
咋年末、ヒャダインさんが2019年に雑誌『体育科教育』で寄稿した「頼むからそっとしておいてください」というコラムがXで話題に。この雑誌は体育教師をターゲットとしているが、その中で自分はいかに体育の授業が嫌いかを激白しているのだ。確かにDate1によると「過去にスポーツ・運動に関するトラウマがある」という大人は20.3%。なぜこのような状況になってしまったのか? 日本スポーツ協会の青野 博さんに話を伺った。
二極化しやすい構造が体育の問題点
「文科省が定める体育学習の指導要領は『生涯にわたって運動に親しむ資質や能力の基礎を育てる』ということが主軸。体育教師もそれに基づいて授業をしているはずですが、実際は『何かを身につけさせなくてはいけない』と、結果を求める教師が少なくない。運動が得意な人は結果を出せるが、苦手な人は結果を出せずにやる気も出ない。二極化しやすい構造が体育の問題点だと感じています」
保護者の接し方も無関係ではないともいう。
「4月生まれと、早生まれのお子さんでは発育の差があるように、子供の成長過程はひとりひとり異なります。それなのに自分の子供が結果を出せないと、すぐに結果を出すことを求める。親のネガティブな言動もますます子どものスポーツから遠ざけてしまいます」
他人と比べなくてもいい、すぐにできなくてもいい……そんな気持ちで教師も親も、焦らずに見守っていくことが求められそうだ。
生まれた月によっても子供の成長過程は大きく変わります
JSPO(日本スポーツ協会)
スポーツ科学研究室 室長 青野 博さん
子供たちに運動・スポーツの楽しさを教える「アクティブ・チャイルド・プログラム(JSPO-ACP)」を展開している。
Date1|大人になってもやっぱり嫌い!
5人に1人は、大人になってもスポーツにトラウマがある現実
過去にスポーツ・運動に関するトラウマやネガティブな思い出がありますか?
例として「強制的にやらされて嫌だった」「しごかれた」といった指導者に対する思いや「出来ないことへの周りの目線が嫌」といった結果が出せないことへのトラウマに。
Date2|「他人と比べられること」が大きな要因?
現役小中学生の体育嫌いが加速中!!
学校の体育の授業についてどう感じていますか?
「やや好き」の割合は小中学生でほぼ同じ。しかし中学生になると「好き」が大幅に減った分「嫌い」が増えており、中学校の体育に大きな問題が潜んでいる可能性もある。
スポーツや運動において、他人と比べられることについてどう思いますか?
徒競走やマラソン大会など、体育は順位があからさまになる競技が多数。苦手な子は結果をつきつけられ、ますます嫌な気持ちに……。
2023 全国共済農業協同組合連合会調べ