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昆虫ハンター・牧田習が解説!種類によってまったく異なるチョウたちの冬の過ごし方

2025.03.01

もうすぐ春!いよいよ昆虫のシーズンがスタートしますね。暖かくなってきて、昆虫探しに出かけるといろいろな昆虫に出会いますが、よく飛び回るチョウの仲間はその中でもよく目につくかと思います。ではそんなチョウたちは寒い冬の間、どこで何をしているのでしょうか?実は一言にチョウと言っても、種類によって冬越しの仕方が全く違うんです。そこで、今回は完全に終わる前に、日本の多くの地域におけるチョウたちの冬の過ごし方について解説します。

チョウの冬越し

チョウは卵→幼虫→蛹→成虫という順に成長する完全変態の昆虫です。では、冬の間はどの状態なのでしょうか?その答えは「どの状態で冬を越す種類もいる」です。つまり、卵で冬を過ごす種類、幼虫で冬を過ごす種類、蛹で冬を過ごす種類、成虫で冬を過ごす種類、すべて存在しているのです、ここでは、それぞれについて代表的な種類を紹介します(写真はすべて成虫の写真です)。

(1) 卵の状態で冬を越すチョウ

アゲハチョウ科のうち、ウスバシロチョウなど、シジミチョウ科のうち、ミドリシジミやアカシジミなど、タテハチョウ科のうち、ウラギンスジヒョウモンなどは卵の状態で冬を越します(ウラギンスジヒョウモンは暖かい地域では幼虫の状態で越冬します)。

(2) 幼虫の状態で冬を過ごすチョウ

シジミチョウ科のうち、ヤマトシジミやベニシジミなどの種類、タテハチョウ科のうち、オオムラサキやゴマダラチョウなどの種類は幼虫の状態で冬を越します。

(3) 蛹の状態で冬を過ごすチョウ

アゲハチョウ科のうち、ナミアゲハやキアゲハ、カラスアゲハなど、シロチョウ科のうち、モンシロチョウやツマキチョウなど、シジミチョウ科のうち、ルリシジミなどの種類は蛹の状態で冬を越します。春になると、羽化し、羽ばたく姿を見ることのできます。

(4) 成虫の状態で冬を過ごすチョウ

タテハチョウ科のうち、ルリタテハ、アカタテハ、キタテハ、テングチョウなどの種類、シジミチョウ科のうち、ウラギンシジミやムラサキシジミなどの種類は成虫の状態で冬を越します。特にアカタテハなどは冬の間であっても比較的暖かい日には飛び回っていることもあります。

冬のチョウの見つけ方

ここまで、それぞれの状態で冬を過ごす種類について解説してきましたが、やはり実際にその姿を見てみたい方は多いのではないでしょうか?そこで、冬に見つけるのにおすすめなチョウ3種とその探し方を紹介いたします。

(1) オオムラサキの幼虫

オオムラサキは日本の国蝶でもある種類で、非常に美しい羽を持っています。幼虫の状態で冬を越すのですが、見つけるためには食草であるエノキが多く生えている森に行きましょう。エノキは落葉樹のため、冬には葉が落ちてしまっているのですが、エノキの木の下に落ちている落ち葉をよく観察してみると、落ち葉の色によく似たオオムラサキの幼虫を見つけることができるかもしれません。

(2) アゲハチョウの仲間の蛹

アゲハチョウ科の多くの種類は春から秋まで見ることのでき、その間に卵から成虫までを何度も繰り返し、冬の間は蛹の状態です(アゲハチョウ科でも例外はあります)。植物の茎や枝はもちろん、民家の壁やコンクリートで蛹になっていることもあります。背景に溶け込んでいることも多いですが、よくチェックしてみると、身近な場所でも見つけることができるはずです。

(3) ウラギンシジミの成虫

ウラギンシジミも春から秋まで見ることのできるチョウですが、成虫の状態で冬を越します。ツバキなどの冬でも葉がある常緑樹の葉の裏などに隠れて冬を越します。ウラギンシジミは地球温暖化の影響もあり、分布が拡大しているチョウで、最近では、以前はあまり見られなかった東北地方でも見ることができるようになりました。

チョウの楽しみ方は様々

ここまでチョウの冬越しについて解説してきましたが、チョウの楽しみ方は様々です。チョウを見つけたら、撮影してもいいですし、持ち帰り、飼育することもできます。特に、オオムラサキなどは地味な色をしている幼虫から美しい羽を持つ成虫まで育てると、感動すること間違いないでしょう。

また、標本にし、その場所にその時、そのチョウがいたことを記録していくことで、地域の昆虫相の解明にも繋がります。

チョウは気温や湿度などに敏感で、気候変動などのことを理解していく上で、指標となる生き物ででもあります。皆さんの周りにいるチョウの種類や個体数がどのように変化しているかに着目してみると、環境問題などを紐解くカギになるかもしれません。

昆虫ハンター・牧田習

1996年、兵庫県宝塚市出身。2020年に北海道大学理学部を卒業。同年、東京大学大学院農学生命科学研究科に入学、現在、博士課程在学中。昆虫採集のために14ヵ国を訪れ、9種の新種を発表している。「ダーウィンが来た!」(NHK)「アナザースカイ」(NTV)などに出演。現在は「猫のひたいほどワイド」(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。昆虫をテーマにしたイベントにも多数出演している。

著書:「昆虫ハンター・牧田習のオドロキ!!昆虫雑学99」(KADOKAWA)、「昆虫ハンター・牧田習と親子で見つけるにほんの昆虫たち」(日東書院本社)好評発売中。Instagram・Xともに@shu1014my

文/牧田習

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