
スマホネイティブなZ世代にとって、PCは難しくて面倒なもの──。そんなイメージを払拭しようと、老舗メーカーが本気で考え、生まれたのが『FMV Note C』だ。
Z世代が作ったZ世代向けPC
社長直下のプロジェクトを任されたのは、入社2~6年の若手社員。「200人以上の調査などをもとに、Z世代のライフスタイルや嗜好を反映し、デザインや使い勝手を追求した」(ブランドマネージャーの奥村さん)という、こだわりの一台だ。
特に注力したのは、デザイン。角を丸くするなどの工夫を施したアルミ切削のノイズレスな筐体は手触りが心地よい。「PCを開く時は、勉強などでがんばらないといけない時。その時間が少しでも心地よくなるよう、内側には気分が上がる3色のカラー展開を用意しています。どの色にしようか迷うことも含めて、楽しんでほしい」(ブランドマネージャーの堀さん)。
13.3型ワイドディスプレイを搭載し、ノートなどと一緒にバッグに入れやすいちょうどA4のサイズ。大学の図書館や自習室のような場所でも作業しやすいよう、ファンレスにこだわった。静音設計のキーボードは日本語配列だが、かな刻印はなし。矢印キーを大きくして、使用頻度の低いキーは削除するなど、配列も見直されている。作業スペースの狭さを考慮し、マウスを使わなくても操作しやすい、大型のトラックパッドを採用しているのもポイントだ。
独自のアプリケーションも用意した。カメラにはAIメークアップアプリを搭載。左クリックの長押しで呼び出せる専用メニューから、ウインドウの最前面固定や画面キャプチャ、クリップボードなどがすぐに使える。「想定ユーザーに含まれる大学生は移動が多く、隙間時間にも作業をしがちです。外部モニターがなくても、スマホライクに動画の画面を固定し、2つの作業を同時にできるようにしました」(ブランドマネージャーの佐藤さん)。
最近まで学生だったメンバーが学生の使い方を研究して開発した『FMV Note C』。まさにZ世代によるZ世代のためのPCだ。
【DIMEの読み】
FCCLのブランド刷新に伴って誕生した『FMV Note C』は、今までにないアプローチの製品。NECも同様のPCを発売していて、大手メーカーによる大学生の取り込み競争が激化しそう。
入社2~6年の若手社員が企画!
FCCL『FMV Note C』ブランドマネージャーの堀志織さん(左)、奥村麻優さん(中央)、佐藤快さん(右)。いずれも入社2~6年目の若手社員。経験豊富な技術者とタッグを組み、初めて自分のPCを持つ大学生に向けて、こだわりの一台を開発した。
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)『FMV Note C』
「がんばる時間を心地よい時間にする」を目指し、スマホライクなユーザビリティを追求した。オープン価格(実勢価格約19万7780円)。3色展開。
電源ボタンをひとつのキーとして統合。ヒンジ部分の空きスペースを狭め、大型トラックパッドも採用した。
矢印キーやEnterキーを使いやすいサイズで配置し、押しやすさを確保。使用頻度が低そうなキーは削除した。
ヒンジは片手でラクに開閉できる。ギリギリまで配置された各キーは、サイズとピッチが絶妙で打ちやすい。
美しい曲面のためにネジを斜めに打ち込むこだわりぶり。島根の工場でひとつずつ丁寧に組み立てられている。
パッケージもシンプルで、マニュアルも二次元コードからという徹底ぶり。
取材・文/太田百合子 編集・撮影/田尻健二郎