裁判所のジャッジ
妻の負けです。ゼロ円。理由はザックリ以下のとおり。
裁判所
「セックスはしていない」
「でも、このイチャイチャは不貞行為!」
Q.じゃ、妻の勝ちじゃないんですか?不貞行為なんだから。
裁判所
「そうなんだけど、京子は妻とマサオが別れたと信じてたでしょ。なら京子に過失はない。なので妻の請求は認められない」
順番に解説します。
▼ イチャイチャでも不貞行為?
裁判所は、このイチャイチャは不貞行為だと認定しました。具体的には、
性交に及ぶことを前提にされた性的接触行為といえ、それ自体、妻とマサオとの間の共同生活の平和を害する行為である
と認定しています。
妻
「イチャイチャではなくセックスをしたはずです!」
たしかに、セックス認定できれば慰謝料は上がりますからね。裁判所さん、どうですか?
裁判所
「性交に及んだことを裏付ける証拠はナイ」
車のドアを開けるのが少し早かったようですね。車が揺れてからオープンしてたらingを激写できた可能性があります。読者の皆さま、家康の名言「揺れぬなら 揺れるまで待とう ホトトギスとカーセックス」を教訓にチャンスを待ちましょう。
イチャイチャでもアウト裁判例
ほかにも裁判例があります。男性は、ベッドで浮気相手(女性)にマッサージしてもらった後、下着姿で抱き合い身体を触ったりしました。SEXはしてません。けど裁判所は「コレは不貞行為だ」と認定(東京地裁 H25.5.14)。
イチャイチャだけでも不貞行為に!?浮気裁判事例から考える不倫の代償
こんにちは。 弁護士の林 孝匡です。 宇宙イチ分かりやすい法律解説を目指しています。 浮気裁判例をザックリ解説します。 妻が、旦那の浮気相手に損害賠償請求。 ▼...
完全に服を着たままイチャついてたらどうなのか?
シャツの第3ボタンまでしか外していない状態だったらどうなのか?第2ボタンまでだったら?
悩みはつきませんが、とにかく!
【イチャつきだけでも不貞行為と認定されるかも】ということは押さえておいてください。
裁判官のアタリはずれはある
もしかしたら「服を着たままのイチャつきでもダメ!」という純白裁判官がいるかもしれませんし、不倫グセのある裁判官だったら「服を着たままならセーフっしょ。婚姻共同生活の平和維持という権利を侵害しないっしょ」とタナボタ判断してくれるかもしれません。「どこまでしたら不法行為になるか?」って、実は裁判官の価値観次第です。
▼ ポイントは「別れたと思っていた」
というわけで今回のイチャイチャはアウトなのですが、ここが大事。
京子はマサオと妻が別れたと信じていたんです。裁判所は以下の事実から「京子は彼らが別れたと信じていた」と認定しました。
・妻から京子への「別れた」LINE
・その後、妻から「マサオと復縁した」とのLINEはなかった
・また面倒なことになるのはイヤと断っていた
・大丈夫なのかを何度も確認していた
「過失」があって初めて不法行為になります(民法709条)。今回のように裁判所が「別れたと信じていた」と認定してくれれば「過失なし」となるので不法行為は成立せず賠償金を払う必要がないのです。※安直に信じるだけじゃ過失アリとなる可能性もあるのでご注意を。
今回は以上です。「ビデオカメラ回せ」……ドアオープンッ!
想像しただけで気絶しそうですな。ではまたお会いしましょう。
取材・文/林 孝匡(弁護士)
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