発表できるようにしたい」と、製品化を目指し、引き続き開発を進めていることを明かした。

不妊治療などに用いられている基礎体温測定の代替になるものではなく、目指すのはあくまでも女性の健康管理に役立つ製品、サービスとのことだが、製品化に向けてこれからどのようにブラッシュアップされていくのか、楽しみに待ちたい。

文/太田百合子

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