DIME MAGAZINE
2024年12月に発売するやいなやスニーカーファンの間で話題をさらった、ナイキの「エア マックス ミューズ」。エア マックス シリーズで初となる、女性向けのデザインスニーカーはどのようにして誕生したのか。エア マックス ミューズの実態に迫る。
シリーズ誕生から37年の時を経て「女性のためのエア マックス」が登場
1987年の登場後、スポーツシューズとしての枠を超え、ストリートファッションやヒップホップなど多くのカルチャーに影響を与えてきたエア マックス。時代の変化に沿ってデザインや機能をアップデートしながら、新しいモデルを更新し続けることで、性別や年齢を問わず愛されるシリーズとなっていった。
昨年登場したエア マックス ミューズは、現代社会を活発に生き抜く「型にとらわれたくない女性」のためにコンセプトが練られたという。これまでのエア マックスはユニセックスなデザインに、広いサイズ展開が標準だったが、今回は女性サイズのみを販売。主役級のダイナミックなルックスと快適な履き心地を兼ね備えた新しいシリーズの誕生に、女性のスニーカーファンの間で注目が集まっている。
エア マックス最大の特徴を「ヒール」に見立てたデザイン
エア クッショニング
エア マックス シリーズを語る上では欠かせない最大の特徴が「エアクッショニング」。ソールに内蔵されたエアユニットが衝撃を吸収することで足にかかる負担を軽減してくれ、長時間履いても疲れない抜群の快適性を誇る。あえてエアユニットが見えるデザインになっているのもポイントだ。エア マックス ミューズでは、エアユニットを独立させ、ヒールに見立てたアイコニックなデザインも目を惹く。
エア マックス最大の特徴ともいえる「エア クッショニング」がヒールを彷彿とさせる
バックのデザインもまるでヒールのようだ
昨今、ナイキのフットウェアチームではコンピューターによる高度な設計「コンピュテーショナルデザイン」を採用し、最先端の機能やデザインを追求し続けている。エア マックス ミューズはそのテクノロジーが活用され、サイズ、形状、素材感などあらゆる要素を緻密に計算し尽くして、さらに快適性を高めることに成功。
そして機能性のみならず、デザインも未来的な構造へと一新。合成皮革を成型加工したオーバーレイをメインに、異なる素材で構成したユニークな質感のアッパーや、丸みを帯びた独特なフォルムも特徴だ。テクノロジーとファッション性、双方の最先端が融合した一足とも言える。
なぜ、女性のためのエア マックスが作られたのか
エア マックス ミューズには、現代の女性に向けた願いが込められているという。
「女性の進化するスタイルと気分に合わせて、エア マックス ミューズがさまざまな選択肢を提示することも考慮しました。シリーズの第一弾はシルバーのメタリックなカラーや新しいマテリアルでファンを驚かせること。そしてデザイン性と履き心地の両方を兼ね備えたモダンな表現。あらゆるスタイリングにマッチして、毎日のファッションのムードを高めてくれる一足を作り上げたかったんです」と、ナイキ スポーツウェア マテリアル デザイン ディレクターのマリア・チャンはエア マックス ミューズは語る。
エア マックス ミューズをデザインした、ウィメンズ スポーツウェア フットウェア デザイナーのカン・エルデム氏は「我々の目標は、想像力と快適さの両方に焦点を当てた新しいエア マックス モデルをデザインすること。スマートで美しく大胆なデザインを実現すると同時に、エア マックス フランチャイズのイノベーションとクッションを提供することを目指しました。エア マックス ミューズの大胆なシルエットが、女性のスニーカーファンたちを驚かせ、想像力を掻き立ててくれます。彼女たちがこれまでに見たことのないような、新しいエアのアプリケーションを搭載しているのも特徴です」とコメントしている。
世界各国のミューズたちが愛用していることでも注目
ジョーダン・チャイルズ
発売して日が浅いものの、既に世界各国のアスリートやクリエイターたちから支持を集めている。
2024年のパリオリンピックで金メダルを獲得した体操選手のジョーダン・チャイルズ、こちらもパリオリンピック金メダリストのテニス プレイヤー、鄭欽文などのスポーツ選手が愛用。他にも人気スタイリスト兼クリエイターのヴェネダ・カーターというように、業界やファッションのスタイルを問わずに幅広いジャンルのミューズたちに注目されている。
現代を生きる女性たちのあらゆる選択をサポートしてくれる一足
エア マックス ミューズはメタリックシルバーを皮切りに、2025年を通して多様なテクスチャーとカラーが発表される予定。豊富なラインナップの中から自分のライフスタイルやファッションにマッチする一足を選べるのも魅力のひとつだ。
SNSやテクノロジーの発達によって得られる情報の幅も広がり、仕事や私生活の選択の自由度が広がった現代。そんな個性や自己表現の大切さが謳われる時代には、背中を押してくれるような大胆なデザイン、スポーツやプライベート、どんなシーンでも活躍してくれる機能とテクノロジーの柔軟性がスニーカーにも求められる。
ジェンダーレスなデザインのアイテムが増え、「男性のため」「女性のため」という線引きは排除されていく昨今。そんな中、現代の女性に向けて作られた強気な一足は、今後ウィメンズスニーカーのトレンドを牽引していくことだろう。
【製品概要】
製品名：ナイキ エア マックス ミューズ
価格：￥20,130(税込)
サイズ：メンズ／25〜29cm
取材・文／山本菜美子
1997年生まれ。フリーエディター、ライター。主な執筆分野はファッションやアート。
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