パフォーマンスアップ術はほかにも!医師おすすめのコーヒー活用術
ところで、岡本氏も働き盛りの40代の一人として、日頃から仕事のパフォーマンスを上げるため、また健康のために実践していることがあるという。それはコーヒーを活用することだ。
1.昼寝を直前にコーヒーを飲む
「私はコーヒーを飲んでから昼寝をとっています。昼寝をとるメリットは色々な報告があります。例えばある成人約3,500名を調べた研究(※4)では30分以下の昼寝は高血圧のリスクが約20%低減することがわかっています。一方、30分以上の昼寝をとる人はBMIや血糖値、さらには死亡率まで上昇させることが分かっていますので、昼寝は15-30分までにしています。さらに中国の研究(※5)でも30分までの昼寝が一番エピソード記憶をはじめとした認知機能に良い影響を与えたという報告もあります。
またコーヒーには眠気を覚ます作用が有名ですが、これはカフェインが睡眠圧を高める『アデノシン』の作用を阻害することによります。アデノシンは起きているとエネルギーの代謝により産生され、これが脳内に蓄積されることで徐々に睡眠圧が強くなりますが、カフェインはこのアデノシンと似た構造をしているため、カフェインを摂取すると、アデノシンの作用が競合的に弱まる結果、眠気が飛びます。
カフェインが体内に吸収されて血中濃度が最も高くなるのは摂取後30分後です。よって15-30分の昼寝の直前に飲むことで、カフェインの覚醒作用により目覚めがスッキリして、昼寝後の業務も効率が上がる可能性があると考えられます」
2.カフェインレスコーヒーは摂取しない
「コーヒーはカフェインが持つ抗炎症作用によって、脳神経保護効果が期待されることが示されています。例えばイギリスの約20万人を対象にした研究(※6)では、1日3杯程度のコーヒーを飲むと、認知症に罹患するリスクが約25%低下、また死亡率も約30%程度低下することが知られています。カフェインレスコーヒーではその効果が失われてしまうことも分かっていますので、私は基本的に摂取しないようにしています」
寒暖差疲労を感じており、体調を崩す恐れがあるなら、身近なヨーグルトに酢を加えたり、コーヒーを活用して睡眠の質を上げ、パフォーマンスアップに努めるのも良さそうだ。
※1 PMID:38103462
※2 Novel Synergistic Combination of Lactic Acid Bacteria and Acetic Acid Bacteria Postbiotic Agents – Assessment of Biopreservation Effect
※3 PMID: 36246224
※4 Obesity (Silver Spring). 2023 May;31(5):1227-1239
※5 J Am Geriatr Soc. 2017 Feb;65(2):373-380.
※6 PMID: 37226675
取材・文/石原亜香利