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BYDがめざすクルマ造りとダイナミックな日本市場戦略

2025.03.02

 中国の自動車メーカーBYDが1月24日に、お台場のシティサーキット東京ベイで事業方針発表会を開催した。日本での事業展開10周年を迎えるEV(電気自動車)バス事業での新車発表や、新たに展開するEVトラックなどについて、BYDジャパンの劉 学亮社長が力強い口調で説明した様子が印象的だった。

PHEV車も2025年末までに導入することを明言

日本専用モデルとなるEVバスの「J7」は、インホイールモーターの採用や運行しやすい車幅2.3mなど、日本の市場によりフィットさせたモデルだ。すでに販売している「K8」などと併せて、2030年までに4000台のEVバスを日本で販売することを目標に掲げていると劉社長は語った。内容もさることながら、劉社長のスピーチがとても力強く聞こえることに驚かされた。45分を超える日本語でのスピーチは少しも淀むことなく情熱的だった。

 最近の自動車関連の発表会では、企業側からのメッセージが事前に作成された動画などでスマートに済まされてしまうことも多くなっている。しかし、今日の劉社長は「社長のスピーチというのはこうでなくちゃ」と頷きたくなるようなエネルギッシュで聞き応えのあるものだった。乗用車については、日本での4台目となるクロスオーバーSUVタイプのEV「シーライオン7」が発表された。

 昨年から発売しているEV「シール」とプラットフォームを共用する「シーライオン7」は大人5名と荷物が乗車できるミドルサイズの電動クロスオーバーSUV。外側からサラリと眺めた限りではインテリアの造形や素材使いなどもシールよりモダナイズされているようだった。

また、以前から告知されていたPHEV車(プラグインハイブリッド)の導入については「2025年末に導入することを約束します」とBYD Auto Japan代表取締役社長の東福寺厚樹氏が説明した。バス事業に続いて、2023年から乗用車事業を日本で展開してきたBYDだが、日本では「SEAL」の他に「ドルフィン」「ATTO3」とEVしか販売していない。EVのイメージが強いBYDだが、実は本国での生産台数はEVよりもPHEVのほうが多いのだ。

昨年1年間のグローバルでの乗用車の販売台数425万370台のうち、EVが41.5%、PHEVが58.5%と約6割を占めているのに対し、EVは約4割。6対4でPHEVのほうが多い状況となっている。そして、2024年4月の北京モーターショーで、BYDは彼らのPHEVシステムを第5世代のものへと進化させたことを発表していた。

そのシステムを搭載した「秦 L」や「SEAL 06」といったクルマは、満タン満充電で2000km以上走ることが同時に発表された。2000km以上走れるというのは、好燃費以外の何ものでもない。エンジンもモーターも、両者を制御するシステムもすべてが高い効率を実現していなければ不可能な数字である。

2000km走るということは、エンジンを動かさずにモーターだけで走る“EVモード”での走行距離も長いのではないだろうか。モデルチェンジしたばかりのフォルクスワーゲン「パサート」のPHEVのEVモードは142kmで、その進化に驚かされたが、それ以上かもしれない。

142kmものEVモード走行距離を確保していると、一般的な乗り方ではほとんどエンジンが始動せずにEVのように走ることが可能だった。ガソリンスタンドに行く回数が激減したり、駐車の際に周囲にエンジン音や排気ガスなど撒き散らさずに済む。それらの自由度が飛躍的に向上し、クルマの使い方にも大きな変化がもたらされるはずだ。2000kmの航続距離は単なる距離の長さだけでなく、クルマの使い方や乗り方を変革する本質的な力を大いに秘めている。

BYDのPHEVはいくつもあり、どれが最初に日本に導入されるのかまでは発表されなかった。スピーチとフォトセッションなどが終了し、会場がお開きになったところでBYDジャパンの社員に聞いてみた。それによると、やはり最新の第5世代のPHEVを搭載したものだということだった。「秦 L」や「SEAL 06」あるいは他モデルなどうちのどれかなのだろう。期待が膨らむ。2000kmという航続距離は、狭い日本では想像できないくらいの長距離だ。さすがは広い国土とユーラシア大陸にある国なのだと思う。早く乗ってみたいと思った。

■関連情報
https://byd.co.jp/

取材・文/金子浩久

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