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「釣りバカシティ」を宣言した高知県須崎市のポテンシャルがスゴい!ハマちゃんも認める〝海と魚のまち〟が描く未来

2025.03.02

「市民全員が釣りバカ。世界一、釣り人にやさしいまちを目指します」

2023年11月、高知県須崎市が「釣りバカシティ」を“宣言”した。それから今日に至るまで、同市は宣言どおり、「釣り」を生活の一部に取り入れてもらうための取り組みを次々と展開している。

今年1月末から2月頭にかけては、釣り好きのための一大イベント『第62回 フィッシングショー OSAKA2025』に出展。釣りの楽しさや須崎市ならではの魅力を発信し、県外にもファンを増やした。

このユニークな宣言は、今後どんな広がりを見せていくのか。プロジェクトを推進する担当者3名に話を伺った。

「釣りバカシティ」誕生のきっかけは、“ハマちゃん”だった

須崎市プロジェクト推進室の笛木保志さんは、当時を以下のように振り返る。

「須崎市は’21年から、高知信用金庫などと連携し、豊かな自然を強みに地域創生を目指す『海のまちプロジェクト』を実施していました。ある日、その一環で行った高知大学でのシンポジウムで、客員教授の黒笹慈幾さんが仰ったんです。“須崎市は、大事なことを忘れている”って」

この黒笹慈幾さんとは、漫画『釣りバカ日誌』(小学館刊)の初代編集者で、主人公「ハマちゃん」のモデルでもある。黒笹さんは、2012年3月の定年退職を機に高知へ移住。釣りがさかんで魚種も多い須崎市の特徴を生かした取り組みがないのはもったいないとして、「せっかくなら、世界一釣り人に優しいまちを目指しましょう」とシンポジウムで提案した。それを機に、須崎市と黒笹さんを中心に『釣りバカシティ』の構想が練られ、宣言するに至ったという。

「自然に囲まれながら、市民が釣りを楽しみ、より豊かに、幸せに暮らす。市外からの釣り人や観光客には、地元の魚とおもてなしを喜んでいただき、再訪や移住を促す。そのサイクルによって、市内、県内の事業所が潤い、地域経済の発展や人口の拡大につながっていくーー。『釣りバカシティ』は、そんなまちを目指しています」(笛木さん)

黒笹さんは古巣である小学館と交渉し、『釣りバカ日誌』のキャラクターを須崎市のプロジェクトに使えるようにした

実際、須崎市と釣りとの相性はバツグンだ。同市は太平洋に面し、リアス式海岸の利点を生かした天然の漁港として栄え、年間漁獲量は県内でも有数の約229万キロを誇る。また、その地形から北西の風の影響を受けにくく、季節を問わず釣りを楽しめ、なかでも渡船を利用した磯釣りがさかんだ。市内で釣れる魚は約132種にもおよび、釣り好きはもちろん、初心者にももってこいの漁場だそう。

この特徴をもっと周知し、「釣りバカシティ」を盛り上げるべく、須崎市は「地域おこし協力隊」の募集を始めた。2024年1月までに合計4名から応募があり、関東育ちの松平愛奈さん、愛知県出身の三輪大司さんが仲間に加わった。2人とも釣り好きが高じ、前職を辞めて須崎市に移住したというから驚きだ。

釣りと須崎市を愛する“強力助っ人”の意気込みとは

松平さんは、プロジェクトのPR活動やイベント企画・運営を主に担当している。

「釣り歴は30年くらいです。幼い頃に神奈川県の江ノ島で釣りを始めたら、どんどんハマってしまって。大人になってからは良い釣り場を求め、週2で釣りに行っていました。でも、数時間かかる場所も多いし、釣りに係る費用が月10万円近くに膨らむなかで、釣りのために働くような生活が嫌になってしまって……。思い切って会社を辞め、千葉県から移り住んだんです。高知県、中でも須崎市は、魚種が豊富で、さまざまな釣り方も楽しめる。お酒もおいしいし、最も自分の肌に合うなと思いました」(松平さん)

松平さんが高知県に越した日は、偶然にも「釣りバカシティ」宣言がなされた日。運命的なものを感じ、このプロジェクトに飛び込んだ。SNSを開設し、釣りに勤しむ様子や各種イベントのPRを続けたところ、現在ではフォロワーが約3000人に。「大好きな釣りの魅力を広める役割を担えて嬉しい。須崎市とのご縁に感謝ですね」とほほえむ。

