
「風呂キャンセル界隈」という言葉が昨年Xでトレンド入りするなど、日本における入浴スタイルに変化が起きている。また、空間をいかに有効活用するか、「スペパ(空間対効果)」を意識する人も増えているようだ。
新たな入浴の在り方を提案
そんな中、2024年11月に建材・住宅設備メーカーLIXILが、新たな入浴の在り方を提案する『bathtope』の発売を開始した。「お風呂はもっと、自由でいい。」をコンセプトに掲げる同製品の特徴は、使いたい時だけ使える、ファブリック素材で作られた浴槽。使用しない時は壁に掛けたり折り畳んだりして、浴室のスペースを自由に使える。
同製品の開発責任者でデザイナーの長瀬徳彦さんは、開発の背景について「国内における新築件数の減少、人口減少、シャワーを中心とする入浴スタイルの増加などの変化を受け、イノベーションが必要でした。浴室を使う時間は、長い人でも1時間ほど。その空間を開放して、もっと『自由な場所』にしたいと思ったんです」と話す。
社内で未来のビジネスアイデアを公募する「ミライBOX」で高評価を受け、商品化が決定。浴室内で固定される従来の浴槽スペースの〝新たな在り方〟を提唱した。ターゲットは、都市部で狭小住宅や中古マンションのリノベーションを検討しているシングル、DINKS。居住面積が限られている中でも、入浴を諦めず、おしゃれで楽しい生活を送りたい層だ。
「シャワールームに変更するだけの話かもしれませんが、日本人は本質的にお湯に浸かることが大好きです。浴槽を簡単に設置できて、お湯に浸かってリラックス。そういう時間を日本人のデザイナーとして残したいと考えました」
現在は、安全性の観点から浴室の施工を含めて1サイズの販売スタイルだが、今後は現形態に捉われない進化を視野に入れている。
「市場と対話しながら製品を作り上げていきます。この先ホテルや賃貸物件でも需要はあると感じます」と長瀬さんが話すように、多くの入浴シーンで空間の利用価値が変わっていくかもしれない。
【DIMEの読み】
浴槽を取り外す、というアイデアで、狭いスペースでも入浴を諦めないスタイルが選択肢に加わった。メンテナンスも容易なため、賃貸住宅のオーナーや宿泊施設からも注目を集めそうだ。
1日に浴室を使う時間は「30分以下」が多数
短い入浴時間以外の用途で浴室を使えたら、スペース活用の選択肢が大幅に広がる。健康増進やリラックス目的で入浴を捉える人も多く、潜在的には入浴に対してポジティブだ。例えば寒い時期だけ入浴し、それ以外は趣味のスペースに充てる使い方も可能。
株式会社LIXIL bathtope
60万5000円~220万円(工事費別)
従来の浴槽よりも約50Lも節水できる
使用湯量が少ない設計も、ターゲット層に響くポイントの一つ。従来のFRP(ガラス繊維強化プラスチック)浴槽に比べると、およそ50Lの節水ができ、排水量も大幅に削減できる。
重量は約900gと軽量!カラバリ展開は5色
浴槽は軽量で、設置・撤去のストレスもない。ハンモックのように包み込まれるような入浴体験も新鮮だ。5色のバリエーション展開のため、気分に合わせて色を変えることもできる。
取材・文/久我裕紀 編集/髙栁 惠