人類の永遠の夢とも言える不老長寿を目指す「ロンジェビティ」という考え方に注目が集まっている。ニッセイ基礎研究所の村松容子さんが解説する。
アンチエイジングと何が違う?
「似た言葉にアンチエイジングがあります。明確な境界線はないものの、前者は個々の健康状態をもとに老化の進行を抑える取り組み、後者はゲノムやiPS細胞といった最新の医療技術を活用して老化を改善し、人類全体の寿命を伸ばそうという試みを指すことが多い」
元々のロンジェビティはまさに夢物語だったが、技術の発展により研究開発が進み、少しずつ現実味を帯びてきている。
「特に予防医学が浸透している海外では、ビジネス化を目指すベンチャーへの大企業による投資が盛んです。一方日本では、国主導による基礎研究が多い印象です」
一方で、その実用性に関しては慎重になるべきだと村松さんは警鐘を鳴らす。
「新規分野であるがゆえに、その内容は玉石混交なのは否めません。また、ゲノム技術のように倫理的問題を抱えたものもあり、継続的な議論が必要でしょう」
発展途上ながら大きな可能性を秘めたロンジェビティ。寿命が倍増する未来はそう遠くないか。
【DIMEの読み】
まさに人体のアップデートといえるロンジェビティは、AIのように世の中を変える力を秘めている。だからこそ情報をうのみにせず、本当に社会に役立つ技術の実現を応援したいところだ。
ロンジェビティは老化を改善し人類全体に影響を与え得る
従来の考え方に比べ、ロンジェビティは「改善」を重視している。また最先端技術を駆使し、人類全体の寿命を伸ばすための取り組みを指している。
イーロン・マスクもロンジェビティに熱視線!?
イーロン・マスクが出資するXプライズ財団は健康寿命延伸研究コンテスト『Xプライズ ヘルススパン』を開催中。日本からも15チームがエントリーしている。
取材・文/桑元康平 編集/千葉康永