X一強時代は続くが…文字投稿以外の新しいコミュニケーションプラットフォームの登場が鍵
三上氏はなんだかんだ言ったところでXは存続すると見ている。
「新しい“ポストツイッター”が出てくるたびに、私もさんざん解説をしてきましたが、SNSは機能や使いやすさや利便性では選ばれません。人が多いところに人が集中するのです。
結局とんでもない、荒れてひどいけど、人がいるのはXなので、Xに戻ってくる。環境は最悪だけど、Xが強いのは今後も変わらないでしょう」
一方で、Xの天下が続くだろうかというと、そうではない可能性はあるという。
「今後、全く違う形のSNSのコミュニケーションプラットフォームが現れれば、Xの利用者数にも影響が出てくるのではないでしょうか。
TikTokが若年層のユーザーをたくさん獲得しているように、動画なのか、音声なのかわからないけれど、リアルタイムの情報コミュニケーションをSNSを使って行っている。
僕も先日の入院中の日記はすべてBlueskyに書きましたが、ログインしなくても書けて、シンプルで軽くて安定しているのがよい。
一方で、mixi2はコミュニティが強い。それぞれXには取って変わるまではならないけれど、それぞれのちっちゃなSNSで構築したコミュニティを腐らせずに動かしていくことが大切だと思います」
Xが目指す「スーパーアプリ」が描く未来とは? 絵に描いた餅に終わる可能性も
マスク氏は今後スーパーアプリ化を推進、2024年前半には個人間送金を実現すると表明していましたが、現時点ではまだ実装には至っていません。三上氏は現時点では2025年度中となっているものの、実現しても定着や継続してのサービスの提供は難しいと予想しています。
「スーパーアプリ化とは、プラットフォーム側が収入の手段として、ひとつでいろんなことができるようなサービスを付与することをさしています。
今回のXでは、Xを通してタクシーが呼べる、買い物ができる、銀行口座が開けるという未来を目指すというものですが、実はこの言葉ってネットサービスが赤字のときにいう常套句なのです。
LINEを例にあげると、日本国内のスマホユーザーの95%が使っていますが、LINEPayは撤退しています。LINE TAXI、音声AIスピーカーCLOVAもだめ。つまり圧倒的なシェアを持つLINEですらもスーパーアプリ化に失敗しているんです。
スーパーアプリ化に成功した例は世界的に見ても少なく、Xが果たしてうまくいくかは微妙だと思っています」
取材・文/北本祐子