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発売2か月で計画比250%の商品も!ファンケルやコーセーも参入した「キッズスキンケア」市場の注目度

2025.03.03

「スキンケア」というと、これまでは成人女性や男性が中心の市場だったが、最近は年齢が低下し、なんと小学生を中心としたキッズ向け、また、ベビー向けのスキンケア新商品が注目を集めている。

なぜ今、低年齢化が進んでいるのか、各社の商品戦略からその理由を紐解いてみよう。

ママのメンタルにも影響するスキンケア

出産後の母親のメンタル面に関する調査によると、育児不安の一因に乳児の皮膚トラブルがあげられている(注1)。おむつかぶれなどの接触性皮膚炎、乳児脂漏性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹といった乳児湿疹に悩む母親は多い。自分の子どもが皮膚トラブルに苦しむ姿を見たら、母親として心が折れるのも当然だろう。多くの人は赤ちゃんの肌が艶々で瑞々しいというイメージをもっている。

これまでのスキンケア市場は成人女性が中心で、美しくなりたい女性のニーズとともに拡大してきた。ベビーやキッズ向けスキンケアはあまり注目されてこなかった分野だったが、母親の子どもを思う気持ちを重視しようという動きの中、スキンケア市場も健全に発達してきた。

特に赤ちゃんや幼児の肌の状態は、母性に大きな影響をあたえる。子どもが自分でケアできない分、子どもの肌の状態は母親の責任であるという意識も強い。

赤ちゃんの肌は生まれた直後と生後2~3か月以降では大きく肌質が変化する。生まれた直後は脂が多いが、次第に乾燥してきて、生後2~3か月以降から大人よりも乾燥しやすくなってくる。子どもの皮膚に、保湿は必須であることが認識されてきた。皮膚に対する正しい知識が広がってきたことも、スキンケア市場の拡大を牽引している。

昨年10月から医療用皮膚保湿剤の自己負担が増加

もうひとつ、スキンケア市場拡大に影響を与えていると考えられているのが、ヘパリン類似物質の処方制限と価格上昇である。

少子化対策の一環として、子どもの医療費の無償化が進み、キッズスキンケア用として皮膚科でヘパリン類似物質が保湿剤として処方されてきた。赤ちゃんや子ども用に処方されたものを家族全員で利用したり、成人女性が美容用として流用するなど処方量が拡大し、医療費負担の要因ともなっていた。政府は病院や薬局などの医療機関に対して、価格が安い後発医薬品に切り替えるよう推奨している。

さらに昨年からは、先発品であるヒルドイドの自己負担額を増加させた。100gあたり300円前後の自己負担が必要になり、処方箋をもらって高い保湿剤を購入するより、市販品を購入したいと考える人も増えてきた。そこで、ドラッグストアなどで気軽に買えるキッズスキンケア商品が、注目されるようになってきたのである。

医療用に処方されたものは確かに安心できるが、市販でも安心して使え、さらに気軽に買えるものならぜひ利用したい。そんなニーズが市場を後押しして、キッズスキンケア市場は今、拡大し続けている。

注目メーカーが打ち出す企業戦略は?

現在、販売されているベビー&キッズ用スキンケア商品は、1)安心・安全で高い信頼性を打ち出していること、また、2)高い保湿性など科学的根拠に基づいた高い機能を提案している、という2点が大きな特徴となっている。以下、話題となった代表的なメーカーとその商品を紹介しよう。

1)ファンケル「ファンケル クリアアップ」

ファンケル(横浜市中区)は昨年12月に小学生のためのスキンケア「ファンケルクリアアップ」を発売した。発売2カ月で計画比約250%と好調に推移している商品で、小学生のスキンケア習慣化を提案しながら、ニキビと肌荒れをダブルで予防するスキンケアシリーズとなっている。

好調の理由として、「小学生特有の肌状態に着目した新しい発想のスキンケアで、肌変化を感じ始めたお子さんと、お子さんのスキンケア開始時期や何を選んだら良いか分からないと感じている保護者の潜在的な『不』の解消に合致した製品であることが、好調要因であると捉えています」と発表している。

ファンケルの特徴は実際に使用する子どもたちの声も取り込んでいる点で、子どもが自分で楽しく取り組める使用感や、使いやすさにこだわった設計を商品に取り入れた。

2)ナチュラルサイエンス「ママ&キッズシリーズ」

ナチュラルサイエンス(東京都江東区)は特に医療機関との提携により、科学的根拠に基づいた商品開発を打ち出している。もともと敏感肌向けのスキンケア商品が人気のメーカーだが、ママ&キッズというブランドで、妊娠中や子育て中の母親とベビー&キッズの両方に使える商品を提案している。

ママ&キッズは、世界一デリケートな赤ちゃんから敏感肌の大人まで使える低刺激スキンケアブランドで、約30年にわたって医療機関と連携し、肌育研究をおこなってきた実績がある。敏感肌やベビー、キッズの肌に本当に必要なものだけを成分や処方に反映させているのが特徴となっている。

3)コーセー「Dear Child Skin」

コーセー(東京都中央区)は、新生児期からの子どものスキンケア習慣を日常的な生活習慣の一つとして根付かせ、将来にわたり健やかな肌と心を守ることを目指す新規事業「Dear Child Skin」を立ち上げた。新生児から敏感肌の大人まで使える薬用高保湿乳液「ぬるミルク」を、直営店及びオンラインサイト「Maison KOSÉ」で昨年8月から販売している。

単に商品展開するだけでなく、子ども達に向けて、スキンケアを歯みがきや手洗いと同じように重要な生活習慣として定着させることを目指して、様々な啓発活動も実施している。オリジナルのキャラクターを使用したコンテンツを作成しており、動画は子どもに大人気だ。オリジナルの歌詞や振り付けで楽しくスキンケアができる「ぬりぬりダンス」は、楽しみながらスキンケアの習慣が身に着くよう、工夫されている。

他にも花王(東京都中央区)のキュレルやメディスキン(東京都港区)のミルクローションなど、子供向けスキンケア商品は多く、選択肢は広がっている。今回は主な国内メーカーを紹介したが、海外からの輸入品も注目されており、特にドイツの子供向けオーガニックスキンケア商品は高額でも入荷待ちの人気商品となっているものもある。

選択肢は多いが、どれも、子どもが皮膚トラブルなく、健康に育ってほしいという親の願いが成長を後押ししている。少子化でも勢いが拡大しつつあるキッズスキンケア市場から、目が離せない。

注1)乳児のスキンケアに関する文献検討、山形大学医学部医学系研究科看護学専攻、山形大学医学部看護学科、高橋育子、佐藤幸子、今田志保、本間恵美

取材・文/柿川鮎子

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