
米国で高齢者の家族介護者が10年で30%超増加、介護時間も50%増。ジョンズ・ホプキンス大の研究で、2022年には2410万人が介護。認知症患者の介護は依然課題、政策立案者への強力な支援策の必要性を訴え、特に女性介護者や経済的弱者への影響を強調。
米国では約10年で家族介護者数が30%以上増加
米国では、2011年から2022年の間に自宅や介護施設で暮らす高齢者を介護する家族や友人などの数が32%増加し、このような介護者が介護に費やした時間も50%近く増加したことが、新たな研究で明らかにされた。米ジョンズ・ホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生大学院のJennifer L. Wolff氏らによるこの研究は、「Health Affairs」2月号に掲載された。
この研究では、National Health and Aging Trends Study(NHATS)とNational Study of Caregiving(NSOC)の2011年と2022年のデータの分析が行われた。NHATSは、米国の65歳以上のメディケア受給者を対象にした全国調査で、高齢者の日常動作に関する情報を収集している。一方、NSOCは、家族や友人などの無償で介護を提供している人(以下、無償の介護者)に関する情報を収集している。2022年のデータでは、無償の介護者の約12%は家族以外の人(友人や近隣の人など)であり、残りは親族であった。
高齢者を介護する無償の介護者の数は2011年は1820万人であったのが2022年には2410万人と32%増加していた。また、無償の介護者が介護に費やす時間も、2011年の週平均21.4時間から2022年には週平均31時間と、ほぼ50%増加していた。被介護者の介護ネットワークの規模は2011年と2022年で変化はなく、1人当たり2人であった。
2022年に無償の介護者が介護していた人は、2011年の無償の介護者が介護していた人と比較して、若く、教育水準が高く、男性の割合が高く、認知症である可能性が低かった。また、無償の介護者は、レスパイトケア(介護者が休息を取れるように支援するサービス)や支援グループなどの支援サービスへの依存が減ったと報告していたにもかかわらず、介護の難しさや雇用と育児の両立に対する責任については、ほとんど変化がないと報告していた。
Wolff氏は、「われわれの調査結果は、介護者の数が大幅に増加しているにもかかわらず、彼らの状況は驚くほど変化がないことを示している。これは、政策に関わる人々が口にする『家族介護者の負担が増加の一途をたどっている』という懸念とは異なる結果だ。それでもわれわれは、特に認知症患者の介護に関わる人が直面する特定の課題に対応する必要がある」とジョンズ・ホプキンス大学のニュースリリースで述べている。
本研究では、介護の責任は依然として主に女性が負わされており、また、認知症患者の介護者や経済的に余裕のない人は特に悪影響を受けるリスクが高いことも示されたという。研究グループは、85歳以上の人口は2050年までに3倍になると予測されていることに言及し、介護者の経験における格差に対処することが喫緊の課題だと主張している。
さらに研究グループは、政策立案者が、州レベルの有給家族休暇政策を含む、家族介護者に対する強力な支援策を策定するべきだとしている。Wolff氏は、「家族介護者は、介護提供システムにとって極めて重要だ。将来を見据えて、何百万人もの高齢者が頼りにしている重要なサポートを今後も提供し続けられるように、家族介護者のニーズを把握し、サポートする必要がある」と話している。(HealthDay News 2025年2月14日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://www.healthaffairs.org/doi/abs/10.1377/hlthaff.2024.00978?journalCode=hlthaff
構成/DIME編集部
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