根治が期待できる舌下免疫療法とは?
――特に症状の重い人に対して、医療機関ができることはなんでしょうか?
村川:ドラッグストアでも症状を抑える薬はありますが、病院で処方される薬の方が、効果は高く、眠気などの副作用も軽いです。
また、病院でしか行えない治療法に「舌下免疫療法」というものがあります。これは、少量のスギ花粉エキスが含まれている錠剤を、舌の裏にしばらく置き、溶けたら1分後に飲み込むもの。そうやって少しずつ、花粉に免疫が過剰反応しないよう慣らしていくものです。最終的には根治が期待できる療法です。
もっとも、治療期間は要します。治るまでに軽症の方だと3年くらい、重症の方だと6年くらいかかります。ですが、ある日いきなり治るのではなく、重症の人は中症に、中症の人は軽症にというふうに、徐々にラクになっていきます。その点でも、舌下免疫療法はおすすめですね。
1点注意したいのは、症状の原因が花粉症ではない場合。それだと、当然ながら効果は現れません。そこで、ダニアレルギーなど別の要因がないか探り、それに応じた治療をしていきます。
鼻水や目のかゆみなど花粉症と思われる症状に悩まされる方は、まずはアレルギー検査を行い、原因を突き止めて、正しい治療をしていきましょう。
■お話を伺った先生
村川哲也医師
喜平橋耳鼻咽喉科院長。医学博士、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会専門医、日本気管食道科学会認定専門医、日本レーザー医学会専門医。
防衛医科大学校卒業後、カリフォルニア大学バークレー校ローレンスバークレー国立研究所勤務などを経て2007年に開業し、現在に至る。花粉症治療の中でも、特に舌下免疫療法の治療実績は日本有数を誇る。著書に『子供の一生を決める花粉症対策』(小学館)がある。
喜平橋耳鼻咽喉科公式サイト:https://www.kihei.jp/
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