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いよいよ今秋始動!豊田章男会長が「ウーブン・シティ」の竣工式で語ったこと

2025.03.06

今年のCES 2025プレスカンファレンスでトヨタ自動車の豊田章男会長は、モビリティのテストコースである「ウーブン・シティ」の竣工と2025年秋以降の実証開始を発表した。

2018年にトヨタはモビリティカンパニーへの変革を宣言し、2020年にウーブン・シティの構想を発表して以来、着実に準備を進め、2024年10月にPhase 1の建物が竣工した。

プレスカンファレンスでは、「自分以外の誰かのために」という想いで実証を行うInventors(インベンターズ/発明家)や住民やビジターであるWeavers(ウィーバーズ)に加えて、ウーブン・シティはコラボレーションの場所であることが紹介された。

豊田会長は、CES 2025プレスカンファレンスで以下のように述べている。

「ウーブン・シティではコラボレーションが全てです。多様な視点や才能、能力を一つの布に一緒に織り込み、私たちの未来の当たり前を創るチャンスです。その未来で、私たちはヒトの移動だけではなく、心も動かしたいと考えています」

そこで、建物が竣工したことを踏まえて、実際にInventorsやWeaversが実証実験を実施・参加するコラボレーションの「場」の一部を紹介する。

「Kakezan Invention Hub」

1か所目は、「掛け算による発明」を創りだす「Kakezan Invention Hub」。トヨタの強みと自動車産業ではない業界の強みを「掛け算」することで、1社やひとりでは創り出せない新しい価値やプロダクト、サービスの創出を狙う場所となる。

ここでは、Inventorsのプロダクトが展示され、Weaversが実際のプロダクトを見て、意見を交わす。プロダクトは完成品ではなく、仮説や試作段階のものを想定しており、Weaversからのフィードバックを貰いながら、Inventorsは開発を加速させることができる。またInventors同士、またはInventorsとWeaversが交流するイベントなども開催予定となっている。

「物流の道」

ウーブン・シティでは、地下も物流の実証の場所として活用される。地上の「街」には、「歩行者専用の道」「歩行者とパーソナルモビリティが共存する道」「自動運転モビリティ専用の道」があり、4本目が地下にある「物流の道」。地下に道をつくることで、天候などの環境に左右されずに自動搬送機能などの実証を行うことができる。

また、物流の実証を行うにあたり、ウーブン・シティの「しくみ」の1つであるデジタルツイン技術を活用している。デジタルツインは、収集したデータなどを元に現実世界をデジタル上で再現する技術です。これを活用することで、デジタルの世界でシミュレーションしたことをリアルの世界に反映してフィードバックを得て、それをデジタルの世界に加えて、そこでの精度を向上させていく。このデジタルツイン技術を物流にも適用して、未来の物流のあり方を考えていく。

「コートヤード」

そして、InventorsとWeaversが集まるのが、コートヤード。Weaversはウーブン・シティにおける価値創造の主役であり、Inventorsが開発するプロダクトやサービスを利用し、そのフィードバックを提供する重要な役割を担う。コートヤードでも、例えばInventorsがプラットフォームとしてのe-Paletteを活用し、実証実験の一環でコーヒーや軽食を提供し、Weaversがフィードバックを提供することを想定している。

Phase 1竣工式

こうした実証の場の竣工に携わった大林組や日建設計をはじめとする工事関係者、地域の方々、そして自動車産業に携わる方への感謝を示すために、2025年2月22日、Kakezan Invention HubにてPhase 1竣工式を執り行なった。

竣工式にて、会長の豊田氏は以下のように挨拶を述べた。

「豊田でございます。本日、竣工式を迎えるにあたり、これまで多大なるご支援、ご協力を賜りました裾野市、静岡県および地域の皆様、すべての関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。

かつて、ここには、トヨタ自動車東日本の東富士工場がありました。その閉鎖を決断した2018年。私は、工場で働く仲間たちと直接、対話をする場を持ちました。

その時、様々な事情で、一緒に働くことができなくなる仲間たちへの想い、この地でクルマを作り続けてきた誇り、地域の方々への感謝。一人ひとりが、その心の内を、精一杯、私に伝えてくれました。その顔を見て、その想いに触れて、私は、“この場所を、未来のモビリティづくりに貢献する聖地にしたい”、そう心に誓いました。

ウーブン・シティは更地の上にできるのではありません。半世紀に渡り、自動車産業と地域のために働き続けた仲間の想いの上にできる街です。私の言葉で申し上げれば、“クルマ屋たちの夢のあと”です。

あれから7年。私の想いは、多くの人たちの手によって、現実のものになろうとしております。ビャルケ・インゲルス・グループの皆様には、夢のようなコンセプトデザインを描いていただきました。日建設計の皆様には、そのデザインを具現化する、最初の段階からご協力をいただきました。三井住友建設の皆様には、溶岩掘削に大変なご苦労をされながらも、この場所の造成工事を成し遂げていただきました。

そして、大林組の皆様には、のべ42万人、340万時間に及ぶ建設工事を「無事故・無災害」で実現いただきました。今日、この場にお見えになる日建設計と大林組の皆様には、最後の最後まで、私どもの設計変更にご尽力を賜ったと聞いております。

“幸せの量産”という、私どものビジョンに共感くださった皆様の“何としても成し遂げる”という意志と情熱、そして、“自分以外の誰かの幸せ”を願う、優しい心。それらがなければ、今日の、この景色は見られなかったと思います。

心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

ウーブン・シティは、進化し続ける、“永遠に未完成の街”であり、“未来のモビリティのテストコース”です。この場所から、“ウーブン・シティがあって良かった”、みんながそう思えるような、未来のモビリティが生まれてくることを期待しております。これからも、 志を同じくする皆様とともに、未来に向けた歩みを進めてまいりますことをお約束して、私の挨拶とさせていただきます。

本日は誠にありがとうございました」

関連情報:https://www.woven-city.global/jpn/

構成/土屋嘉久

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