
個人投資家向けの株主優待として「QUOカード優待」が人気だ。個人株主を増やしたい中小型銘柄だけでなく、最近は大企業も続々と導入。QUOカード優待を提供する企業の利点も含め、投資すべき銘柄などを解説する。
企業がQUOカード優待を新設する理由のひとつは
株価への好影響が見込めるから!
QUOカード優待を行なう企業の狙いとしては、個人投資家を呼び込み、株価を上昇させることだ。実際に成功した例は多い。例えば、トランクルームを運営している企業のストレージ王は、2024年7月の中間決算直前に新設を発表し、株価は急騰した(下チャート)。株価は現在も高値近辺で推移している。企業にとって同優待は、一般的に配当金の増配よりも低コストで実施できるメリットがある。
ストレージ王ではQUOカード優待の発表で株価が約1.5倍に
QUOカード優待のメリット
● 節税対策になる(20万円以下は確定申告不要)
● 金券として全国6万店で利用可能
株主優待として提供されたQUOカードは、個人投資家にとっては雑所得に当たる。給与所得者の場合には給与所得以外の所得(雑所得含む)が20万円を超えなければ、確定申告をする必要はなく、税金はかからない。
QUOカード優待の新設を発表する企業が後を絶たない!
株主優待でQUOカードを配布する企業は400社超とみられる(編集部調べ)。そのうち約200社が2025年3月末を株主優待の権利確定の基準日にしている模様。ただし「1年以上の継続保有が条件」とし、株を保有して株主を継続しないと優待が受けられないこともあるので要注意だ。
有名企業もQUOカード優待を実施している
(※株価順/2025年1月末時点)
QUOカード優待の銘柄を選ぶ際は、
優待利回りと配当利回りの合計=総合利回りが5%超を狙う!
QUOカード優待を行なっている銘柄のうち、配当利回りが高いものの中には、業績の不振に伴って株価が大きく下落したものも含まれている。そうした場合、減配や株主優待が廃止される可能性が出てくる。業績が安定していて、なおかつ、総合利回りが高い銘柄をスクリーニングすると、5%が有力な目安になる。
QUOカード優待銘柄を選ぶポイント
● 業績のチェック(特に営業利益)
● 受取条件を確認する(保有期日の設定など)ほか
企業が配当金や株主優待を安定的に継続するには、業績の裏付けが不可欠。本業の収益力を表す営業利益が直近3年程度、少なくとも横ばいになっている企業を選びたい。
取材・文/松岡賢治 編集/田尻健二郎