
物価高やガソリン価格の高騰が続く中、中古車はどれくらい売れているのだろうか。また、特に人気のボディタイプ/エンジンタイプとは?
リクルート自動車総研はこのほど、中古車の購入実態について詳細に把握するために、過去1年間に中古車の購入を検討した人に対して「中古車購入実態調査2024」を全国(沖縄県を除く)で実施し、その結果を発表した。
1 中古車市場規模(推計)
2024年の中古車市場規模(費用総額)は、4兆8285億円と推計した。また1年間の中古車購入率は3.3%で、中古車購入単価は155.9万円となった。
2 中古車の支払総額
中古車の支払総額は、「50~100万円未満」が23.8%で最も高く、以下「100~150万円未満」が17.4%、「50万円未満」16.6%、「150~200万円未満」が15.6%と続く。平均は155.9万円となった。
年齢別の平均では30歳代が173.7万円と最も高く、次いで29歳以下が169.2万円、40歳代が160.2万円となった。
3 中古車の主な購入目的
中古車の主な購入目的は、「通勤・通学用」が40.3%で最も高く、以下「買い物等の足として利用」が27.3%、「レジャー用」が15.7%と続く。また、60歳以上は「買い物等の足としての利用」が全体より13.6ポイント高くなった。
4 直近で購入した中古車のボディタイプ
購入した中古車のボディタイプは、「軽自動車」は42.4%で最も高く、次いで「ミニバン」が16.4%という結果になった。
30歳代は「ミニバン」が11.1ポイント、29歳以下は「クロカン/SUV」が5.7ポイント以上、60歳以上は「ハッチバック」が10.5ポイント、全体平均に比べて高くなった。
5 直近で購入した中古車のボディタイプ別支払総額
支払総額が最も高いのは「クロカン/SUV」で279.1万円。最も低い軽自動車の88.7万円と比較すると3倍以上となっていた。
6 直近で購入した中古車のエンジンタイプ
直近で購入した中古車のエンジンタイプは、「ガソリンエンジン」が74.1%で最も高く、一方、「ハイブリッド」は18.9%にとどまった。
7 直近で購入した中古車のエンジンタイプ別支払総額
支払総額が最も高いのは「プラグインハイブリッド」で364.9万円、次いで、「ディーゼルエンジン」が307.7万円となった。
8 中古車のイメージ
1年以内に中古車を購入した人の中古車のイメージは、「中古車は少ない予算でも買えるので魅力的だ」が77.1%で最も高く、「安全性に問題がなければ中古車で十分だ」が71.8%、「中古車は同じ予
算で上のグレードのクルマが買えるので魅力的だ」が68.1%と続いた。
■『リクルート自動車総研』所長 兼『カーセンサー』統括編集長 西村 泰宏氏の解説
今回の調査では、中古車市場規模が前年より拡大し、2021年に続き4兆円を超える規模となりました。近年、市場規模の拡大は購入単価の増加が牽引してきました。しかし、2024年は前年よりも16.2万円下がり、2021年、2022年と同水準になりました。
エンジン種別ではハイブリッドなど電動化車両全般のシェアが落ち、ガソリンエンジンが4年ぶりに増加。ボディタイプ別では、軽自動車やハッチバックが伸びています。物価高やガソリン価格の高騰など、日々の生活における出費増が影響しているのか、購入にかかるイニシャルコストを抑える方向に消費者の意識が大きく変化したと推察されます。
軽自動車やハッチバックのシェアが伸びているため、支払総額では近年減少傾向にあった「100万円未満」のレンジが8.5%シェアを伸ばし全体の4割を超えました。世代別に見ると30歳代、40歳代、60歳以上がいずれも平均で10万円以上下がっています。
平均購入額が高い30歳代と40歳代が大きく減少、次いで購入額が高い29歳未満と50歳代は微減、最も購入額が低い60歳以上が大きく減少しました。世の中全体の経済動向にもよるでしょうが、購入単価の落ち着きが一過性のもので再度金額はアップしていくのか、今後も価格については落ち着きを見せるのか注目です。
各メーカーの戦略としてもEV一辺倒からの舵切りが大きく報道された2024年ですが、購入されたエンジン種別でも4年ぶりにガソリンエンジンが昨年比で増加しました。ハイブリッドの設定が少ない軽自動車が
シェアを伸ばしていることに相関しているとも考えられますが、プラグインハイブリッドやEVなど、電動化されているモデルが中古車市場においてシェアを伸ばすのはまだ先になりそうです。
出典元:株式会社リクルート
構成/こじへい