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Nikon「Z50II」は、フラッグシップモデル「Z9」と同じ画像処理エンジンEXSPEED 7を搭載し、APS-Cミラーレスながら高い描写力と高速性能を誇る入門機である。進化したAF性能と高感度耐性により、スナップやポートレートはもちろん、動体撮影でもその実力を発揮。被写体検出は2種類から9種類に増え、被写体を自動認識してくれるオートも加わった。センサーは従来のDXフォーマットの2088万画素CMOSセンサーを搭載する。550gボディに詰め込まれた最新技術が、どのような表現を可能にするのか。本記事では、実写作例を通じてZ50IIの実力を検証していく。
ZマウントにAPS-Cサイズセンサーという贅沢な組み合わせで軽量化を実現。ボディだけでなくレンズも小型軽量化されている
右肩のダイヤルの上に新設されたピクチャーコントロールを呼び出すボタン。ここから31種類のプリセットが選べ、カスタマイズした9種類の設定を保存できる
モニターは動画撮影で使いやすいバリアングル式になった。私はチルト派なのでちょっと残念だ
被写体検出は、人物、動物、鳥、車、バイク、自転車、列車、飛行機の9種類に増えた。オートより個別に選択した方が認識するのは早い
フルサイズレンズで広がる可能性
APS-Cサイズの弱点は交換レンズが少ないことで、DXフォーマットのレンズは5本しかない。ほぼズームで単焦点は「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」のみ。もちろんフルサイズのFXフォーマットレンズも使えるのだが、焦点距離は1.5倍になってしまう。レンズの中心付近のみを使う贅沢な使用方法だ。すでにフルサイズのZシリーズのボディを持っていればレンズを有効活用できる。特に望遠系のレンズと相性がよく、小型軽量ボディで超望遠レンズのペアが出来上がる。今回は明るい標準レンズ「NIKKOR Z 50mm f/1.4」を装着して75mm中望遠レンズとして撮影した。
とげぬき地蔵の耳かき店の垂れ幕。背景のボケで被写体が浮き上がる
Nikon Z50II NIKKOR Z 50mm F1.4 1/4000sec F1.4+0.33 ISO280
内部からライトアップされた、こけしのオブジェをやや暗めで撮った
Nikon Z50II NIKKOR Z 50mm F1.4 1/4000sec F1.4+0.33 ISO500
全部で10輪のIKEBUSが走る。速度が遅いため歩行者と共存している
Nikon Z50II NIKKOR Z 50mm F1.4 1/4000sec F1.4+0.33 ISO1400
路肩に止められた白バイ。背景だけでなく手前のボケも美しい
Nikon Z50II NIKKOR Z 50mm F1.4 1/4000sec F1.4+0.33 ISO180
水面に反射する太陽もAFでピントが合った、かなり明るいため露出補正した
Nikon Z50II NIKKOR Z 50mm F1.4 1/160sec F16-1.33 ISO100
光を浴びて半透明に見える寒椿。光の描写が柔らかい
Nikon Z50II NIKKOR Z 50mm F1.4 1/200sec F2.5+1 ISO100
わずか約205gの18~42mmの広角ズーム
Z50IIのキットズームレンズは手ブレ補正機能を内蔵した「NIKKOR Z DX 16‐50mm f/3.5‐6.3 VR」で24‐75mmをカバーしている。今回、使ったのはAPS-Cサイズ用の超広角ズーム「NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR」である。18‐42mmというiPhoneの超広角レンズに近い画角が得られ、望遠端は42mmと歪が少なく自然な画角だ。パワーズームのレスポンスも思ったよりよい。このサイズで気軽に超広角が使えるのはZ50IIならではのメリットだ。
逆光のとげぬき地蔵、18mm相当で撮影。低く漂う煙が印象的だった
Nikon Z50II NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR 1/125sec F4.5+1 ISO100
衣料品店の店内までしっかり描写。周辺部まで解像度が高くシャープだ
Nikon Z50II NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR 1/125sec F5 ISO100
36mm相当で撮影するとほぼ見た目通りの画角が得られる
Nikon Z50II NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR 1/125sec F5.6 ISO100
撮影地を銀座に移してディスプレイを撮った。シルバーの反射が眩しい
Nikon Z50II NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR 1/80sec F5 ISO100
歩道でのスナップ。中央部をトリミングしているが解像度には余裕がある
Nikon Z50II NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR 1/200sec F5.6 ISO100
31mm相当で撮影したビル。歪みが抑えられ窓の微妙な角度の違いが再現された
Nikon Z50II NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR 1/80sec F4.8 ISO100
手ぶれ補正が効きそうなシャッター速度で撮影。ブレは抑えられている
Nikon Z50II NIKKOR Z DX 12‐28mm f/3.5‐5.6 PZ VR 1/50sec F5.6 ISO100
写真・文/ゴン川野