テスタさんが株以外で気になる投資として挙げるのが、金だ。すでに金を買ったというテスタさんの狙いや専門家の話を交えて、金投資の方法などを解説する。
金(ゴールド)
主なメリット
◎有事で変動しにくい
◎インフレに強い
◎世界的な需要がある
「つい先日、ETFで金(ゴールド)を2億分買ったのは、円の資産しか持っていないことへのリスクヘッジをしたかったからです。世界中に埋まっている金の量はだいたい決まっていて、インフレのような状態が起きて価格が下がることはまず考えにくい。ずっと価値のあるものだと思いますし、投資の対象として気になる存在でした」(テスタさん)
専門家の池水雄一さんに聞く金投資の実情と展望
「2024年における金の価格は、日経平均株価や米S&P500種株価指数よりも大きく値上がりをしました。大きな理由のひとつとして挙げられるのは、新興国の中央銀行がすごい量の金を買ったから。1年間に世界中で産出される約3000〜4000トンのうち、新興国の中央銀行が購入したのは1000トン以上。金を買うのに積極的なのは、ロシア、中国、インドが中心です。ロシアは米国からの経済制裁を受けて米国債が凍結されています。中国も経済制裁を受けている立場から米ドルを売り、資産となる金を買う動きが加速しました。それらの国々が購入した金は、金庫に入って出てきません。市場に出回る金が減り、価格が上昇しているというわけです」
そう話すのは、金投資などに詳しい池水雄一さん。米国債の借金が36兆ドルに膨らんでいることへの懸念も「米ドルを売って金を買う」動きに拍車をかけているとのこと。こうした情勢を鑑みて、日本でも金投資への関心が高まっている。
「金投資のセミナーを開くと、今までには見られなかった若い女性が参加するようになってきています。円安による円の価値下落に相当危機感を抱いているのでしょう。金の価値は変わらないとよく言われます。100年前に1kgのバーを10本所有していたら家を買えたのと同様に、現在でも同量の金で家を買えますから(1g=約1万5000円/2025年1月末時点)。今は投資信託やETFを利用して金に投資できるのも大きいです。三菱UFJ信託銀行の金ETF『金の果実』は、投資信託ながら実際に金現物を買って信託銀行が保管し、その所有権は投資家に属します。金現物への投資を簡単に行なえるのでおすすめです」
〈専門家Profile〉
新卒入社した住友商事の貴金属部に配属され、金との付き合いが始まる。2019年からは日本貴金属マーケット協会(JBMA)代表理事。
2024年の国内金価格は約40%上昇
2024年に米国の主要株価指数で最も上がったNASDAQ総合の上昇率は約27%。国内の金価格はそれを大きく上回った。国内の金価格は為替レートの影響を受けるので、円安が上昇率に大きく寄与した格好だ。
国内金価格の決まり方とは?
国内金価格はその時点でのドル建て金スポット価格に、ドル円をかけてグラム換算したもの。これに消費税と手数料を加えたものが店頭の金小売り価格。大阪取引所の金先物価格はスポット価格から計算されたもの。