白アマダイを釣り上げた松平さん。女性にも気軽に釣りに触れてもらいたいという気持ちから、須崎市にやって来さえすれば手ぶらで船上での釣りを満喫できる、“アイテム全部込みレンタルパッケージ”の普及にも意欲的だ。

一方、保育士の経験もある三輪さんが得意としているのは、市民との連携を深めること。また、国が管理する市内の堤防を釣り場として解放していくため、役所や漁業関係者との調整役も担っている。

「昔から釣りが好きで、同じ趣味の人を全国に増やすことや、興味を持ってもらえるきっかけを作れるような仕事を探していた時に、今回の募集を見つけました。これまでの経験を生かして、子どもたちに釣りの楽しみ方を教えたり、学生と連携したイベントを行ったりしています。地域の子どもやファミリーがもっと当たり前に川や海に遊びに出られて、このまちは素敵だな、とか、市外に出ても最終的には帰ってきたいな、と思えるまちにしていけたら」(三輪さん)

開催イベントに手応え、県内外の参加者に釣りの魅力を発信

心強い仲間を得た須崎市は、活動をさらに活発化させていった。昨年10月には、『ファミリー釣りフェスタ』を開催。午前中は船釣り、堤防釣りなどを行い、午後からは魚の捌き方教室、さまざまな魚料理を食す会、釣具店によるワークショップを展開した。

「釣りたての魚たちを、お刺身や塩釜焼き、ホットサンドなどバリエーション豊かに提供しました。珍しいメニューに子どもたちも興味津々で、みなさん、口を揃えておいしい、おいしいと召し上がってくれたのが印象的でした」(三輪さん)

地域の子どもたちを中心に、磯釣りを体験してもらうイベントも開催。「釣りに親しみを持ってくれる子を増やしたい」と三輪さん

また、今年1月には『釣りバカグレ大会』を実施。松平さんのSNSで30名の募集をかけたところ、県内外から応募があり、即日満員に。各自の釣った25センチ以上のグレ3匹の合計計重量を競うものだが、実に29名が3匹を計量に出せた。

「釣れない人がいないというのはすごいこと。須崎市は安定して魚が釣れるところなのだと実感しました」(松平さん)

直近で開催した前述の『フィッシングショー OSAKA2025』は約4万2000人が来場し、LINE公式アカウントの登録者数が600人以上増加。「釣り船まるごとチャーター券」「白アマダイ」など、須崎市の特徴を生かした景品を用意した「ガラガラ抽選会」が好評を博したという。松平さんによると、白アマダイは都心で購入すると1万円を超えることもある高級魚。このほか、“幻の魚”と呼ばれるアカメ、1年を通して約1か月しか釣れないメジカの新子(稚魚)が釣れることも、須崎市の“推しポイント”だ。

全市民とともに、「釣りバカシティ」の挑戦は続く

プロジェクトは順調に拡大しているように思えるが、笛木さんは、まだまだ道半ばだと話す。

「今のところ、釣りバカシティに関する活動を認知してくれているのは、釣りマニアや釣りに関連する企業、県内の釣具屋さんがメイン。それ以外の方々には、浸透しきっていないと感じています。でも、僕たちが掲げているのは『市民全員が釣りバカ』。釣りをする人はもちろん、しない方にも、“須崎は日本に誇る釣りのまち”と思っていただけるよう、今後は教育機関との連携を強化し、出張授業やワークショップも展開していく予定です」

同時に、県外の釣り好きや観光客の誘致を促進すべく、市内の飲食店とのコラボや、宿泊を兼ねた釣りツアー等の計画もあるという。新たな移住者を増やすために、“釣り民宿”を開いてくれる人も募集中だ。

「市民みんなを巻き込んだ持続可能なプロジェクトへと発展させ、釣りを通して全国から人が集まるまちにできればと思っています。須崎市の地域経済が活性化することで、やがて奥四万十エリア、高知全体、その先へといい波を広げていくことが最終目標です」(笛木さん)

「釣りバカシティ」の“今まで”と“これから”には、大きなロマンが詰まっているーー。

プロジェクト推進室やボランティアのメンバー。「釣りバカシティ」の動向から、今後も目が離せない

取材・文/梶原 薫

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