
アメリカン・エキスプレスが2025年3月4日、「アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カードに関する記者発表会」を開催。中小企業経営者や個人事業者向けの『ビジネス・ゴールド・カード』を刷新し、新規の申し込みを開始したことを発表した。
『アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード』年会費4万9500円。
同社が日本で法人向けのビジネス・カードを発行したのは1985年。時代の変化や社会のニーズ、会員からの声などによって、これまで定期的に特典の刷新を行なってきた。
小規模ビジネスオーナーの課題
現在では働き手の高齢化や人材不足という社会課題から、デジタル化による業務効率化が急務。とはいえ小規模企業の経営者は経理や営業、人事など、様々な業務をこなさなければいけないため、本業に集中できる時間が削られている。
発表会に登壇した経済アナリストの馬渕磨理子氏は、このような現在の中小企業を取り巻く環境を説明すると共に、今後取るべき戦略について提案を行なった。
経済アナリストの馬渕磨理子氏。日本金融経済研究所 代表理事、大阪公立大学 客員准教授、著作家の肩書きも持つ。
馬渕氏が日本の中小企業を取りまく課題として掲げたのが、物価高、資金不足、人手不足、賃上げ、後継者問題、2025年問題の6つだ。一方で大企業では33年ぶりの高水準の賃上げが行なわれ、物価高の打撃に加えて人手不足にも陥り、廃業や倒産が広がっている現状だと言う。
「今こそ本業での稼ぎを高めていく視点が重要だと考えます。そのためにビジネスオーナーが経営に集中し、今の時代だからこそ積極的な投資型経営を推進する必要があります」と馬渕氏。その1つの方法として、ビジネス・カードを利用する有用性を説明する。
インボイス制度や電子帳簿保存法などで、政府がBtoBのキャッシュレス化を推進している今、企業間のキャッシュレス化が加速。ビジネス・カードを利用することで経費管理が効率化でき、そのことが経営の効率化にも繋がっていく。「本業に集中できることで企業の競争力が高まります。常に未来を見据えて戦略的な視点を持つことが重要」だと言う。
新たなビジネス・ゴールド・カードの4つの特典
これらの背景を踏まえて、新たにサービスを拡充した『アメリカン・エキスプレス・ビジネス・ゴールド・カード』。小規模ビジネスオーナーの課題に向けて、次の4つの特典を用意する。
1 従業員向けの新しい追加カード
2 ポイント・プログラムの拡充
3 ビジネス・フリー・ステイ・ギフト
4 成長を後押しするエキスペリエンスの強化
1つ目が、新しい追加カードの発行だ。初のホワイトの券面で、付帯特典は付かないものの、年会費無料で最大99枚まで発行可能。これまで現金などで支払っていた経費をビジネス・カード決済に一本化することで、従業員が立て替えする負担なく、経費処理の効率化が図れる。追加カードはそれぞれ利用限度額が設定でき、会計ソフトとデータ連携することで支払い状況を可視化することも可能。追加カードの決済分は基本カードに合算されるので、まとめてポイントが貯まるメリットもある。
『ビジネス・ゴールド・カード』の追加カード(付帯特典なし)。
『ビジネス・ゴールド・カード』の追加カードの裏面。表面はホワイトだが、裏面は基本となるビジネス・カードと同じ色になる。
2つ目はオプションのポイント・プログラム「メンバーシップ・リワード・プラス」。貯めたポイントをカードの支払いに充当したり、マイルや提携ポイントに交換できるプログラムで、ポイントの有効期限が無期限になり、ポイント還元率やポイント交換レートがアップする。自動登録され、初年度無料で利用できる(翌年以降は年3300円が必要)。
そして3つ目が、「ビジネス・フリー・ステイ・ギフト」。東急が運営する定額宿泊サービス『TsugiTsugi(ツギツギ)』の無料宿泊特典が、カードの利用金額に応じてプレゼントされる。年間300万円以上の利用で1泊2名分、500万円以上の利用でさらに1泊2名分がプラスされる。対象ホテルは全国300か所以上あり、特典はカード本人以外に従業員が出張時に利用したり、取引先に贈ることもできる。
最後の4つ目は、ビジネス拡大に役立つ「ビジネス・マッチング」。カード会員様同士の交流の場の提供で、2023年にスタートし、登録数は1万5000社以上にもなる。ビジネスパートナーを探したり、新しいビジネスチャンスを開拓したり、商品やサービスのPRなどにも活用できる。今年は対面でのイベントをより強化し、全国各地で7回の開催を予定する。
アメリカン・エキスプレスでは設立初期、成長期、成熟期/変革期に合わせて3種類のビジネス・カードを提供。今回の『ビジネス・ゴールド・カード』は成長期のビジネスオーナーに向けたカードになる。
アメリカン・エキスプレスが提供する3種類のビジネス・カード。
『ビジネス・ゴールド・カード』には4つの特典のほかにも、ビジネス、出張、宿泊、接待など、様々なサービスが用意されている。活用することで課題解決をサポートしてくれる存在になってくれそうだ。
取材・文/綿谷禎子