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こんにちは。
弁護士の林 孝匡です。
宇宙イチわかりやすい法律解説を目指しています。
恋愛禁止の職場で、キャバ嬢と副店長がデキてしまいます。
それを知った運営会社がブチギレ。
「交際禁止の約束を破ったから、140万円を払え!」
と訴訟を起こしました。
職場における恋愛禁止というルールは認められるのか!?果たして裁判所の判断は?
以下、わかりやすく解説します。
※ 実際の判決を基に構成
※ 判決の本質を損なわないようフランクな会話に変換
※ 争いを一部抜粋して簡略化
Xさんがキャバクラで働き始める
Xさんは、平成29年12月、Y社に入店しました。
Y社は、キャバクラ店やガールズバーを経営している会社です。
交際禁止の同意書
Y社では、キャバクラで働く従業員に対して、同意書への署名をさせていました。
それは【私的交際のゼッタイ禁止】への同意です。
違反すると【違約金を200万円支払う】との内容が書かれていました。
Y社が私的交際の禁止を掲げる目的は3つです。
(1)客が離れてしまい1日あたり3~5万円の損失が発生する
(2)店舗の風評被害が生じる
(3)従業員の友達も退職するなどの被害も予想される
というものでした。
Xさんは、その同意書にサインをして、キャバクラで働き始めました。
ラブストーリーは突然に
しかし!
そんな紙切れ1枚で恋愛を止められるはずがありません。
約9ヶ月後の、平成30年9月。
Xさんは、キャバクラの副店長と恋に落ちちゃいました。付き合っちゃいました。
当初はバレなかったのですが……。
会社にバレる
3ヶ月後の、12月7日。
会社に問い詰められたのでしょうか。
Xさんは、副店長との交際を認めました。
ソッコーで会社は「違約金200万円を払え!」と言いそうなものですが、ここは抑えました。
その代わりに、Xさんに誓約書を書かせました。
Xさんに書かせたのは、以下の4つです。
(1)私は、2人(私と副店長)のことを他言しない
(2)私の平成30年12月分からの給料を3ヶ月間停止することを承諾する
(3)私は、会社に対し、日常生活における副店長の動向など、細かなことを報告する
(4)私は、各店舗のある●市・□市を副店長と2人で連れ立って歩かない。
この誓約書を書いて、事態は終結したように思えましたが……。
会社がブチギレる
何ヶ月後か不明ですが、会社がブチギレました。
「誓約書に違反した!」とブチギレたのです。
具体的には、以下の3つのブチギレです。
(1)Xが副店長とのことを他の従業員に相談した
(2)副店長の動向などを報告しなかった。
(副店長が店の名前を使ってサラ金で借金するなど金遣いが荒かったこと・朝帰りしていたこと)
(3)●市・□市を副店長と2人で出歩いた(客の目撃情報あり)
(上記の3点は、裁判ではXさんは認めていません。あくまで会社の主張です)
会社は、誓約書に違反したことを理由に、もともとの同意書に書かれた通り違約金200万円
プラス100万円の損害賠償(合計300万円)をXさんに請求しました。
プラス100万円の損害賠償の理由は、Xさんが所属していたクラブの売上が減少した、Xを別のクラブへ異動させざるを得なくなった(諸々の業務調整が生じた)というものです。
会社からの請求に対して、Xさんは拒んだのでしょう。
会社がXさんを提訴!舞台は法廷へ!
(損害の一部である140万円を請求してきました)