
Appleは2025年3月5日、これまで作られた中で最も高性能なチップとして、Macに搭載する最もパワフルなCPUとGPU、2倍のNeural Engineコア、パーソナルコンピュータ史上最も大容量のユニファイドメモリを提供するM3 Ultraを発表した。2025年3月12日より発売される新型Mac Studioに搭載されている。
究極のパフォーマンスと効率
M3 Ultraは、Appleの革新的なUltraFusionパッケージングアーキテクチャを採用して構築され、1万を超える高速接続で2つのM3 Maxダイをつなぎ、低レイテンシと高帯域幅を実現している。
これにより、システムは組み合わせたダイを圧倒的なパフォーマンスを発揮する単一のユニファイドチップとして認識し、同時にAppleの、業界をリードする電力効率を維持する。UltraFusionは、合計1840億個のトランジスタによって、新しいMac Studioの、業界をリードする性能を新たな高みへと引き上げている。
そしてM3 UltraはあらゆるMacチップの中で最大のパフォーマンスを提供しつつ、業界をリードするAppleシリコンの電力効率を維持している。
24の高性能コアと8つの高効率コアを備えた最大32コアのCPUを搭載することで、M2 Ultraの最大1.5倍、M1 Ultraの最大1.8倍のパフォーマンスを実現。
また、Appleチップの中でも最大のGPUを採用しており、M2 Ultraよりも最大2倍、M1 Ultraよりも最大2.6倍高速なパフォーマンスを実現する最大80のグラフィックスコアを搭載している。
M3 Ultraは、最も負荷が高いプロのワークフローを処理するユーザーにAppleシリコンの究極のパフォーマンスと性能を提供する。
M3 Ultraの先進的なグラフィックスアーキテクチャは、Dynamic Cachingのほか、ハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディングとレイトレーシングにも対応し、極めて負荷の高いコンテンツ制作の作業やゲームを軽々とこなすことができる。
パワフルな32コアのNeural Engineは、AIと機械学習(ML)を強化するほか、新しいMac Studioの中核となるパワフルな生成モデルのパーソナルインテリジェンスシステム、Apple Intelligenceを実行する。
実際、M3 UltraはAIのために設計されていて、CPU内のMLアクセラレータや、Appleの最もパワフルなGPU、Neural Engine、800GB/s以上のメモリ帯域幅を備えてい流。
AIのプロは、M3 Ultra搭載のMac Studioを使用して6000億以上のパラメータを持つ大規模言語モデル(LLM)を直接デバイス上で実行できるため、AI開発のための究極のデスクトップとなり得る。
■比類のないメモリ
M3 Ultraのユニファイドメモリアーキテクチャは、パーソナルコンピュータにこれまで搭載された中で最も高い帯域幅を持つ低レイテンシのメモリを採用。96GBから最大512GB、つまり0.5テラバイト以上に構成が可能だ。
これは、現在の最も先進的なワークステーション向けグラフィックカードで使われているメモリ容量を上回り、3Dレンダリング、ビジュアルエフェクト、AIなどの大量のグラフィックメモリを必要とするプロの作業の制限を取り除いてくれる。
Thunderbolt 5による次世代の接続機能
Mac StudioのThunderbolt 5の各ポートは、M3 Ultraに直接組み込まれている独自に設計されたコントローラに対応している。
M3 UltraによりMac StudioがThunderbolt 5に対応し、Thunderbolt 4の2倍以上となる最大120Gb/sのデータ転送速度が実現した。Thunderbolt 5の各ポートは、チップに直接組み込まれている独自に設計されたコントローラに対応。これによりMac Studioの各ポートに専用帯域幅を供給が可能になり、業界で最も高性能なThunderbolt 5を実現している。
Mac StudioのThunderbolt 5ポートは、外部ストレージ、ドッキング/ハブソリューションのためにより高速なデータ転送速度を必要とし、次世代の拡張シャーシを使いたいと考えるプロのユーザーにとって革新的な機能となる。
また、Thunderbolt 5により複数のMac Studioのシステムをまとめて接続することで、コンテンツ制作やコンピュータサイエンス研究の限界を広げるワークフローに取り組むことがで可能になる。
<M3 Ultraに搭載された最先端テクノロジーまとめ>
M3 Ultraは、ハードウェアによって可能となる専用のH.264、HEVC、4つのProResのエンコードとデコードのエンジンを提供するメディアエンジンなどのAppleの先進的なテクノロジーを備えている。
・Appleの専用設計のUltraFusionパッケージングテクノロジーは、10,000を超える信号で2つのM3 Maxダイを接続する埋め込みシリコンインターポーザを使用して、2.5TB/s以上の低レイテンシのプロセッサ間帯域幅を実現。ソフトウェアがM3 Ultraを1つのチップとして認識するようにしている。
・M3 Maxの2倍のリソースにより、M3 Ultraのメディアエンジンははるかに多くのビデオ処理を同時に実行できる。M3 Ultraは、ハードウェアによって可能となる専用のH.264、HEVC、4つのProResのエンコードとデコードのエンジンを備えているため、最大22ストリームの8K ProRes 422ビデオの再生に対応。
・ディスプレイエンジンは最大8台のPro Display XDRに対応しており、1億6,000万以上のピクセルを実現。
・Secure Enclaveはハードウェア検証によるセキュアブートやランタイムのエクスプロイト対策技術と連動して、最先端のセキュリティを提供する。
構成/清水眞希